投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

ナポレオン1世の二角帽子、オークションで高値落札!

 11月16日、フォンテーヌブローにて世紀のオークションが開かれました。
ナポレオン1世の愛用品などゆかりのある品物が1000点余り、モナコの宮殿からの出品物です。
  

 中でも注目を集めていたのは、ナポレオンが1800年、マレンゴの戦いのときに着衣していた、二角帽子。尖った部分が前後でなく左右に来るように冠るのですが、これは戦場で目立つためだった、と言われています。
 
 

ナポレオンが冠っていた二角帽子

ナポレオンが冠っていた二角帽子


 

 落札したのは韓国人で、評価額40万ユーロに対し、その4倍以上の188万4千ユーロの値が付いたということです。
 

 このように、アンティークの美術工芸品の中には、その品物そのものの価値よりも、誰が所有していたか(ナポレオン皇帝)、そして来歴はどこなのか(モナコ宮殿)、という付加価値が品物の値段を大きく左右することがあり、これもその一例と言えるでしょう。
 

 ちなみにこの帽子を始めとする数々のコレクションは、モナコのアルベール王子の曾祖父であるルイ2世(1870-1949)がコレクションし、その後はモナコ宮殿の併設美術館にて展示されていたもの、故事来歴はハッキリしています。
 

 もしも同じ型の帽子で、同じ年代のものがあったとしても、一般人の所有品であればこれほどの値は付かず、単なる歴史的服飾品としての価値に留まってしまいます。
 

 ワールドカップで有名なサッカー選手が着用していたユニフォームが高値で売買されているのと、まあ似た現象ですね。
 
 

アンティークの動向とアートマーケットのニュース

 アンティーク検定の2級は今月末に行われますが、その中に現代時事アンティークという科目があります。これはなあに?と思われる方が多いのですが、アート(装飾美術工芸品を含む)が市場でどのように取引をされているのか、何が人気があって何が今は底値なのか、そういった事情を知っておくのも、コレクターにとって大切なこと。自分が好きでコレクションしている分野のものが、それほど高くない時代と、高い時代、というのは明らかにあります。
 

 例えば銀器。アンティークを扱うお店では常に存在するアイテムですが、スターリングシルバーと呼ばれる純銀製のお値段は、30年前よりも現在の方が30%ほど相場が下がっています。
 

argent

 
 これは恐らくこれまで持っていた人が、もう手入れも大変だし、家族でほしがる人もいないし、多くの人を呼ばなくなったし、といって市場に売り(供給)、一方で購入する方は、こんな12人分のセットは要らない、純銀は重くて大変だし、シルバープレートでも十分(さらには、ステンレス製の方が食洗機にも入れられて便利)、牡蠣は家では食べないから牡蠣のフォークなんて要らない、凝った料理はあまりしないから、肉を切り分けるこんなナイフは要らない、と、ほしがる人は減り(需要)、需要と供給で値段の決まるこの世界のこと、美しくて素晴らしいもので価値があるものでも、値段は変動していきます。
 

 日本でもバブル時代に高値のついた印象派、ガレやドームのガラス器、今はどうなっているのでしょう。
 


 

 と思っていたら、11月5日のNYクリスティーズにてエドゥアール・マネの晩年の作品「春」がオークションに出品され、予想落札価格3500万ドルを遥かに上回る6510万ドルで落札されました。マネの最高価格の更新で、まだまだ印象派は世界的に人気がありますね。
 

北斎とジャポニスムとアンティーク

 東京・上野の森美術館では「ボストン美術館浮世絵名品展・北斎」が連日賑わっていますが、パリのグラン・パレでも、北斎展に朝から人が並んでいるようです。
 
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 北斎はジャポニスムの元祖、というのも1856年、フェリックス・ブラックモンが北斎漫画を目にしたことから始まったと言われているからです。
 

 19世紀後半の万博の時代、ロンドンやパリでジャポニスムが大流行、展示物も飛ぶように売れたと言います。薩摩藩、長州藩、幕府それぞれが万博で出展した日本の美術品・工芸品に影響を受けて、欧米の工芸品もジャポニスムを取り入れ、その集大成が1900年のパリ万博と言えるのでしょう。
 

バカラのジャポニスム/オパリングラス

 

 
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アヴィランドのジャポニスム

 

 
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ガレのジャポニスム

 

 
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パリ、国際現代アート展FIACスタート!

 パリ国際現代アートフェアFIAC(フィアック)が本日スタートしました。
10/23~26の4日間、グラン・パレで開催されています。
 
FIAC公式サイト
 
fiac
  
 アンティーク業界の人は現代アートに関心がないのではないか?というのは杞憂で、オークショニアや鑑定家、セカンド・マーケットのアート界で働く人たちは大抵年に1度のこの盛大なアートフェア、FIACには足を運びます。現代アートはアート市場における、最も関心の高い、言い換えれば最もお金が動く分野です。そして「現代」アートがやがて「近代」アートになり、「アンティーク」になっていくのですから…。
 
 最もお金が動くマーケットだけあって、入場料も半端ではありません。
一般入場料が40ユーロ(2年に1回のアンティーク・ビエンナーレの今年の入場料は30ユーロ)、話題となるかもしれないアートを見るのには、なかなかのお値段です。
 
 さて、さきほど「セカンド・マーケット」と書きましたが、美術業界は大まかに分けて、「ファースト・マーケット(1st market / 1er marché)」「セカンド・マーケット(2nd market / 2nd marché)」という言い方をします。前者は、それが初めて市場で売られるもの、後者は1度売られたものが再販されるもの、の違いです。例えばある作家の作品を初めて扱う(販売)する場合は、「ファースト・マーケット」であり、物故作家の作品を扱う場合は、「セカンド・マーケット」となり、前者は通常ギャラリーが、後者はアンティーク業者が扱います。ですので、アンティーク業界というのは、何も何百年も経った古いものばかりを扱っているわけではなく、初販なのか再販なのか、という違いなのです。

創設250周年 バカラ展 〜永遠のきらめき〜

 1764年、ルイ15世の許可が下り、バカラ村にガラス工房を開いて今年で250周年を迎えるバカラ、本国フランスではもちろん、日本でも各地でバカラ展が開催されています。

東武百貨店池袋で行われているバカラ展

東武百貨店池袋で行われているバカラ展

 
 といっても、ほとんどがもう終了してしまい、これから見られるのは限られてしまいますが・・・
 
 
【日本におけるバカラ展開催日程】
 


阪急うめだ本店5月21日-26日

岩田屋本店 6月18日-23日 

 
鶴屋7月9日-13日
 

日本橋髙島屋9月2日-8日
 
京都髙島屋9月11日-15日

ジェイアール名古屋タカシマヤ9月18日-22日

横浜髙島屋9月25日-29日

あべのハルカス近鉄本店10月2日-6日

東武百貨店池袋店10月9日-14日

そごう横浜店10月24日-27日

井筒屋11月13日-16日

 
上記バカラ展の日本サイトはこちら

 
 定番中の定番、アルクールを用いた「チェスゲーム」は、圧巻です。
 
 

アルクール チェスゲーム

アルクール チェスゲーム

 
 本国フランスでは、Petit Palaisにて2014年10月15日〜2015年1月4日まで、500点以上もの作品を披露する展覧会が開催されます。

 
Petit Palais : バカラ展
 
 当協会で9月に行われました公式海外研修でもパリのバカラ美術館を見学、こちらは美術館の建物そのものがMarie-Laure de Noaillesの元大邸宅、館内のレストラン、Cristal Roomはフィリップ・スタルクの設計です。
 

バカラ美術館内のトイレ

バカラ美術館内のトイレ

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 19世紀後半の万博に出品したときの作品、各国王室の御用達の作品、日本ではあまり見る事のできないシャンデリアや香水瓶、1936年以前の、まだマークのないアンティーク・バカラの素晴らしい工芸品などが一堂に会する、圧巻の美術館です。