3月のパリ海外研修・2日目

 今日は丸1日、ドルーオー界隈での研修です。午前中は、セバスチャン・ムニエのタピストリーギャラリーを講義室にお借りし、まずはヴィエノワズリーでウェルカム・コーヒー。そしてアンヌ・コリヴァノフによる、ルイ14世からアール・デコまでの室内装飾の変遷について、学びます。通訳の小栁先生は、元々フランスの装飾芸術に造形の深い先生ですが、近年フランス教育功労賞を受勲された方だけあって、的確な翻訳がありがたい限り。
 

 
 
 

 近くの大衆ビストロ、シャルティエ(アール・ヌーヴォーの内装で有名です)でランチの後は、いよいよオークションハウス・ドルーオーにて、実際のオークションの様子を見学したり、翌日のオークションのためのプレヴュー会場を見学したり、フランスのオークションのしくみについて、どっぷりハマります。こんなカンタンに誰でも参加できて、落札できたらその場で支払いをして持って帰れるシステムに、みなさんアドレナリンが全開?
 
 
 
 
 
 
 

 その後はドルーオーのすぐ近くにある、18世紀家具のエキスパート、パトリシア・ルモニエのギャラリーを訪問し、ミュージアムピース級の家具についての説明をしていただきました。
 
 
 
 
 

 本日最後はパサージュ散策ですが、午後の3時、4時でも季節外れに寒い0度前後のパリ、風邪を引きかけた研修生もチラホラいましたので、散策はさらっと小半時間ほどして、2日目が終わりました。
 

3月のパリ海外研修・初日

 3月18日より、公式海外研修がスタートしています。
 

 今回のテーマは家具と室内装飾。18世紀の宮廷から現代までの家具工芸品に焦点を当て、家具の歴史、様式、木材をはじめとする家具素材の流行や変遷、室内装飾のスタイル、マーケットでの市場価格と動向・・・と、アンティーク家具に関する一通りのことを5日間で一気に学ぶプログラムです。
 

 通常の研修では、月曜スタートでまずは歴史などの講義からスタートし、徐々に実際にそれらの作品が収蔵されている場所など関連箇所を見学し、そして最後にアートマーケットの世界を学び、週末にはマーケット巡りなどもどうぞ、という流れなのですが、今回は例外的にマーケットからスタートしました。
 

 理由はというと、年に2回パリ郊外で開かれる「シャトゥのアンティーク市」の最終日が3/18であり、折角3月に研修を行うのであれば、 この歴史ある市・シャトゥに行かない手はない、と思ったからです。
 

 ところが前日3/17からパリは異例の寒波が襲い、雪が舞って来ました。シャトゥの市はイル・デ・ザンプレッショニスト(印象派の島)と呼ばれている、中洲の島にあり、風も吹き付けます。3/18の天気予報も雪、気温も0度を超えるかどうかという寒さです。こんな過酷な気候の中、屋外の市に連れ出して研修生の方達が体を壊しても大変、急遽プログラムを変更することも考えていましたが、「それなら1人ででもシャトゥに行きたい」という参加者もいらして、予定通り決行することにしました。この日を逃すと、確かにマーケット巡りの日がありません。マーケットを見て学ぶ、というのはとても大事な「目利きへの道」なのです。
 

 シャトゥ在住40年近くになる日本人の方が、カイロを持って私たちを待ってくださり、みなさん「寒い・寒い」と言いながらも、最集合の時点では両手にあれこれ抱えて帰ってきました。
 

 

 その後はヨーロッパ最大の蚤の市、サントゥワン(日本の通称名では「クリニャンクール」)へ。午後になっても気温は下がらず、寒いままです。いくつかのマーケットで、それぞれの店主によるスタンドを解説していただいた後は自由解散、屋根のあるマーケットもありますが、それにしても真冬並みです。雪はいよいよ本降りとなり、主催者は知り合いの暖房の効いたスタンドの中で避難させてもらいながら、ご近所ディーラーさんたちとマーケット情報交換をしていました。
 

 その間にみなさんしっかり買い物をされていたようで、「家具を買って、日本への配送手続きをしちゃいました」なんてアッパレな方も!今回の研修生は、どうやら思った以上に勇敢でタフです。
 

 寒〜いながらも、楽しいマーケット散策の初日が終了しました。
 

パリジェンヌってなんだ!?

 3月のAEAOサロン倶楽部は、ちょうど世田谷美術館で開催中の展覧会「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」に合わせ、ファッションにおけるロココから20世紀初頭までのパリの世界での立ち位置、パリジェンヌの装飾品について学びました。
 

 当サロンはワンスポット形式で行なっており、基礎知識も特に必要なく、誰でもいつでも参加できる開かれたサロンなのですが、今日は1つ、参加者のみなさんへ課せられたデューティがありました。それは、「自分にとってパリジェンヌ(パリジャン)をイメージするものを、何か1つ身につけてくること」。何も新調する必要はなく、お化粧でもファッションでもベレー帽1つ、スカーフ1枚でも何でもよいので、ちょっとパリジェンヌ(パリジャン)を再現してみましょう、という企画です。
 

 この課題に「三日三晩悩みました」という方、「自分が思い描いたパリジェンヌのあの服を着ようとしたら、太ってしまって入りませんでした」などのコメントと共に、まずはお一人ずつ自己流パリジェンヌ(パリジャン)を披露しながらのスタート。普段のサロンでは、会場内に余計な音楽などが流れていたら音を消してもらうのですが、今回は、昨年亡くなったフランス映画界のミューズ、ジャンヌ・モローのシャンソンをBGMに。
 

 
 そして、中山久美子先生(共立女子大講師、当協会認定アンティーク・スペシャリスト)による「パリジェンヌ展」の講義を、展覧会の章立てに沿って、フランスの政治や社会、風俗の歴史とともに、ルイ14世時代からジャズ・エイジまでを一気に徹底解説していただきました。
 

 
 18世紀の頃のお話は、宮廷文化ゆえ自分たちに遠い存在であるパリジェンヌ感も、19世紀後半労働者の女性や娼婦までもがパリジェンヌになり得る時代になると、社会風俗も身近に感じられて、質問も積極的に飛び出し、活気あるサロンとなりました。
 

 今回のサロンは、参加者のご好意によりご自宅のあるマンションの共有施設を利用させていただいたのですが、終了後はみなさんで高層マンションの屋上に出て、パリではなく東京の初春の空気を吸って、楽しく終えました。
 

 さて、来週からは本物のパリジャン・パリジェンヌたちの中での海外研修が始まります。
 
 

アンティーク検定講習2級・後半の部

 この週末は、アンティーク検定講習2級・後半の部が行われました。アンティーク検定講習でも2級は、一発試験で合格する代わりに、4日間24単位すべての講座を出席し、最後にチェックテストが行われます。時間も体力もお金もモチベーションも覚悟も必要な、それなりにハードルの高いものだと思いますが、誰1人脱落することなく、最後までやる気満々な講習生たちでした。
 

 後半初日は、テーブルアートの歴史と宝飾芸術についての講座。よくアンティーク市場のテーブルウェアでも「これは、何に使うもの?」と疑問に思うカトラリーなどがありますが、「XXに使うものです」とただ用途を知るだけでなく、なぜそういうものが登場しているのか、テーブルアートの歴史と背景はどうだったのか等を奥深く学びます。宝飾芸術も同じ、宝飾・ジュエリーというものの役割が変化してくる歴史や背景を知ることによって、なぜこの時代にこういうものが出て来たのか、がわかるようになります。
 
 

 

 午後は移動して、ロイヤルパークホテル・ザ汐留のバーラウンジで、陶磁器の授業。早めに行って席のセッティングをしていたところ、なんとTVスクリーンがあり、男子フィギュアのフリーが放映されているではありませんか!しかも、羽生選手、宇野選手の登場・・・結果はもうご存知の通り、日本勢が金銀を独占!すっかり気分も高揚したところで、高級3大食器と言われるマイセン、セーヴル、ヘレンドの磁器に関する講座を、ちょうど当ホテルでのストロベリーフェアのケーキ&お茶とともに行いました。
 

 その後は目の前のパナソニック汐留ミュージアムに移動して、ヘレンド展を見学し、初日は終了。
 

 2日目は、家具(椅子)の歴史でスタート。画像を見て、これはどの時代のどういう椅子か、を鑑定します。脚の形で推定できるもの、木材の種類で推定できるもの、使用されている材質で推定できるもの、そんな鑑定の材料について、学びます。
 

 外国語の授業では、オークションカタログに記されている用語(英語)は何を意味するのか、一般にはこの英語はこういう意味だけど、美術用語ではこういう意味にしか使わない、そんな業界に特化した英語を学びました。たとえば立体の作品のサイズを表記する場合、幅、高さ、奥行き、これらをどんな順番で表記するか、知っていますか?
 
 
 

 みなさんでイタリアンのランチをはさんで、午後は20世紀の西洋美術史、そしてアール・ヌーヴォーとアール・デコという2つの装飾様式について、輪廻の視点からのお話で紐解いていきます。単にアール・ヌーヴォーは曲線です、アール・デコは直線です、といった様式の特徴を頭に入れるのではなく(そんなことは受講生たちはとっくに学んでいますから)、美術とは、装飾とは、といった深い概念を洞窟絵画の時代から遡って考えるという、哲学のような講座でした。
 

 

 晴れて24単位すべて終了した後は、カクテル&授与式。受講生のみなさま、先生方、本当にお疲れ様でした。

 

 次回のアンティーク検定講習は、2018年9〜10月を予定しています。
 
 

シシィに愛された窯・ヘレンド

 AEAOサロン倶楽部・2月の会は、ちょうどパナソニック汐留ミュージアムで開催中のヘレンド展に合わせ、ヘレンドを取り上げました。会場は、12月のサロン(「華やかなりし、セーヴル磁器」)でお世話になった、銀座ミタスカフェの個室。ここのケーキはボリュームたっぷりで美味しい上、個室も素敵なアンティーク調度品で囲まれた空間なのですが、キャパに対して申込者が殺到し、2回ならぬ、まさかの3回開催となりました!ご参加いただいたみなさま、有難うございます。
 
 
 

 複製、コピー、パクり、真似・・・あまりよい言葉とはされていませんが、ヘレンドという窯がマイセンやセーヴルと肩を並べるほどの高級磁器の地位を築き上げたのは、まさにヘレンドが、古磁器を完璧に模倣することができたからなのです。マイセンのディナーセットの補充を請け負って、マイセンそっくりの品を作ることができた、この精緻な技術がヘレンドの発展に大きく寄与したのです。
 

 なんだ、マイセンのコピーか・・・と思うなかれ、そもそも陶磁器だけでなく、西洋の美術は模倣を手本としてきました。古くはルネサンス、古代ギリシア・ローマの美術を模倣して復活させることでした。陶磁器先進国であった中国からの青花を手本に、デルフトはブルー&ホワイトを生み出し、有田の柿右衛門はマイセン、シャンティイ、多くの窯にそのモチーフが転用されました。
 

 もちろん真似だけで大きく成長したわけではありません。ヴィクトリア女王に愛された「ヴィクトリア」シリーズ(注文されたからこそ、この名前がついたわけですが)、ウージェニー皇后に愛された「インドの華」、そしてエリザベート皇后に愛された「ゲデレ」など、時のファッション・リーダーたちから次々と愛されていったヘレンドの製品、実物を見れば、その理由もおわかりですよね。
 

 「何かヘレンドをお持ちの方はお持ちください、みなさんで一緒に鑑賞しましょう」と呼びかけたところ、1回目は講師だけが持参したのですが、2回目は何名かの方がそれぞれのキャビネットケースからお持ちくださり、さらに3回目は、もうクロスに乗り切らないほどみなさんあれこれお持ちいただきました。やはりコレクターも多いですね。
 


 

 先日開かれていたテーブルウェア・フェスティヴァルでもヘレンドのテーブルコーディネートのブースがあり、新作「ヴァイオレット」が展示されていました。皇妃エリザベートが愛したすみれの花のモチーフで、とても上品なシリーズです。4月より、販売開始となるそうです。