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第16回アンティーク検定講習・2級

2週間前に3級のアンティーク検定講習が開催されましたが、続いて2級の講習が4日間の日程で開催されます。2回の週末で計4日間の講習です。

今回は8名の受講者と、珍しく大所帯になりました。受講者の在住地も半分が首都圏外の方々で、みなさんそれぞれ苦労・工夫をしながら参加していただいています。会場での座学講習が一番満足度が高いとは思いますが、やむを得ない状況で一部オンラインという受講方法でも可能になっています。

2級は、3級からさらに深掘りしてテーブルウェアの歴史について、そしてオークションのdescriptionと呼ばれるオークションカタログの記述やcondition reportと呼ばれるレポートについて、そのための英語も一緒に学びます。

それぞれ鑑定物を鑑定するのですが、今ではインターネットを駆使してかなり正解に近いところまで調べが付くことも多いです。それでもどこに目を付けたらよいのか、どの部分をチェックしたらよいのか、どういう表現が適格なのかをそれぞれ工夫して発表していただきます。

みなさんルーペの使い方などもだんだん板についてきましたよ!

終日座学の日にはランチも一緒に行くのですが、前回3級で偶然行ったところが穴場かつ美味しい、というのでお連れしたところみなさん大満足、そして「次回もここがいい」とのことで、後半の講習会の日も予約を無理やりしてきました(ランチは予約を取らない、と言われていたのですが、ごり押し)!

インド料理のお店で、西洋アンティークとは少しテーストが異なるものの店内が非常に装飾的、カップ&ソーサーのコレクションやインドの銀食器がキャビネットに陳列されています。

2日目は午前にモードの歴史をバロックからディオールまで俯瞰します。ちょうど今年の大阪関西万博・フランス館ではディオールが常設展示の特別スペースに設けられていましたね。

午後の外出見学は泉屋博古館東京で現在開催されている「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)—現代マイセンの磁器芸術―」を鑑賞、巨匠ハインツ・ヴェルナーの現代マイセンの絵付けを堪能してきました。

そうそう、泉屋博古館のミュージアムショップにも「西洋骨董鑑定の教科書」が販売されていました。

前半2日間の講習が無事終了、後半は11月初旬に開催されます。それまで少し頭の中も整理をしておくことにしましょう。


第16回アンティーク検定講習・3級

今月~来月にかけ、第16回アンティーク検定講習が開催されています。3級は知識ゼロの初心者から受講可能、2級はすでに3級を試験で合格しているか、または講習で修了している方が対象となる講習会です。

今回の3級は恐らく最年少でしょうか、20歳になったばかりの方が受講され、この世界も裾野の広さを感じます。初日の座学講習、翌日のオンライン講習&実地見学を経て5名のあらたなる鑑定士の卵たちが誕生しました。

陶磁器、銀器、ガラスの三大工芸の基礎を学び、人生初めてかもしれない銀器の刻印の読み方なども実際にルーペを手にしてトライしてみます。

さらに家具、建築の様式を一通り俯瞰し、仕上げに実地見学で訪れたのは前回同様、旧岩崎邸庭園。来る度に明治建築の偉大さや財閥のスケールの大きさを感じてしまいますね。

運よく今回もちょうど和館の見学に差し掛かったところで、御茶席が空いていたのでこちらでお茶をいただいて、ディプロマ授与となりました。オンライン、オンデマンドご受講の方は是非次回、ご一緒しましょう。


第15回アンティーク検定講習<3級>

季節外れの暖かさの3月1週目の週末、第15回アンティーク検定講習が開催されました。今回は初めての会場、あうるすぽっと(豊島区舞台芸術交流センター)にて。従来は東京芸術劇場を使用していましたが、現在リニューアル中でクローズしているため、この会場を今回は利用させていただきました。定員33名の勿体ないほどの広さなのですが、この講習会は少人数制ですから、ゆったりと使えます。

今回のご参加者さんは、現役の大学生から1歳のお孫さんがいらっしゃるというグランパまで、そして遠くは福島県から車を運転してお越しになられた方も。日曜日が東京マラソンのためホテルがなかなか取れない中、無理をして宿泊も兼ねてご参加いただきました。まずは自己紹介とアンティークに対する想いなどを語っていただき、早速アンティーク入門、装飾美術とは、と講習会がスタートします。

ランチはすぐ近くのビストロにて。半個室のようなところを取っていただいたのですが、その部屋にベルナール・ビュッフェの版画が掛けられていました。一目見て「ビュッフェっぽいよねえ」とすぐ作家の名前が出ることからもわかるように、今回の参加者のみなさんの美学に対する基礎知識はすでに高いレベルにあるのです。

陶磁器、銀器、ガラスと、身近にある入りやすいアイテムからものの見かたを学び、そして3級にして自ら鑑定をするという体験をします。今回は陶磁器組と銀器組でそれぞれアイテムを調べ、鑑定士になったつもりで発表していただくというアトリエ形式で実践しました。みなさん即席にしてはかなり到達点が高かったのです。

ところどころで昨年のアンティーク検定試験3級の問題を解きながら進めていくのですが、はじめて見たときはちんぷんかんぷんでも講習を受けた後では解けるようになる、これが理解して学ぶ、の講習形式の効率性ですね。3級は教科書を手に独学で勉強して試験で取得することももちろん可能ですが、短期集中で仲間と共に一緒に理解し学ぶという楽しみが得られるのがこの検定講習です。

2日目はオンラインにて建築・家具について様式を中心に学び、そして午後の見学は重要文化財である旧岩崎邸庭園(かつての岩崎久彌氏の邸宅)へ。本協会でもサロンや講習で何度か訪れていますが、ようやく庭園部分のリニューアル工事が終了したようで、なんとサービスセンターがあらたに設けられていて券売所も正門に移っていました。

みなさんで待ち合わせてさっそく洋館見学へ。平日は写真撮影ができるのですが、土日は残念なことに不可、外観のみです。

ジョサイア・コンドルの設計、明治29年の建造物です。17世紀のイギリス・ジャコビアン様式の装飾に加え、ルネサンス様式、イスラム様式の部分も垣間見られます。西洋建築の基本中の基本である柱頭も、ベランダ部分に回ると1階のトスカナ式と2階のイオニア式の2種類の柱頭の違いがよくわかります。

元々は洋館をはるかにしのぐ大きさであった和館は現在1棟のみしか残っていませんが、洋館と和館が別々に敷地内に建てられているのではなく、併置されているという珍しいスタイル、この和館の方に小さなカフェがあります。予約不可ですし日曜日なので大人数では無理だろうとダメ元で行ってみると、たまたまのタイミングで6人座敷に座れるという超ラッキーなシチュエーション(私たちの後には満席の札が!)。こちらでディプロマ授与も行い、お抹茶と上生菓子で優雅な明治の富豪の気分になったところで、お庭を散策。

最後に撞球室(ビリヤード場)の外観を見学し、2日間のアンティーク検定講習・3級が終了しました。またあらたに鑑定士の卵が5名誕生しました!ご参加のみなさま、2日間おつかれさまでした。


アンティーク検定講習・2級=後半の部=

今週末は第14回アンティーク検定講習・2級の後半の部が行われました。土曜日は夏のような気温、日曜日は冬の始まりのような気温と気候が乱高下の中、午前のオンライン講習に午後の見学講習、2日間とも楽しく学びました。

オンライン講習では西洋美術史の前半からの続き、モードやジュエリー史の宝飾芸術の世界、現代時事にアート・マーケット、そして家具と建築について、それぞれ1時間ずつと短いながらも濃い内容にまとめられた講座でした。アンティークと一言で言っても馴染みのある分野と全く目にも留まらなかった分野が人それぞれで、この講習ではその全てを網羅するだけになかなか大変です。それでもみなさん、このマラソンに頑張ってついて来て下さいました。

土曜日の見学講習は、パナソニック汐留美術館で開催中の「ベル・エポック―美しい時代」展の鑑賞、土日は日時指定予約制だけあってスムーズに入場。19世紀末から第一次大戦までの古き佳き時代、総合芸術が開花するパリに集まった芸術家、工芸作家、装飾家たちの作品~美術、工芸、舞台、音楽、文学、モード、そして科学~がコンパクトにまとめられた幕の内弁当豪華版でした。

日曜日の見学は、迎賓館・赤坂離宮。明治以降の素敵な洋館は各地にいくつか残されていますが、東宮御所として作られたこの建物は外観も内装もすべてレベチです!

ちょうど午前のオンライン講座で家具や建築を学んだばかりだったので、「この椅子はルイ16世様式」「兜や戦争モチーフ、これはアンピールね」と答え合わせも順調に。ところどころ迎賓館専属のガイドさんに、この食器はどこのメーカーのものか(陶磁器はノリタケと大倉陶園、銀器は燕三条、クリスタルはカガミ、とすべて国産でした)、シャンデリアは当時のオリジナルのものなのか、などと色々質問もしてみました。ここのガイドさんは見学者から質問されたいオーラを満面に出しているので、どんな微細なことでも気軽に聞けるのですよね。

今年に入って、部屋によっては撮影可の日も設定されていたのですが今日は残念ながらすべての部屋での写真撮影が禁止、それでも青空の中で映える堂々とした松に噴水の主庭はその美しさと優雅さに「雅」を感じます。

前回訪れたときは半分工事中だった正門も奇麗にお化粧直しされていました。

ところで昨今どこでも観光地にはインバウンドの観光客があふれていますが、ここはほぼ日本人、あとは少数の東アジアの人たちで明治神宮とはやはり違いますね。

最後の懇親会は、迎賓館の前庭でもキッチンカーが出ていてカクテルが楽しめたのですが、別邸にあるカーブドッチ迎賓館のカフェへ。ガラス張りの明るい空間の中、お茶&スイーツをいただきながら、2級の修了証授与が行われました。受講者のみなさま、おめでとうございました。本日、こうしてあらたなる鑑定士が誕生しました。


アンティーク検定講習・2級

9月の最終週末は、アンティーク検定講習・2級の前半の部が行われました。講習参加者はみなさん3級を講習または試験で取得していますので、既に基礎的な知識は持っている方々ばかりです。2級でより深い知識と鑑定の術を培うべく、今回の講習を受講されています。

初日は終日座学講習で、まずは顔合わせと自己紹介。なぜアンティークに関心を持っているのか、どこに惹かれてハマったのか、そんな思いを語り合ったところでテーブルウェアの歴史をざっと学びます。

「美しいフランステーブルウェアの教科書」も、「西洋骨董鑑定の教科書」もどちらも写真や画像が豊富で良い本なのですが、情報量が多すぎて事典的なものとなってしまい、どこをどう噛み砕いて読んでいけばよいのか、独学ではなかなか難しいかもしれません。

そこで実際にモノを見て、これは何のための道具?何用のカトラリー?といった知識も身につけると同時に、実際にモノを鑑定するという実技に入ります。

普段は、例えばアンティークショップにある品物、またはオークションに出品されている品物の解説を読む=受動な立場なのですが、この2級では自らそれらを鑑定する=能動、の作業を行います。

言われればそうだけど、自分で言語化する、というのは慣れていないとなかなかできないもの、最初は「え~っと…」と戸惑うのですが、何を言えばよいのか、リストに沿って言語化していくうちに出来るようになります。

みなさんそれぞれ配られた鑑定品のdescriptionを仕上げていきます。サインが摩耗していて読めない、これは手彩?プリント?この刻印はいったい何?と、アンティーク品ですから状態も様々。様式は?装飾文様は?とさまざまな角度で紐解いていきます。ちなみにこの鑑定品はそのままお持ち帰りいただけるのですよ。

どっと疲れたところでお昼は近くのお店でランチ。講習会場近辺のレストランは色々利用しましたがコロナ以降なくなってしまったり経営が変わってしまったりで、そんな中このところ利用していて評判のよいのが「スパイス料理とワインZero」という名の、カレー屋さん。全くカレーの雰囲気がない店名と店内なのですが、お昼のカレーが美味しくて、みなさん満足してくださいます。

焼き立てのナンが絶品!

午後の3限目は銀器の鑑定を、刻印を入念に読み込みながら実践です。休憩時にルイボス・ティと生クリーム大福で目の疲れを取ったところで、4限目は複製芸術について。写真、版画の世界を紐解いていきます。よく蚤の市などで見つかる古い写真やファッションプレートの見かたを、ルーペを使いながらの鑑定ごっこで初日の講習が終わりました。

いつも講習で利用している東京芸術劇場が来年7月中旬まで一時休館とのことで、次回の講習はこの便利な会場が利用できずに残念。

1日目は終日会場にこもっての講習でしたが、翌2日目は午前にオンライン講習が2コマ。1コマ目はアール・ヌーヴォー&アール・デコ。ちょうど午後の見学地にも沿ったテーマですね。そして2コマ目は西洋美術史I。なぜアンティークを勉強するのに西洋美術史をやらなくてはいけないのか、というご意見(ご批判)はよくあるのですが、アンティーク=装飾美術は西洋美術史と深くかかわっているのです。西洋美術史の流れを知らずして装飾工芸品を語ることはできないのです。

オンライン講座が正午で終わり、午後は東京都庭園美術館にて集合、当協会の検定監修者である岡部昌幸先生による解説で館内を見て回ります。とはいえ「館内」に入れたのは実に集合から1時間後、まず庭園にてこの館が建てられた歴史、国の重要文化財に指定されるまでの経緯、野外彫刻の存在から茶室見学、建物の外観での建築としての見かたなど教わり、そしてようやく「建物公開2024 あかり、ともるとき」展を鑑賞。

外は時折小雨が降ったり止んだりのどんよりなお天気な上、展覧会も会期の初めにも関わらずかなりの入館者でにぎわっていました。そのためか館内カフェも混み合っており、予約時で7組待ちでしたが、ちょうど一通り旧館を鑑賞できたタイミングで席に案内され、お茶とケーキでの懇親会を兼ねたひと時も。

最後に新館の方の展示品も鑑賞し、足も脳みそもフル回転でしたがこれにて前半の講習が終了いたしました。後半はまた3週間後ですね。ご参加いただいたみなさま、お疲れ様でした!