AEAOサロン倶楽部」カテゴリーアーカイブ

たくさんのバルボティーヌに囲まれて in 藤香想

 AEAOサロン倶楽部・7月の会は、「バルボティーヌ陶器を知る!」というテーマにて行いました。
 

 会場は、本サロンで初となる、古民家カフェ『藤香想』。池袋からメトロで1つ先の駅、要町の住宅街に、いきなり緑が生い茂るお庭に囲まれたレトロな空間があります。そこが知る人ぞ知る『藤香想』、昭和28年に建てられた民家を改造して、2014年にオープンした、ほんわり温かい雰囲気のカフェです。ここは単なるカフェではなく、ギャラリーでもあり、コンサートホールでもあり、ヨガやら哲学カフェやら、いろいろな文化イベントを通して、人々が集う空間として存在しています。
 

 集う家 カフェ『藤香想』(とうかそう)の物語
 

  
 チェーン店のカフェばかりのこの時代、非常に貴重なカフェですね。
 

 この要町界隈は、昭和初期には大勢の芸術家たちが暮らしていたらしく、「池袋モンパルナス」と呼ばれている(いた?)とか。池袋モンパルナスについては、Wikiにも記事が出ています。
 

 池袋モンパルナス(Wikiの記事)
 

 この藤香想には、2階に和室の個室スペースがあり、今回のAEAOサロン会場で使用させていただきました。西洋アンティークを畳の部屋で!?というミスマッチは承知の上、しかしなかなかまったりしてしまうのが和室の魅力でもあります。
 

 さて、本題のサロン、バルボティーヌですが、今回はゲスト講師として、古美術ランジュドメゾンの店主・森岡美香さんによるレクチャーで行われました。たくさんのバルボティーヌ陶器をお持ちいただき、実際に触ってひっくり返して、窯の刻印や釉薬のかかり方を見ながら、歴史、形成方法、なぜ19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行ったのか、なぜ今は作られていないのか、アンティークのバルボティーヌと現代のものとの違い、どんな窯があるのか、人気のモチーフは・・・とありとあらゆるお話をいただきました。
 
 
 
 
 

 藤香想特製の「棒茶」とコーヒーゼリー&アイスクリームのティータイム中も、みなさんでアンティーク談義に花が咲き、楽しい日曜日の午後のひとときでした。
 

 次回8月のAEAOサロンも、引き続き藤香想にて行います。次は「大正ロマンの西洋アンティーク」、和と西洋アンティークのテーマにふさわしい会場です!
 
 

ミュシャとムハで無茶しました!?

 AEAOサロン倶楽部、5月の会は今年度上半期最大のイベントでした。毎月、何かしらテーマを決めて行っているこのサロン、ちょうど国立新美術館で開催中のミュシャ展に合わせて、話題になっているスラヴ叙事詩とアール・ヌーヴォーの作品の対比を、レクチャーと音楽で紐解いていきましょう、という企画でした。

 
 会場は、この企画にうってつけの、一誠堂美術館&カフェ・エミール。自由が丘にあるこの美術館は、アール・ヌーヴォーのガラスの工芸館として、ゆとりと豊かさを感じさせてくれる極上のサロンです。また、カフェ&エミールは、ミュシャのポスターで壁面が装飾されている、シックなサロン・ド・テ。この会場を、AEAOサロン倶楽部のために貸切で提供してくださった、川邊会長の温かいおもてなしに感謝です。
 
 
 

 前半は、群馬県立近代美術館館長・岡部昌幸先生による、ミュシャのレクチャー。いっときは忘れられた作家であり、またチェコ時代は時代に取り残された、不遇な作家として生きた、その一生をパノラマ的に解説してくださいました。

 

 ティータイムをはさんでの後半は、東京フィルハーモニー交響楽団のヴィオラ奏者である手塚貴子さんの、無伴奏ヴィオラ・リサイタル。ミュシャがサラ・ベルナールのポスターの専属デザイナーとなったパリ時代の、『トスカ』や『ラ・トラヴィアータ』をヴィオラ用に編曲(編曲は奏者自身)したものを演奏、やがてチェコで生きるムハの姿を『モルダウ』で表現します。
 

 ハイライトはヒンデミットの無伴奏ヴィオラのためのソナタ作品25-1の熱演。ヒンデミットは、ミュシャと同時代の作曲家であり、またクラシック音楽ではじめて実用音楽を唱えた作曲家です。実用音楽とは、特定の目的のために存在する音楽、今で言えば当たり前の商業音楽、ということになるのでしょうか。芸術のための芸術ではなく、一般大衆のための音楽活動で、たとえばダンスや映画のための音楽を言います。ミュシャの芸術活動も、オペラや演劇のためのポスターを制作し、またスラヴ民族復興運動のために活動していたわけで、非常に共通点のあるテーマとも言えるでしょう。
 

 会場のスペースが、定員30名のところ、非常に多くのお客様が参加希望で、無理やり35名を詰め込んでしまい、お客様には窮屈な思いをさせてしまったのが、申し訳なく思います。ちょっとそれでもみなさんお愉しみいただけたとしたら、嬉しい限りです。
 
 

写真の世界を解き明かす!ロバート・メイプルソープ写真展@シャネル・ネクサス・ホール

 AEAOサロン倶楽部4月の会は、写真をテーマに取り上げてみました。
 

 古いセピア色の写真、ちょっと形がいびつになったアンティークの写真が、蚤の市でもよく売られています。モノクロだけれど、一色だけ赤やピンクのカラーが入っているものも、ときどき見かけます。そもそも写真は、いつから、どのようにして発展してきたのか、市場価値はどういうところがポイントなのか、写真の「オリジナル」って果たしてあるのか・・・そんな写真に関する疑問を解き明かそう、ということで、写真の修復家でもある白岩修復工房の白岩洋子氏をお迎えしてのレクチャーを、銀座のカフェにて行いました。
 

 まずは写真の誕生の歴史から。ダゲール、タルボット、ウェッジウッド、ニエプスといった、19世紀の写真史に欠かせない人物名が登場します。
 

 写真の構造を理解し、「写真」、「写真製版」、「印刷」、それぞれの見分け方を学びます。シルバーゼラチンプリントとプラチナプリントの違いは、現物を見て触って、ルーペで細かいところを見ながらのお勉強。今回レクチャーの後で見学するメイプルソープ展では、この2つのプリントが展示されていますので、まずはしっかり違いを学びました。
 

 現代ではデジタル画像が主流ですので、もう紙の写真は要らない、という人もいるでしょうが、要注意!デジタル画像の寿命は決して永遠ではなく、CDやDVDでの保存は有限です。それに対してアナログ写真、いわゆる紙の写真は、紙が燃えない限り、残ります。(アナログ写真には、紙だけでなく、ガラス、金属、プラスチックもあります。)
 

 写真の構造を理解した後は、カフェからシャネル・ネクサス・ホールへ移動し、いよいよロバート・メイプルソープ展の見学です。
 
 
 

 光と影のコントラストを巧妙に表現した数々の作品、その主題もさまざまですが、特に最晩年の作品のテーマである花には、作家自らが死を予感していたと思われる要素を読み取ることができます。
 

 フォーマットとしては珍しい正方形の写真、それでも安定感と居心地の良さを感じるのは、メイプルソープならではの洗練された構図によるものだからでしょうか。
 

 白岩先生のプレレクチャーのおかげで、十二分に堪能できた展覧会見学でした。
 
 ロバート・メイプルソープ財団のHP
 

ミュシャ展、いよいよ開幕

 数多く開催される展覧会の中でも、2017年の代表的なものの一つとも言える「ミュシャ展」が国立新美術館にていよいよ開幕しました。
 

 

 会場に入ってすぐに迫ってくるのは、610 cm x 810 cm の超大作、「原故郷のスラヴ民族」。本展覧会では、「スラヴ叙事詩」が全20作公開されています。どれも巨大な作品なので、かなり離れて鑑賞したいのですが、いつ行くと空いているのでしょうね、内覧会では人、人、人、黒山の人だかりでした。
 
 

 全20作を揃って鑑賞できるのは、チェコ国外では世界初ということですが、必ずしも制作年の時系列的に展示されているわけではありません。1点1点ゆっくり解説と共に見ていくと、あっという間に時間も経ってしまいますが、そもそもミュシャが晩年の約16年間を捧げた大作たち、思う存分時間をかけて鑑賞したいものです。
 

 そしてスラヴ叙事詩で魂を吸い取られたかのような気分になった後は、アール・ヌーヴォーと世紀末、よく知られたミュシャのお馴染みのポスターが待っています。デビュー作とも言えるジスモンダ、メディア、ロレンザッチオ、ハムレット・・・ミュシャのもう一つの顔です。
 

 本展覧会の会期中、5月のAEAOサロン倶楽部では、『ミュシャとムハ、椿姫とスラヴの調べ 〜美術と音楽で紐解く、ベル・エポックの寵児〜』と出したイベントを、素晴らしい空間で行います。自由が丘にある一誠堂美術館、そして併設のカフェ・エミールを貸し切り、そこでミュシャとムハをそれぞれ紐解いていきます。カフェ・エミールには、壁が、ミュシャのポスターで埋め尽くされています。
 

 ガレやドームの逸品を集めた一誠堂美術庵を見学した後のレクチャーは、アール・ヌーヴォーの専門家でもあり、著書「アール・ヌーヴォーの美術」もある岡部昌幸先生。そしてティータイムをはさんで後半は、ミュシャとムハを、ヴィオラ奏者の独奏を聴きながら、音楽で感じていくという企画、是非多くの方にいらしていただければと思います。
 

 

18世紀ファイアンスの魅力

 AEAOサロン倶楽部3月の会は、『18世紀ファイアンスの魅力〜サントリー美術館「コレクターの眼 ヨーロッパ陶磁と世界のガラス」展鑑賞および見どころトーク参加』を、六本木・東京ミッドタウン内にて行いました。場所の魅力か、3月で気候もよいせいか、おかげさまでこの会は満員御礼となりました。
 

 展覧会は、コレクターのお二人が、それぞれサントリー美術館に寄贈したコレクション、「ヨーロッパ陶磁」(野依利之氏)と「世界のガラス」(辻清明氏)から成り立っています。
 

 物があふれ、物の処分に困っている現代、蔵書を近所の図書館に寄贈しようとしても断られる時代です。しかし、「コレクターの眼」をもって蒐集した、歴史的芸術的価値のあるものは、こうして一流の美術館・博物館に収められ、多くの人の眼を愉しませてくれることになるのだという、まさにその見本のような展覧会でした。
 

 プレ・レクチャーは、サントリー美術館のある、東京ミッドタウン・ガレリアの2階にあるukafeにて。オーガニック・カフェなので、オーガニック・コーヒーや和紅茶など、カラダが喜ぶ飲み物です。
 

 参加者のみなさまと、ukafeでお茶とともに、陶磁器のおさらい。陶器と磁器の違いは?鉛釉陶器、錫釉陶器、ボーン・チャイナ、硬質磁器、炻器・・・まずは焼き物の種類を学び、そしてそれぞれ何と呼ばれていたのか、「マヨリカ」「デルフト」「ファイアンス」・・・時間のない中、さらっと復習して、東京ミッドタウン・ガレリア3階に上がります。
 

 まずは学芸員による見どころトークに参加、そして待望のコレクションを鑑賞しました。コレクションのノウハウを知った後では、やはりみなさんの見どころ、チェックポイントが断然違ってくるようで、デルフトの染付や、マヨルカのアルバレロなど、熱心に鑑賞しています。
 

 ヨーロッパでは割合と残っているデルフトやマヨルカ、日本ではなかなか見る機会が少ないので、貴重な展覧会であると言えるでしょう。
 

 今回の展覧会は、写真撮影可とあり、貴重な素晴らしい工芸品をカメラに収めることもできました。