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2025年冬・公式海外研修【東洋のプチ・パリ 〜べトナムで愉しむフレンチ・コロニアル建築とアンティーク・マーケット〜】DAY0

2025年の海外研修、すでに3月に南仏にて実施していますが、今年はもう1回、12月に初のアジア、ベトナムで行うことにしました。

西洋アンティークの研修でなぜアジアに、それもベトナムに行くのかと言えば、今回の目的はアジアにおけるコロニアル建築の見学です。コロニアル建築とは一般に宗主国が本国の建築様式を現地の文化・風習・気候 に合わせて変容させていく様式で、独立前のアメリカではイギリスの建築様式がアメリカの風土に合わせて作られていました。

ベトナムは1887年~1954年にかけては「フランス領インドシナ」とフランスの植民地であり、仏領インドシナ時代のフランスの建築が最も多く残されているのがホーチミンやハノイ。ベトナム戦争があったにも関わらず残されている建造物が少なくありません。またフランスの植民地になる前は中国から侵略されていた歴史もあり、中華とフレンチという二大美食の影響を受けていることもあってベトナム料理は繊細で美味しいのです。旅行中の料理が美味しいというのは大事な要素の一つですよね。

さらに今年はアール・デコ100周年、1925年のパリにおける「現代産業装飾芸術国際博覧会」(通称:アール・デコ博)が開催されて100年目にあたります。この時期のベトナムはフランス領、フランスのアール・デコ建築であるホテルに泊まることが出来ればと思い、2023年からずっとお世話になっているユーラシア旅行社さんに相談したところ、「ベトナムはいいですよ、円安の中、同様にベトナムドンも安いからマジェスティック(1925年開業、ホーチミンのアール・デコ様式建築ホテル)にも泊まれるように組んでみましょう」とご協力いただきました。

日本から6時間で行けて、時差が2時間というのも魅力的です。ヨーロッパへの15時間近い飛行時間はやはり体力的にもお財布的にも厳しいですよね。

12月の日本は沖縄を除いては真冬で、日照時間も最も少ない陰鬱な季節。そんな時に南国ベトナムで太陽に当たり、平均年齢の若い新興国でエネルギーをもらえれば、という思いで募集をしたところ今回は総勢10名での研修旅行になりました。

当協会での本来の研修スタイルは、あまり移動することなく1〜2箇所に連泊してゆっくり滞在型スタイルなのですが、今回は5泊7日で3箇所に動きます。そう何度も訪れることもなさそうならば、思い切って北部、中部、南部と異なる顔のベトナムを垣間見てみようという好奇心溢れる欲張り根性がつい出てしまいました。さてどうなることでしょう。

研修旅行説明会はベトナム・フレンチの素敵なお店で

今日は、今年12月に予定しています「東洋のプチ・パリ 〜べトナムで愉しむフレンチ・コロニアル建築とアンティーク・マーケット〜」の海外研修説明会をユーラシア旅行社さん主催で行いました。場所は丸ビル内のレストラン「カサブランカシルク」内個室、東京駅ビューのスポットです。

11時半より30分ほどは、アペリティフをいただきながら「フレンチ・コロニアル建築」に関してのセミナー。フランス領インドシナの成り立ちと共に、ベトナムにおけるフランスの様式建築やモダニズム建築について、訪問予定地を写真で追いながらご紹介、またベトナムの陶磁器「バッチャン焼き」「ソンベ焼き」、そしてベトナムのグルメについてのお話もいたしました。

旅の満足度のバロメーターは天候と食べ物とはよく言われますが、宿泊も大切な要素。今回はすべて5星ラグジュアリーホテルで、パリのクリヨンやロンドンのクラリッジス級のホテルもベトナムだからこそ実現できるのです。なんと今や世界で「安い旅行先」として挙がっているのが、ウズベキスタン、ベトナム、そして日本だとか!

書籍『ベトナムに誕生したパリ 建築のハノイ』(文 大田省一 写真 増田彰久)などをご紹介しながら、洗練されたベトナム・フレンチのランチコースをいただきます。フランス料理のようにコース形式のサービスです。

日本でいただく、エレガンスなベトナム料理ですからどれも美味しいのですが、旅行会社さんの説明では本場ベトナムでも食事でお腹を壊したり体調不良になったりする人は極めて少ないとのこと。旅行中はつい欲張って普段以上の量を食べてしまうのに加えて、どうしても油を摂りすぎるのが旅先での注意点ですが、ベトナムのお料理は野菜が多いことで繊維質が十分含まれているのか、日本人の胃に合うのでしょうね。

今回のコースもどれも美味しく堪能しました。説明会にご参加いただいたみなさま、有難うございました。

ご興味を持たれている方、是非ご一緒いたしましょう。お問い合わせ、お申込みはこちらよりお願いいたします。

東洋のプチ・パリ 7日間 ~ベトナムで愉しむフレンチ・コロニアル建築とアンティーク・マーケット~

無事帰国、2025年度の海外研修、お疲れ様でした <DAY9>

前日22時に出発したエールフランス0274便は、羽田空港に無事ほぼ定刻で到着しました。欧州直行便はウクライナ戦争前より3時間ほど長くなり、この3時間が結構キツイのですよね。

夜の18時40分過ぎに着陸して外を見ると、もう日が暮れていることにちょっと驚きます。というのも現地では夏時間になってから20時くらいまで明るかったのですから…そしてなんだか肌寒い。どうやら東京は4月に入って冬のような寒さが続いていたとかで、そのおかげか最後の葉桜混じりの桜もなんとかこの週末に鑑賞できそうです。

さて、今回のツアーでは添乗員エリちゃんに大変お世話になりました。いつも笑顔で元気はつらつ、添乗のメイン業務であるスケジュール管理に関しては抜かりなく一歩も二歩も先を読んで行動して下さるおかげで、無駄なく効率よく動くことができました。参加者のみなさんも「娘みたい、というか娘よりかわいい」などと誰からも愛されるキャラのエリちゃんですが、時には時間に遅れてきたドライバーには堂々としかりつけ相手の非を認めさせ「チップあげないよ」と脅し教育をし直すという、なかなかのしっかり者なのです。普通なら摩擦を避けようとなあなあにするところを筋をきちんと通すエリちゃんの姿勢にドライバーも襟を正し、終日低姿勢で最後には「私の仕事は如何だっただろうか」とおどおどお伺いを立てる始末で「よしよし、私も今朝は怒ってごめんね」と、爺と孫娘のような関係になってしまう、コミュニケーション力ピカ一の添乗員です。

ドライバーさんとのやり取り、時間配分、各種支払いなどツアーリーダーとしての業務以外にも一人一人の行動や体調にも気を配り、時にはお客さんの荷物を持ち、ホテルの部屋の不具合の調整コーディネートから、全員の帰りのフライトの座席の希望席(通路側)確保まで、本来業務ではないところもたっぷりサービスをしてくださいました。

ルイキャーンズでは一緒に楽しそうにお食事の席に着いていましたが、内心ドライバーさんの時間延長など気にしながらだったのでしょう、こそこそメッセージを送りながらも舞台ではニコニコ、ちなみにエリちゃんが飲んでいるのはノンアルコールワインです。お仕事中ですものね。

月1回の割合でどこかの国に添乗に出ているというエリちゃん、今後の夢は南極ツアーへの添乗だとか。ペンギンと戯れるツアー、是非実現させてくださいね!この度は本当にお世話になりました。

さようなら南フランス、最後にモナコ大公宮殿 <DAY8>

楽しかった海外研修も最終日になりました。すでにツアー本体とは別フライトで帰国するSさんは早朝にホテルを出発、トランジットの空港に無事着いたとの連絡が。ツアーの出発はホテル発13時、それまでは自由時間です。ニースは今日が一番お天気のよい日のようで、朝からさんさんと太陽が照っていました。

最後のお買い物をマルシェでする方、地中海の海に足だけでも浸かろうと海岸を目指す方、旧市街の17世紀バロックのラスカリス宮殿を見学する方、みなさん様々に最後のニースの半日を過ごします。

ラスカリス宮殿訪問組は朝10時のオープン時にスタンバイ。ここもニース市立美術館の1つで、昨日のマティス美術館と共通のチケットで見学することができます。見学予定の児童たちも並んでいて、悪さやおしゃべりをする度に先生に「静かにしなさいっ!」と叱られているのもどの国も同じですね。

オープンと同時に入場すると「どの言葉の解説がほしい?」と聞かれます。かつて日本人が世界中に観光に訪れていたあの光景は今では過去のものとなり、多言語表示から日本語が消えて久しくなった今日、でも一応言ってみようと「まさか日本語なんてあったりしませんよねぇ」と尋ねると「日本語ね、はい!」と日本語で書かれた概要のコピー用紙を渡されるではないですか!句読点が行頭に置かれているなどのミスは可愛いもの、まさかこんな小さな宮殿で、と感激しながら階段を上がっていくと…監視件ガイド役のおじさん(!)の制服には話せる言語の印で日の丸の国旗が!

どうやら日本オタクのようで、日本には15回行っている、そして日本の音楽家たちと知り合いだとのこと。この宮殿には17世紀バロック期の古楽器が多く展示されており、楽器の解説がやけに素人離れしていると思ったら、作曲家でもあるのだそう。どこまでが冗談か本気かわからないところも、イタリア気質のフランス・ニースならではの公務員、自分のYouTubeの宣伝をしたり率先して一緒に肩に手を回して写真を撮りたがるなど日本の公務員からしたら懲戒免職もの!?

さて、13時にホテルを出発したバスは、一昨日のモナコへとまた向かいます。そう、あの大公宮殿内部見学が残っているのです。実際に住んでいる宮殿ですから見学できる期間が限られており、ようやく昨日オープン、今日は2日目です。入口で聴きたい言語のオーディオガイドが渡され(日本語もありました!)、ガイドを聴きながら宮殿内を進んでいきます。

見どころたっぷりの宮殿ですが、長居はできません。というのも「モナコ王室御用達のショコラティエ」へ行くというオプションが待っているからです!もう10分しかない、という限界値でもやっぱり行って買ってしまう私たち。添乗員エリちゃんに「さあ、もう行きましょ」と促されて駐車場へ戻り、そのままニース空港へ。バイバイ、モナコ、また来ますね。

パリの空港のごった返している光景とは裏腹に、こちらはがら~んとのどかな光景が。チェックインのゾーンで手持無沙汰に待っている係員にEチケットを見せると「あの機械で自分でバゲージタグ出して、ボーディングパスも出してきてね」と笑顔ながらもセルフ・チェックインを強制される今日この頃。もはやすべてがセルフが当たり前のシステムになったのはいいけれど、なかなかバーコードやQRコードを読み込めずにエラーになる機械の方ももう少し精度を上げてくれませんかねぇ。

なんやかんやでチェックイン完了、手荷物コントロールもパリほどの混み具合ではなく、手続き後は比較的時間もあり、ここで軽くおやつを食べたりコーヒーを飲んだりしながらニースからパリ行のフライトに定刻通り搭乗しました。パリに到着し延長滞在されるKさんとはお別れ。せっかくフランスに来て、パリで乗り換えるのですから2日間パリの美術館をはしごしてお帰りになるのだそう。装飾美術館のクリストフル展をはじめ、パリで見るべきものは目白押しですからね。

シャルル・ド・ゴールでのトランジットは超ラッキーゾーンで、そのままノー・コントロールでした。当日にならないと分からないゲートゾーンがたまたま到着ゾーンと同じだったので、また水を没収されたり電子機器をいちいち取り出したりということもなく、羽田行の出発ゲートで待機。お土産コーナーがラベンダー一色からインターナショナルな雰囲気に変わります。

さて、これから13時間半の夜間飛行です。みなさんぐっすり眠れそう。

南仏の美術三昧な日 <DAY7>

昨夜のディナーが終わったのは深夜、ホテルに戻ったら日付が変わっていたのですから流石に今朝はもうぐったり、朝食も食べられるかしら、とやや遅めの朝食ルームに降りていくと、みなさんそれでも旅行中は頑張れるのか「昨夜は夢のようなひとときでしたね」と語り合いつつ朝のコーヒーを。

今日のオプションは美術館三昧です。午前中にニース市内のシミエ地区にあるマティス美術館とシャガール美術館を見学、ここはガイドブックにも載っている定番の美術館ですからすでに訪れたことのある人も多いのですが、何十年も経つと記憶もちょっと薄まってきて…

このところ美術品を破壊する人たちへの対策か、南仏の美術館はセキュリティがしっかりしていて水などの飲み物を禁止しているところが多いのだとか。そのためバスの中で水分を補給し、ペットボトルを置いていく、ということになります。

マティスの美術館はニース市立で、マティスが最期を迎えたアトリエと、彼が眠るお墓の近くにあります。

マティス自身のコレクション(陶磁器や銀器)も展示されていました。

その後はすぐ近くのシャガール美術館へ。修復中で一部見学ができないルームがあったためか、なんと無料!でもロープ越しにほとんど見られました。

2館をたっぷり見学した後はホテルに一旦戻り、1時間半ほどのフリーランチタイム。もうさすがにバターやクリーム系の食事はできないな、ということでアジア食に向かった人が多かったようです。大きな街ならどこにでも中華のお惣菜屋さんがあるのは、我々日本人にとっても有難いことです。

午後はホテルから5分ほどバスで行った場所にあるマセナ邸(マセナ美術館)へ。1898年~1901年、ナポレオンの有名な将軍でありニース出身のアンドレ・マセナ公爵の子孫によって建設、19世紀後半の華麗な建築様式にベル・エポック時代の典型的なデザインが見られます。ホテル・ネグレスコのある地区にあり、この辺りには高級アンティーク店もある地区です。

美しいフレスコ画や豪華なシャンデリア、19世紀フランスの家具や装飾品が展示されていました。

その後はお隣の町、カーニュ・シュル・メールにあるルノワールの家へ。ルノワールのかつての自宅兼アトリエが美術館になっています。

日本人画家の梅原龍三郎が、ルノワールに会いにこの家を訪れているようです。
ルノワールが実際に使用していた家具なども展示されていて、まるでルノワールがまだ生きているかのよう。

高台のルノワールの家からオリーブの木や海を眺めていると、ルノワールの画風の情景が浮かんでくるようです。

カーニュ・シュル・メールからニースのホテルに戻り、最後の夕食です。夜はホテルから歩いて行ける距離にある、日本人夫婦が営んでいる評判のよい地中海フレンチのお店 L’eau de Vie へ。

19時の予約でしたが、ほとんどのお客さんが予約と共に入店、ほどなくして満席状態になっていました。ムッシューが一人で料理を担当、すべてこの地域の食材で手作り、マダムがフロアを担当されていて、日本語でのメニューも準備してくださり、みなさんどことなくホッとした顔つき。最後のフェアウェルディナーですので、この地方のロゼで乾杯し、研修旅行最後の夜を一緒に愉しみました。

夕食後、夜の海を見に行ってみようか、とプロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊歩道)の辺りへ行くと、なんと泳いでいる強者たちが!4月に入ったばかりというのに、地中海の夏はもうそこまで!