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実地研修「アフタヌーン・ティー」はベリーズティールームにて

9月より行いましたアカデメイア「紅茶とアフタヌーン・ティーにまつわる英国の歴史とアンティーク」、総集編の第4回はいよいよ実地研修です。今回は浜田山にあるベリーズティールームさんの個室を予約、こちらで行わせていただきました。

井の頭線・浜田山の駅からすぐの場所、可愛らしい入口もあまりに街並みに溶け込んでいて、見落としてしまいそう。

2階に上がると、そこは英国のティールーム! みなさん上がって来られると「わぁ、素敵」と、どこもかしこも写真に収めたくなってしまう可愛らしいインテリアです。

青山先生も登場し、12時スタートにていただきます。まずは楽しい紅茶選びから。こちらのお店に詳しい青山先生より、それぞれの紅茶の特徴などを説明いただき、迷って迷ってのチョイス。英国と言えばアガサ・クリスティが好んだと言われる「ラプサンスーチョン」もありました。ポワロが飲んでいるシーンもありましたね。燻製の香りが正露丸臭い、などと言う人もいますが、ヨーロッパでは高貴な人たちに好まれるという話に、敢えてこれを選んでみた方たちも。

今回の主旨は、ただアフタヌーン・ティーを楽しくいただく、だけではありません。これまでに学んだ歴史をベースに、現代のアフタヌーン・ティーの事情が世界的にどうなってきているのか、なぜ3段トレイが出てくるのか、カトラリーはどう使うのか、カップの持ち方はどうなっているのか…これまで勝手に思い込んでいたことの誤解、丁寧な所作だと思っていたことの誤解、その他疑問に思っていたこと、聞けなかったことなどを青山先生が解き明かしてくださいます。

「スコーンナイフでスコーンを半分に切る、と思っている方が多いのですが、元々スコーンは手で割るんです、そして奇麗に割れるように作られているんですよ」とスコーンを半分に割る実践まで。全員ちゃんと出来ましたよ!

クリームが先かジャムが先か論争、ミルクを入れるのか入れないのか論争、ハイテーブルでなくローテーブルでいただく場合のマナー、紅茶ポットの扱い方、と話題は尽きませんが、そもそもアフタヌーン・ティー自体がベッド脇でちょっとお腹が空いたのでお菓子をつまんじゃおう、というカジュアルな行為から始まっただけに、堅苦しいマナーではないのですね。背筋を伸ばしてカトラリーを両手で駆使して、というものではなく、気軽に手でつまんで、というアットホームさだったものが広がっていくと、ちょっとうんちくを言いたくなる人たちが出てきて、という発展なのでしょうか。

青山先生も「最初にセイボリーをいただくのは基本ですが、その後甘い物ばかりが続くので、予め少ししょっぱいものを残して途中でお口直しを、いうのも手ですね。これを絶対にしてはダメというマナーの先生もいらっしゃいますが…」と、みなさんやはり味変しながら楽しみたくなりますよね。

日本ではアフタヌーン・ティーのブームがここ何年か続いていますが、それぞれのところが季節ごとにテーマを設定して、そのテーマにちなんだフーズやペイストリーを出すところが増えています。今回のこちらのアフタヌーン・ティーのテーマはハロウィンでした。

2時間たっぷりかけてレクチャーと共にいただいたアフタヌーン・ティー、最後にはこちらのお店で紅茶やスコーン、クランペットなどのお買い物も楽しみました。

お店を出ると外はちょっと小雨になっていましたが、急に寒くなったこの季節、美味しい紅茶とティーフーズで胃も心も温かくなりましたね。

アカデメイア「華やかなアフタヌーン・ティーの誕生〜ヴィクトリアン〜」

7月からスタートしました「紅茶とアフタヌーン・ティーにまつわる英国の歴史とアンティーク」、座学講座はいよいよ最終回になりました。前回のジョージアンから引き続き今回はヴィクトリアン、そしてエドゥワーディアンの治世下における英国の紅茶の世界を青山櫻先生に解説いただきます。

ジョージアンの時代、あまり王権が強くなかったのはドイツ出身の王様が英語がうまく喋れなかったから、なんてエピソードもありますが、政治的にも「君臨すれども統治せず」でしばらくやってきたイギリスも、ヴィクトリア女王の治世になると「君臨し、拡大し、そして文化面で大いに影響を与える」ことになります。

紅茶の世界では、「午後の紅茶」のアイコンでおなじみの第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが始めたとされるアフタヌーン・ティーのお話を通して、茶器だけでなくファッションやマナー、イギリス独特の所作(片手文化)、館の部屋の名前や役割などあらゆる方向から英国文化をご紹介いただきました。

アフタヌーン・ティーによく使われる道具についても、なぜスプーンの底が平なのか、なぜこのフルセットにはフォークがないのの秘密を解き明かし、クロテッドクリームと共にスコーンに塗るジャムは〇〇系であって、××系はNG、といったニッチな情報まで!

全3回を通して俯瞰できた紅茶とアフタヌーン・ティーにまつわる英国の歴史とアンティークですが、いよいよ来月は実地研修です。もちろんアフタヌーン・ティーをいただきながら、仕上げのマナーを学びます。もうそろそろ気候的にも温かい紅茶は美味しくいただける季節になりましたね!

コーヒーVS紅茶で見る、英国のジョージアン時代

8月のアカデメイアは先月よりスタートしています「紅茶とアフタヌーン・ティーにまつわる英国の歴史とアンティーク」の第2回、青山櫻先生(当協会認定スペシャリスト&アンティークショップ「ヴィオレッタ」のオーナー)による「紅茶派?コーヒー派?2つの潮流〜英国の革命からジョージアン」についてのお話です。

イギリスと言えば紅茶でしょ、というのは今や誰もが口にしますが(そして実際にイギリスの硬水で淹れる紅茶は美味しい!)、実は元々イギリスはコーヒーの国だった、というのはお茶やコーヒーについて多少学んだことのある人なら知っている事実、こんな書籍も青山先生に紹介いただきました。

そういえば保険会社のロイズも元々はロイドのコーヒーハウスから生まれたのでしたね。

ウィリアム・ホランド「ロイズ・コーヒーハウス」

なぜお茶ではなくコーヒーだったか、それは単純にコーヒーの方がはるかに安かったから。コーヒー1杯が1ペニーに対して紅茶は4ポンド、貨幣単位が変わるほど紅茶が高価だったからなのです。コーヒーの1ペニーは庶民でも払える金額、それでコーヒーハウスに入って知識や情報を身に付けることができたので、ペニー大学と呼ばれたりしたのですよね。

やがて英欄戦争、ボストン茶会事件、イギリスの紅茶のインドでの栽培成功などでイギリスにおける紅茶の値段が下がっていき紅茶が主流になっていくのは次回のヴィクトリアンの時代になるのですが、ジョージアンの時代にはコーヒーと紅茶が拮抗していた時期、そのためかこの時代に作られたカップやポットにはコーヒー用、紅茶用とあって、その違いやカップのソーサーを兼用していた例なども実際の茶器を見せていただきながら解説いただきました。

日本の所作として、片手で何かを行うのは失礼、両手を添えて、というのがありますが、例えばイギリスでティーポットから紅茶を注ぐのは片手で行い、もう一方の手にはカップを持ちます。そうするとポットの蓋が落ちそうになる…と思うのですが、実は英国の銀製ポットはほとんどが蓋の部分は蝶番で本体に付いています。また陶磁器の場合、蓋の部分に小さな突起があり、セッティングする場合は必ずその部分の向きをハンドル側に付けることで、蓋は落ちないようになっています。これ、日本の急須や日本製のティーポットには付いていないことが多いのですが、英国のものは必ず付いているのだとか。

そしてマナーによる視点として、ミルクが先か紅茶が先かの果てしなき論争、ロイヤルファミリーのカップの美しい持ち方などもご披露いただきました。こればかりは慣れや育ちもあり、普段からマグカップや紙コップでしか飲まないとなかなか身に付きませんね!

今回見せていただいた茶器のあれこれですが、青山先生のショップ「アンティークス・ヴィオレッタ」にてご覧いただけます。また同ショップにて今月末8月30日~31日の2日間、特別イベント・夏のマルシェを開催、夏の特別ドリンクやお菓子と共に普段はショップにないアンティーク&雑貨が放出されますので、どうぞお越しください!

新アカデメイアは『紅茶とアフタヌーン・ティにまつわる英国の歴史』

7月よりスタートしました、新アカデメイア。今期はアンティーク・スペシャリストの青山櫻先生によるシリーズで、英国の歴史を紅茶やアフタヌーン・ティからアンティークの視点で学んでいきます。

青山櫻先生は、横浜・青葉台で実店舗を構えるアンティーク・ショップのオーナー。お母様の代から継いで現在は代表ですが、若い頃から買い付けなどで英国を何度も訪れており、ショップで扱うお品も圧倒的に英国アンティークをメインとされています。

今回のお話は、「お茶」が発酵の過程で緑茶から紅茶まで変わっていくこと、その「お茶」がヨーロッパに伝わった二つの潮流、お茶で重要なクイーン・アン女王、キャサリン・オブ・ブラガンザ王妃などの逸話、そしてお茶のためのモート・スプーン、ティー・キャディ・ボックス、シュガー・ニッパー、シュガー・シフターなどを、実際にお店にあるものも見せていただきながらご紹介いただきました。

かつてはハンドルのつかないティーボールとソーサー、実は同じ容量であり、ソーサーでお茶を飲んでいたという様子を描いた版画などを見ながら、実際にデモンストレーションで水を入れてみると…ソーサーにちゃんと入る量なのですね!

来月はコーヒーVS紅茶、青山先生の苦手なコーヒーも登場します!

本アカデメイア、オンデマンドにも対応していますので、ご興味ある方は是非お問い合わせください。

オークション下見会へ!

今日は、今季のアカデメイア「アンティーク鑑定士のエキスパートになる!」の実地講座で、オークションの下見見学会を行いました。4~5月はサザビーズやクリスティーズのオークションの出品物についてのdescriptionを紐解いていくオンライン講座でしたが、6月は実際のオークション出品物を目の前で手に取って見ていきます。平日の昼間にもかかわらず、今回は富山、長野、茨城からも参加者が集結、まずはお昼前のカフェにてサンドイッチなどをつまみながらのミニレクチャーです。

オークションの成り立ち、歴史、世界の三大オークション、日本における伝統的なオークション、日本の公開オークションシステム、ちょっと特殊なオークション用語などについて一通り学び、そして今回のオークション出品物について、記載の用語の意味なども理解して、いよいよオークション下見会会場へ向かいます。

今回は日本における売上ベースで最大シェアを保つ毎日オークションの西洋装飾美術の下見会にお邪魔させていただきます。年に数回開催される同社の西洋装飾美術オークション、毎回数百点もの出品物が並び、その規模も最大ながら分野も多岐に及んでいます。大物は家具、シャンデリア、ランプ、ステンドグラス、オルゴール、絨毯、もちろん陶磁器、銀器、ガラス類も普段ではなかなかお目にかかれないものが展示、下見会の目的は作品のコンディション・チェックですので特別に記載がある品以外は基本触ってみることができます。またオークション会社のスタッフさんも会場内にいらっしゃるので、詳しく知りたい出品物については更なる情報を得ることもできます。差支えのない範囲で色々教えてくださいます。

成り行き以外の出品物には予想落札価格が出ていますので、これもある指標になります。同じようなものなのに、なぜこれは安めの評価なんだろう、と思ってよくよく見るとキズがあったり、人気のないモチーフだったり、数が出回っているものだったり…マーケットですから必ず値段には理由がある、そう思ってみていくのも興味深いです。

このミュージックチェア、マーケトリー部分に音楽のモチーフはないし、楽器を演奏する椅子にしてはどうかなあ、と思って尋ねたところ、これは座面の中がオルゴールになっていて、人が座るとその重みで音楽が鳴る仕掛けのものだそうです。初めて見せていただきました。

他にも日本ではあまりお目にかかることのないアール・ヌーヴォー期の作家のパート・ド・ヴェールの作品、北欧アーティストの家具など、勉強も兼ねてたっぷり鑑賞させていただきました。

今回オークションにトライしてみようかな、という方は早速受付で手続きをされ、またネットでも出来ますので翌日のLIVE BIDで挑戦しようという方など、みなさんさまざまな思いが交錯した、楽しいひとときでした。

7月より新アカデメイアがスタートします。

「紅茶とアフタヌーン・ティーにまつわる英国の歴史とアンティーク」、6月15日よりお申込み開始です。こちらもよろしくお願いいたします。