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第3回アンティーク検定講習・3級

新年早々の3連休でしたが、1/12-13と第3回アンティーク検定講習・3級が行われました。検定講習は検定試験と同レベルの内容を、複数の講師とともに集中講座で学び、理解し、級を取得するシステムです。検定試験に向けて独学で勉強するよりも、仲間と一緒に学べる、疑問に思っていたことを質問できる機会がある、落ちるかもしれない試験を受けなくても確実に級が取得できる、とメリットもある一方、80%の出席が必要で、お仕事をされている方などは週末をまるまる講習に充てなくてはなりません。
 

今回はその検定講習に、あるアンティーク・ショップのスタッフさん全員が研修でご参加いただき、また地方から上京して泊まりで受講されるモチベーション高き方も何名かいらして、定員10名・満席での講習会でした。
 

初日は東京で初雪を観測した寒さ、会場はもちろん暖房がありますが、やや寒い中で終日座学の講座。アンティークの定義や、古物の関税法、装飾美術様式と美術様式の関連、宝飾・銀器などについて学びました。
 

2日目は陶磁器に関する区分のお話、そしてオークション会社の社員の方による、昨今のマーケット事情や世界のマーケットの流れや行方などの解説、そしてハイライトである午後の課外授業では本検定監修者・岡部先生の解説による赤坂離宮迎賓館を見学、室内装飾や建築様式を一緒に見て回り、最後にニューオータニ内のカフェにて授与式、晴れて参加者全員が3級のディプロマを手にしました。


 

 

 

検定講習は一気に講座のシャワーを浴び続けるため、ちょっと頭の中の整理が必要ですが、すぐ後に過去問を解いてみると、あら不思議!全問答えられるほどに理解できる内容です。
 

試験で実力を試すもよし、講習でとことん納得し理解して級を取得するもよし、3級と2級はどちらでもチャンスがあります。
 

1月後半からは、2級の検定講習が行われます。
 
 

第2回アンティーク検定講習2級が終了しました

 4日間に渡って行われました、アンティーク検定講習・2級の部が終了、講習参加者全員が無事ディプロマを手にしました。
 

よく「宮様」が記念撮影をされる場所で、監修者・岡部昌幸先生と。


 

 2級の検定講習を受講するためには、3級を試験で合格しているか、講習で修了している必要があります。つまり、基礎知識を既に習得している方々のための講習ですので、奥深く西洋装飾美術、西洋アンティークの世界への理解を深める講習です。今回の講習参加者は、今年7月の検定試験で3級を合格された方、1月や9月の検定講習で3級の講習を修了された方たちで、みなさん今年になって3級取得で勢いがついて、このまま2級も一気に!という力みなぎる方達ばかりでした。
 

 前半2日目は、あわや台風にぶつかりそうになりましたが、お昼休みを返上で早めに終了し、なんとか無事でした。台風が半日ズレていたら2日目は休講とせざるを得なかったと思いますので、全く幸運です。後半の庭園美術館見学日も、予想では小雨かなと思っていましたが傘の必要もなく、おかげで普段はなかなか見て回らないような「絶景コース」まで堪能することができました。特殊な杉や松の木の名前まで解説いただきました。

 

 

 西洋美術史を一通り(ルネサンスから20世紀初頭まで)網羅し、陶磁器・銀器・ガラスの鑑定アトリエを行い、宝飾・モードの世界、版画・写真などの複製芸術の世界、家具や様式のおさらい、オークションカタログを読む際の英語による特別な表現の学習、現代マーケットのお話・・・あらゆる方向から西洋装飾美術の世界に切り込んでいけたのではないかと思います。
 


 

 アンティーク検定試験2級は、合格基準が各科目70%と、入門の3級(合格基準は60%)に比べればかなりハードルが高いのではないかと思いますが、今回のような講習で学んで納得して理解して級を取得したかった、という方も多く、級を取得する一つの手段と考えていただければと思います。
 

 次回は来年の1〜2月を予定しています。ご興味のある方は、HPにてご確認の上、お問い合わせいただければと思います。
 
 

第2回アンティーク検定講習・3級、ショーメ展とカフェ・ロブションにて無事終了!

 まだまだ夏日が続く9月の土日2日間にて、第2回アンティーク検定講習・3級が行われました。
 

 今年2018年よりスタートいたしましたアンティーク検定講習は、講習に参加することでアンティーク検定試験と同等の資格を取得できるシステムです。試験の日程が合わない、そもそも試験が苦手、一人で教科書を読んで勉強するより講習で楽しく学びながら取得したい、いろいろ聞きながら勉強したい、普段はなかなか講座に通えない・・・そんな方達の要望に応じて行っています。
 


 
 3級は土日の2日間で12単位を修得します。
 

 講習科目:6科目 全12単位(合計12時間)
 
– 西洋美術史入門
– 西洋陶磁器
– 銀器
– ガラス
– 家具様式
– 宝飾芸術(ジュエリー)
 

 

 集中講座ではありますが、一緒にランチを食べたり、ティータイムを設けたりして、リラックスした雰囲気で行なっています。
 

 今回の参加者は全員全講習を参加、30分待ちの三菱一号館美術館で開催の「ショーメ展」も見学し、無事全員が修了証を手にしました。
 

 


 

 修了証授与のカクテル会場に考えていた CAFE1894 はやはり満席(ここは残念ながら予約ができないのです)、でも涼しい風が吹いてきた時間でしたので、カフェ・ロブションのテラスにて行いました。それぞれのアンティーク・コレクションのお話、海外での体験談などに花が咲きました。
 

 次回の第3回アンティーク検定講習・3級は2019年1月を予定しています。
 
 

いよいよ第7回アンティーク検定試験

 本日は、第7回アンティーク検定試験が実施されます。1週間前には、1級受験者を対象とした対策勉強会が、昨日は2級と3級を対象とした直前対策勉強会が実施されました。参加者の受験生はみなさん真剣にノートを取って、講義に臨んでいました。
 

 

 
 毎回、検定試験直前に行われる勉強会には、かなりのピンポイントでのヒントが隠されています。しかしながら、勉強会の目的は出題をバラすことではなく、あくまでも西洋装飾美術の世界、西洋工芸の世界の基本的な「知っておくべきこと」をお伝えすることにあり、ここをチェックして見ればものの見方がわかりますよ、と指南するもの。
 

 そうは言ってもここは日本、西洋装飾の世界はそう日常に身近にあるものではありません。こういうのをチッペンデール様式と言いますよ、と言われても、チッペンデールの椅子はそうそうお目にかかれるものではありません。そこが外国文化を学ぶ辛さでもあります。
 

 幸い本年は、「西洋骨董鑑定の教科書」(発売元 パイ インターナショナル)という、イギリス人のアンティーク・エキスパートの著書の翻訳が刊行されたことで、現物を見たことがなくても鮮明な画像で、チッペンデールの椅子の特徴を学ぶことができるようになりました。
 

 まずは頭の中に基礎知識を仕入れて、そして現物を見にヨーロッパに行って納得する、という方向、また逆に何もわからずインスピレーションで「いいな」と思ったものを持ち帰り、はてこれはどういうものなのだろう、と調べ上げる方向、どちらから入っていってもいいのではないかな、と思います。
 

 受験生のみなさま、頑張って合格しますように!
 

西洋骨董鑑定の教科書、ついに発売!

 この度、パイインターナショナル社より、「西洋骨董鑑定の教科書」がついに発売になりました。
 
 

 美術史を学ぶための書籍は巷に溢れているのに、装飾美術を体系的に学ぶための本はなかなか見つかりません。とはいえある分野に特化したものーたとえば「ウェッジウッド物語」(日経BP社)、「リモージュボックス」(平凡社)、「ウィリアム・モリス」(河出書房新社)、「魅惑のアンティーク照明」(西村書店)ーといった本ーはありますし、洋食器のブランドやお店紹介のような本もそれなりにあります。そもそも装飾美術とは、使って愉しむためのもの、堅苦しい理論めいた本などなくても、興味を持ってコレクションしていくうちに、自然と覚える・・・当協会の設立者もそのように思っており、いわゆる「教科書」「検定本」を作ることには、あまり積極的ではありませんでした。
 

 日本人は真面目なので、教本があれば、教本を読んでガリ勉してしまいます。英検受かっても、喋れないじゃないか・・・というのも、英検攻略本で効率よく勉強すれば、検定試験は受かる、でもそれって英語のコミュニケーションを身につけたことになる?というのと同じで、モノを見ないで触らないで、買いもせずに、ただ本で覚えた知識で「アンティーク鑑定ができる」なんて人を作りたくはなかったのです。
 

 しかし、それはやはり傲慢な考えだったのかもしれないと思うようになりました。自然と身につける、なんてことは、よほどの情熱や時間をかけないと難しいのです。ここは日本、西洋ではありません。代々伝わる、おばあちゃんが使っていたチューリーンや、銀のシュガーシフタースプーンや、アンティークドールは、日本の家庭にはないのです。
 

 それに美術史も同じ、ただ絵を見ていても絵がわかるようにはなりません。絵画はそもそも誰もが簡単に理解できるものではありません。そう、美術は教養なのです。ちゃんと絵がわかるようになるためには、専門的な知識(たとえばアトリビュートなど)を学ぶ必要があります。解説書を読んだり評論を読んだり・・・1つの美術展が開催されるたびに、山ほど関連図書が刊行されているのも、そういう書物の助けなしには、理解できないからなのです。
 

 そうは言っても本を出版するというのは並大抵のことではない、今や書店は年々減り続け、本を読む人口も減り続け・・・やがて紙の本は消滅するのでは、とささやかれているご時世。出版助成もなかなか「公共性」がないゆえに応募基準を満たせず、という状態でした。
 

 そんな折、美術書や豪華本の出版で定評のある、パイインターナショナルさんより、イギリスのアンティーク専門家の本を翻訳刊行するにあたって、監修をお願いできないだろうかというご依頼が、当協会を通じてありました。これは神の思し召しか!?と、当協会を挙げて全面協力させていただくことに。
 

 このような経緯でもって関わらせていただいた本書ですが、ものすごい情報量がぎっしり詰まっており、また分野によっては日本語がまだ確立していない語句も多くあり、連日連夜、原書出版社、編集者、翻訳者を交えての研究、議論が続きました。
 

 椅子の脚一つとっても、日本語では「椅子の脚」、しかし原書ではどの部分を指すかによって語彙がいくつもあります。背の部分も同じ。「家具職人はこういう言い方をする」「いや、でも一般的にその言葉は誤解を招く」といったようなことが、多くありました。語彙が少ないということは、そのものの歴史が浅い、ということでもあります。そう、日本に西洋の家具や照明器具が入ってきたのは歴史的にも新しいので、燭台の枝の数によって呼び方が違うなんて文化はなかったのでした。
 

 本書が出版されたことによって、西洋装飾美術の世界を理解する手助けの一つとなれば、こんなに喜ばしいことはありません。
 

 画像を眺めているだけでも楽しめる豪華な教本ですので、ぜひ手に取って見てくださいね。
 

 本書は当協会でも販売しています。