アンティーク検定」カテゴリーアーカイブ

第3回アンティーク検定・お役立ちblog5

 いよいよ日曜日に迫りました、第3回アンティーク検定。
急に寒くなりましたので、受験者のみなさま、体調管理にはご注意くださいね。
 

 さて、最後のお役立ちblogをお届けします。
 

=3級=
 

・アール・ヌーヴォー、アール・デコ、それぞれいつ頃に起こった美術様式だったでしょう?
 

・陶器と、磁器。区別がつきますか?どんな違いがあるのでしょう?
 

・先月、史上2番目の大きさとなる1111カラットのダイヤ原石を、カナダのダイヤモンド会社がアフリカのボツワナで発見したと発表がありましたが、さて、カラットって、そもそも何でしたでしょう?
 

・ノリタケは日本のメーカーですが、洋食器を手がけていることから、西洋アンティークの分野にて、マーケットなどでも、よく見かけます。「オールドノリタケ」って、いつ頃のものを言うのでしょう。
 

=2級=
 

・ルネッサンス絵画。同じイタリアでも、フィレンツェとヴェネツィアでは、その特徴にやや違いがあります。大きな違いとは、何でしたか?
 

・版画、と一言で括っても、いろいろな種類があります。木版画、石版画、銅版画・・・。それぞれの技法の意味を正確に知っておきましょう。
 

・東京・上野にはいくつかの美術館がありますが、今年2015年、話題となった展覧会がいくつかありました。絵画では、会期最後になりましたが、東京都美術館の、マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展などが人気のようですね。国立西洋美術館では、フェルメールの真筆か否かも含めて話題になった、「聖プラクセディス」が話題になりました。
 
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・バロック、ロココ、マニエリスム・・・美術界で必ず出てくるこれらの用語、そもそもの意味を知っていますか?
 

・日本各地の美術館、中でも装飾美術工芸に特化した美術館が、公私立を問わず、全国にいろいろあります。例えば、箱根・ラリック美術館、堺アルフォンス・ミュシャ館、ノリタケの森、北澤美術館、など。どんなものが展示されているか、知っていますか?
 

・タレントで作家、というのは昨今珍しくないですが、今年はタレントさんで公募展に入選して話題になった方がいましたね。
 

 こんなところにしておきましょう。
 受験者のみなさま、日曜日、頑張ってくださいね!
 

アンティーク検定・直前対策勉強会を終えて

 11/29(日)に、1週間後に迫った第3回アンティーク検定のための、直前勉強会を行いました。
 

 場所は、前回の受験者がオーナーでもある、東京都品川区のカフェ。本来は日曜休業のところ、特別にこの勉強会のために貸し切りで開けていただきました。
 

 カフェで、プロジェクターやスクリーンの設備がないことから、少人数に限定して参加者を募集したところ、特に2級では定員を超える申し込みがあり、その熱心なモチベーションに、多少窮屈ながらもみなさんと一緒に、楽しく勉強会を実施することができました。
 

2級
  

 試験のための対策、というと、どんな問題が出るのか?と、正解を解答することばかりに神経が集中してしまいがちですが(当然ですね)、そもそもこの検定試験の目的は、これまで日本には系統立てて学ぶことも、その手段や術もあまりなかった西洋アンティークという世界を広める、知ってもらう、興味を持ってもらう、ということで始まったのです。ですので、正解を解答するのはもちろん大切ですが、そのプロセス、好奇心、これらを大切にしていただければ、と思っています。
 

 本検定試験の監修者・岡部昌幸先生がティータイムよりご参加、美術史を中心に解説してくださり、引き出しが豊富すぎていろいろ興味深いお話をされると、直接試験には関係ないことであっても、みなさんとても熱心に耳を傾けられていました。
 

 来年から、不定期開催ではありますが、時折日曜日にこうした勉強会&ティータイム&懇親会、といったアンティークの会を開催できれば、と思っています。
 

 さて、試験のヒントなる話題を少し。
これは、『フローラダニカ』のプレートで、19世紀後半のもの、オークションハウス・Sotheby’sに出品されたものです。
 
floradanica
 
 Sotheby’sといえば、世界最古のオークション会社、現在では株式も上場しています。
 

 ちょうど、ロイヤル・コペンハーゲンのお話をしていたところ、カフェのオーナーが最近1枚手に入れた、という『フローラダニカ』のプレートを見せてくださいました!
 

 やはり、品格のある、手描きの絵付けが見事なポースレンですね。
 

「アンティーク・ロードショー」

 本日火曜日は、人気TV番組、「開運!なんでも鑑定団」の放映日でしたが、このようなTV番組は、海外ではあるのでしょうか?
 

 本家イギリスでは、BBCの「アンティーク・ロードショー」という番組があり、1977年から続いている長寿番組です。

 
BBC「アンティーク・ロードショー」 
  
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 今年、なんと番組始まって以来の最高値、1億ポンドの評価額のものが出品され、BBCで放映されるのは2016年4月だとか。アントニー・ゴームリーの巨大な彫刻「北のエンジェル」のモデル像だそうです。
 

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 そして、偽造品天国として知られている中国でも、このアンティーク・ロードショーの中国版ともいうべき番組、「天下収蔵」というのがあります。単に評価額を専門家がつけるのではなく、贋物だと宣告されると、品物がハンマーで打ち砕かれてしまうという、なかなかワイルドな番組。ちょっと見てみたいですね。
 
 
 

第3回アンティーク検定・お役立ちblog4

 そもそもこの検定試験は、こと細かい知識を暗記して、試験に臨む、という主旨のものではなく、西洋アンティークに興味があり、ものの見方や、西洋装飾美術工芸の世界に詳しくなりたい、という人たちの目安になれば、というスタンスで行っています。
 

 2級を受ける方の中には、アンティーク検定なのに、西洋美術史を勉強しなくちゃいけないの?と、仰る方がいるのですが、西洋美術史は、西洋装飾美術工芸を理解する上で、基礎となるもの…というより、そもそも西洋装飾美術工芸と、西洋美術は、ルネサンスまでは、同じスタイルでした。それが、絵画彫刻の、いわゆる美術と、家具や工芸品などの装飾美術に分かれて様式が発展していったのが、ルネサンス以降なのです。
 

 美術史では、ルネサンス以降19世紀前半まで、このような様式で進んでいきます。
 

 バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義・・・
 

 一方、西洋装飾美術工芸史では、例えばフランスを例に取ると、代表的な様式で、
 

 ルイ14世様式、レジョンス様式、ルイ15世様式、ルイ16世様式、帝政様式、王制復古様式、ルイ・フィリップ様式、ナポレオン3世様式・・・
 

 と進んで行きます。
 

 でも、ルイ14世様式って何か?と言えば、まさにバロックなのです。荘厳で、ドラマティックで、光と陰の対比的な彫刻や、ふんだんな金(きん)使いは、たとえばイタリアバロックの巨匠、カラヴァッジョの絵画やベルニーニの彫刻に通じるところがあります。
 

 ロココ絵画とルイ15世様式は、切っても切れない関係、ヴァトー、ブーシェ、フラゴナールといった画家たちの絵は、雅宴画という新ジャンルを生み出しますが、ルイ15世様式というのは、小さいスケールで、華やかで軽快、柔らかいモチーフで貴族趣味のスタイルです。
 

フラゴナール「ぶらんこ」

フラゴナール「ぶらんこ」


 
 
ルイ15世様式

ルイ15世様式


 
 

 バロックとは、「歪んだ真珠」という意味、ロココとはロカイユ(貝殻装飾)から派生した言葉、これも語源を知っていれば、なんとなく想像できるスタイルですね。
 

 新古典主義の絵画と、ルイ16世様式の家具を見てください。
 

ダヴィッド「ホラチウス兄弟の誓い」

ダヴィッド「ホラチウス兄弟の誓い」


 
 
ルイ16世様式

ルイ16世様式


 
 
 

 どちらも、ロココやルイ15世様式とは違って、とても直線的で、理性的なものを感じませんか?
 

 同時代の美術と装飾美術工芸、こうして密接にリンクし合っているのですから、西洋美術史もこの際、一緒に知っておくと、西洋装飾美術工芸の理解の手助けに、大いになるのです。
 

 受験者のみなさま、このblogで登場している用語、是非覚えておいてくださいね。
 
 

第3回アンティーク検定・お役立ちブログ3

 第2回アンティーク検定の3級に出た問題です。
 

 「ヨーロッパの工芸界では、チャイナといえば磁器、ジャパンといえば陶器のことである」
 

 ◯X式で答える問題です。
 

 もちろん、答えは、X。
 

 チャイナといえば磁器、は正しいのですが、ジャパンといえば陶器、ではなく、漆です。
 

 第1回、第2回アンティーク検定2級の英語の問題にもありましたが、Japanningという言葉の説明、これは漆という言葉が入っていれば、正解です。受験者の中には、いわゆる19世紀後半にヨーロッパで起こった、「ジャポニスム」と間違いした説明の解答が見られました。
 

 チャイナと言えば、磁器。これは、ヨーロッパでは長い事、磁器製法が解明されずに磁器を作る事ができず、中国から輸入された磁器に頼っていた期間が長かったため、チャイナ=磁器、だったのです。
 

 ボーン・チャイナについて。
 ティーカップの裏に、BONE CHINAなどと入っているものがあります。
 

ボーン・チャイナのチョコレートカップ(19世紀前半)

ボーン・チャイナのチョコレートカップ(19世紀前半)


 

 ヨーロッパの人でも、陶磁器のことに詳しくない人などは、「なんだ、これは made in China か」なんて言う人もいますが、とんでもない。BONE CHINAというのは、イギリス独特の、骨灰磁器のこと。BORN CHINA(中国で生まれた)ではありません!
 

 骨灰磁器?一般の磁器と何が違うの?イギリスだけにしかないの?
さあ、調べてみてください。
 

*10/30(金)の、よみうりカルチャー恵比寿センターでの対策講座の授業は、このボーン・チャイナについてのお話です。更に詳しいお話に迫ります。(途中入校可)