ヴァロリス」タグアーカイブ

ヴァロリス、ピカソが愛した陶芸の街へ <DAY5>

エクサン・プロヴァンスを後にし、今夜からはニースに滞在をするのですが、途中でヴァロリス村へ寄ります。この地では宮廷御用達の窯となったムスティエなどとは異なり昔から雑器としての生活陶器を製作していましたが、ピカソがたまたま訪れた際に陶芸にハマり、以降7年にわたって住み着いて陶芸活動に励んだことでヴァロリス焼きそのものもピカソと共に有名になった地です。

そのピカソ美術館をお昼休み前までに訪れます。ピカソが70歳の時に村の人たちからお祝いをしてもらったお返しにシャペルの壁に制作した「戦争と平和」はやはり圧巻、みなさん中に入るとしばし言葉を失い、沈黙。あの「ゲルニカ」ほど有名ではないものの、ピカソの戦争に対する嫌悪と虚しさ、そして平和の尊さ、大切さが伝わってきます。

ピカソ美術館を後にし、ヴァロリスの街のメインストリート(と言っても月曜日でシーズンオフゆえ、閑散としています)沿いのお店を冷やかしながら、ピカソのマドゥーラの窯のアトリエ外観見学へ。この窯が唯一ピカソの作品のリプロダクションの販売をしているのですが、現在は内部がリニューアル中。


ランチは雰囲気をガラッと変えようということで、海沿いのヨットの波止場に面したレストランへ。おそらく夏なら賑わっているというよりごった返していそうなところでしょうが、この季節は人もまばら、太陽と青空を独り占めしているような豊かな気分です。

テラスの席を用意していただいたので、庇をつけてもらって海風と太陽を楽しみながらのランチはヴァカンス風にムール&フリット、フィッシュ&チップス、イカリングフライ、プロヴァンス風サラダ、ボンゴレのリングイーネなどをみなさんでシェアして(フランスで料理をシェアするのは普通はしません…フランス料理はロシア式サービスと言って、前菜の時間、メイン料理の時間、と時間差で頂くのが基本で一人一品のメインを取らないのはご法度、でも今回のような雰囲気のレストランなら無礼講でもいいかと踏んでお伺いしたところ「お好きにしていいわよ」と!)、こういうB級グルメもいいのよねということでたっぷりいただいてニースのホテルへ。今回のホテルは旧グランドホテル、今はアストンホテルという名の4星ホテル、そして待望のバスタブ付きです!

ホテルの立地条件は申し分なく、毎日なんらかの市の立つサレヤ広場にも近いのですが、月曜日はアンティーク市の日です。チェックイン後荷物だけ中に入れて早速アンティーク市へと急ぎ、流れ解散となりました。この日はニースも20℃近くに気温が上がり、半袖短パンの人が街中を闊歩しています。夏時間になって一気に夏モードになってきました。


アンティーク談話とアランデュカスのレストランにて食事会

今日は3月の海外研修「プロヴァンスとリヴィエラのアンティークを巡る旅」の関連イベントをユーラシア旅行社さんに開催していただきました。

食事会の前に、アンティーク談話。集合はレストランの近くのワイン専門店のお店が経営するセミナー会場、普段はワインセミナーなどに使われているのでしょう、とても素敵な空間です。

今日の談話は、研修旅行で訪れるムスティエ陶器、そしてヴァロリス陶器についての歴史や特徴、テーブルウェアの変遷とベル・エポック期の装飾様式、そしてその時代に創設されたモンテカルロのオテル・ド・パリ、レーニエ3世が若いアランデュカスに「4年以内に3星を取るよう」依頼し、33ヶ月で見事3星を勝ち取ったルイ・キャーンズに関するお話を1時間ちょっとで駆け巡りました。

研修にご参加予定の方々以外にも、アンティークの世界が初めてでイベントに興味を持ったという方、かつて色々な国に住んでいて80カ国は訪れたという旅のベテランの方、食器のコレクションをされていて半世紀近く前にフランスに住んでいたという方等々、はじめましての方も交えて楽しく懇親しながらの座学講座を経て、すぐ近くのアランデュカスのレストラン「ブノワ」へ移動します。

「ブノワ」は、2005年にオープンしたアランデュカスのビストロで、南仏の邸宅を彷彿させてくれます。ちょうど私たちの訪問地ムスティエ=サント=マリーにもデュカスのオーベルジュがあるのですが(今回の日程ではまだ冬季休業中、4月の中旬にオープン)、その雰囲気を東京・青山で味わえるというわけです。

名物「エッフェル塔」の模型は、実際に1889年のパリ万博に向けてのコンペで出されたマケットの1つでオリジナルなのだそう。ところどころに演出されている装飾小物品はすべてフランスから蚤の市などでデュカス自身がセレクションしたアンティークとあって、もうすでに南仏に上陸した気分です。

今回は素敵な半個室を取っていただき、和やかな雰囲気でお料理を堪能することができました。食レポは文章にするとその魅力が返って損なわれそうですので、是非ご自身の舌でお確かめいただきたいと思います。ちなみに過去にブノワで食べたことがある方も含め、みなさん大満足のご様子でした。

ワインとお料理のマリアージュも、さすがのブノワさんのセレクション、しかもワインの入手方法のような舞台裏のお話までサービスでしていただき、今回はスパークリング、白ワイン、赤ワイン、とドリンクもフルコースにて(スパークリングワイン:ブルゴーニュ地方、シャルドネ100% / 白ワイン:アルザス地方、フルーティな味わい、桃や青リンゴのような香り / 赤ワイン:ボルドー地方、メルロー7割・カベルネ3割、果実味しっかり、渋み少なめ)

ショコラのデザートに焼菓子まで美味しくいただき、10階からの景色も十分に堪能できた楽しい会でした。ご参加者の中でプロ級のスケッチをされる方がいて、なんとお食事をしながらこんな素敵な作品を仕上げていただいたのです!

旅の満足度は天候とお料理で決まると言いますが、このようなイベントでも同じ、美味しいお料理で満たされた2月のひとときでした。ご参加いただいたみなさま、今日はどうもありがとうございました。