アール・デコ」タグアーカイブ

DAY4 ベトナム研修

ベトナム中部の12月は雨季で、基本毎日雨が降っている…はずなのですが、朝起きて天気予報を確認すると「ほぼ晴れ」。晴れ女たちがたくさんいるようです。

朝食もこれまたバリエーション豊富で目移りしそうな品揃え、朝から食べ過ぎると胃が重たくなるので注意しつつも好奇心には勝てないですね。

4日目となり若干疲労も溜まっているようですから、この日の朝はゆっくりめの10時出発。バスタブで朝風呂を楽しんだり、ルーフトップバーでホイアンの街を一望しながらボーっとしたり、この後のベトナム最大都市、ホーチミンへ向けて生気を吸い取られないようにしなくては。

チェックアウト時のドリンクサービスをいただいて、街中へ繰り出します。今日も元気はつらつのAI空ちゃんがお出迎え。潮州会館という中国潮州出身の人たちのかつての集会所(立派すぎ!)、そして昨日予定していたら休館していた貿易陶磁博物館へ。

ホイアン旧市街、この近辺で発掘されたもの、沈没船で引き上げられたものなどの展示で、中国や日本の陶磁器がどのような経路でどこを渡って取引されていたのか、そんな研究資料となる貴重な材料が展示されています。昨日の西野先生のお話とも結びついてきました。

ホイアン旧市街の楽しげなマーケットを後にし、空港のあるダナンへバスで戻ります。道中AI空ちゃんが私たちを喜ばせようと日本の歌を歌ってくれて、精一杯のおもてなしを感じます。ランチはなんとミシュラン掲載店「マダム・ラン」というガストロノミーなお店にて。多くの人たちが入口で待っているほどの有名店のようです。

ダナンの空港からホーチミンまでは1時間ちょっと。出発ロビー階に到着し、すでに手続き済みのオンラインチェックイン列に並びます。添乗員Yさんの顔がふと曇った気がして尋ねると「チラッと出発掲示板を見たらdelay delay delayの文字が見えたのよね…でももうチェックインしてあるので」とカウンターまで辿り着いたら…案の定delayな上に機体変更、なのでボーディングパスはまだ渡せない、2時間後にもう一度来いとお詫びのランチミールクーポンをもらうのですが、今ランチを済ませた後でお腹いっぱい、しかも指定のカフェは当たり前ですがdelayで被害を被っている客だらけで満員。

まあこんなことも普通にあるし、誰も空港で怒っている人も係員に詰め寄っている人もおらず平和そのもの。私たちもしょうがないよね、と悟り切ってダラダラしているうちに指定のカフェ内の空席も目ざとく見つけ(残念ながら喫煙席近く、やはり煙いので空くのですね)、さすがにPHOは食べられないのでドリンクを頂きつつ、待ちます。ここで人生初のコンデンスミルクたっぷりのベトナムコーヒーをトライする人も!

その後も何度も出発時間が変更になったものの、搭乗する飛行機は既に着いていて何とか出発出来る、ということがわかり空港のショップを冷やかしつつパシミアのスカーフを買ったりベトナムグルメのお菓子を買ったりしながら時間を潰し、ようやくホーチミンに到着したのは20時半くらいでした。この遅延によるその後のスケジュール変更などは私たちがのんびりしている間にすべて添乗員Yさん、バックヤードスタッフたちが手配に動いてくれているのです、感謝です。

空港では日本語をコミカルに喋るホアンさんが迎えてくださり、夕食のレストランHOIAN SENSE へ。お昼に続いて夜もミシュラン掲載店です。今夜のレストランではベトナムの民族伝統音楽付だったのですが、その演奏の時間延長も手配されていて(知らない間に旅行会社のバックヤードのスタッフさんたちが手際よく変更対応をしてくださっているのです、こういうところが素晴らしい!)、これまたシックなお店でBGMと共に美味しいお料理をいただくことができました。

ハノイでの交通量にも驚いた私たちでしたが、このホーチミンはハノイの上をいく交通量に熱気を感じます。さらに今日は金曜日、ホアンさんによると金曜夜は郊外に住んでいる人たちも皆中心部にやってきて友人家族らとお酒やお茶を楽しみながら過ごすのだそうで、平均年齢が若いこの国だけあって、一斉に人が中心地へ向かっている様子です。

公共交通機関のインフラが人口に対して整っていないので、バイクや車で動くしかないのでしょうが、飲酒運転で捕まると1か月分の月収が吹っ飛ぶそうです。ちなみにホアンさんは男性で、既に2度引っかかって罰金を支払ったそうですが、最後の日にアテンドしてくださるキキさんによると、ホーチミンでは無免許運転も結構あり、交通警察に捕まった時に女の子は泣くと許してもらえることがあります、と言っていたので、これも男女で違いがあるのでしょうか!?

いよいよ本研修の目的の一つでもあるコロニアル様式アール・デコ内装を楽しむに相応しい、1925年創業のマジェスティックホテルにチェックインしたのは23時。今年が創業100周年ということで、お部屋に名前入りでサプライズ・プレゼントとウェルカム・フルーツが入っていました。今日は飛行機の遅延でヘトヘトでしたから、ゆっくり休むことにいたしましょう。

2025年冬・公式海外研修【東洋のプチ・パリ 〜べトナムで愉しむフレンチ・コロニアル建築とアンティーク・マーケット〜】DAY0

2025年の海外研修、すでに3月に南仏にて実施していますが、今年はもう1回、12月に初のアジア、ベトナムで行うことにしました。

西洋アンティークの研修でなぜアジアに、それもベトナムに行くのかと言えば、今回の目的はアジアにおけるコロニアル建築の見学です。コロニアル建築とは一般に宗主国が本国の建築様式を現地の文化・風習・気候 に合わせて変容させていく様式で、独立前のアメリカではイギリスの建築様式がアメリカの風土に合わせて作られていました。

ベトナムは1887年~1954年にかけては「フランス領インドシナ」とフランスの植民地であり、仏領インドシナ時代のフランスの建築が最も多く残されているのがホーチミンやハノイ。ベトナム戦争があったにも関わらず残されている建造物が少なくありません。またフランスの植民地になる前は中国から侵略されていた歴史もあり、中華とフレンチという二大美食の影響を受けていることもあってベトナム料理は繊細で美味しいのです。旅行中の料理が美味しいというのは大事な要素の一つですよね。

さらに今年はアール・デコ100周年、1925年のパリにおける「現代産業装飾芸術国際博覧会」(通称:アール・デコ博)が開催されて100年目にあたります。この時期のベトナムはフランス領、フランスのアール・デコ建築であるホテルに泊まることが出来ればと思い、2023年からずっとお世話になっているユーラシア旅行社さんに相談したところ、「ベトナムはいいですよ、円安の中、同様にベトナムドンも安いからマジェスティック(1925年開業、ホーチミンのアール・デコ様式建築ホテル)にも泊まれるように組んでみましょう」とご協力いただきました。

日本から6時間で行けて、時差が2時間というのも魅力的です。ヨーロッパへの15時間近い飛行時間はやはり体力的にもお財布的にも厳しいですよね。

12月の日本は沖縄を除いては真冬で、日照時間も最も少ない陰鬱な季節。そんな時に南国ベトナムで太陽に当たり、平均年齢の若い新興国でエネルギーをもらえれば、という思いで募集をしたところ今回は総勢10名での研修旅行になりました。

当協会での本来の研修スタイルは、あまり移動することなく1〜2箇所に連泊してゆっくり滞在型スタイルなのですが、今回は5泊7日で3箇所に動きます。そう何度も訪れることもなさそうならば、思い切って北部、中部、南部と異なる顔のベトナムを垣間見てみようという好奇心溢れる欲張り根性がつい出てしまいました。さてどうなることでしょう。

アンティーク検定講習・2級

9月の最終週末は、アンティーク検定講習・2級の前半の部が行われました。講習参加者はみなさん3級を講習または試験で取得していますので、既に基礎的な知識は持っている方々ばかりです。2級でより深い知識と鑑定の術を培うべく、今回の講習を受講されています。

初日は終日座学講習で、まずは顔合わせと自己紹介。なぜアンティークに関心を持っているのか、どこに惹かれてハマったのか、そんな思いを語り合ったところでテーブルウェアの歴史をざっと学びます。

「美しいフランステーブルウェアの教科書」も、「西洋骨董鑑定の教科書」もどちらも写真や画像が豊富で良い本なのですが、情報量が多すぎて事典的なものとなってしまい、どこをどう噛み砕いて読んでいけばよいのか、独学ではなかなか難しいかもしれません。

そこで実際にモノを見て、これは何のための道具?何用のカトラリー?といった知識も身につけると同時に、実際にモノを鑑定するという実技に入ります。

普段は、例えばアンティークショップにある品物、またはオークションに出品されている品物の解説を読む=受動な立場なのですが、この2級では自らそれらを鑑定する=能動、の作業を行います。

言われればそうだけど、自分で言語化する、というのは慣れていないとなかなかできないもの、最初は「え~っと…」と戸惑うのですが、何を言えばよいのか、リストに沿って言語化していくうちに出来るようになります。

みなさんそれぞれ配られた鑑定品のdescriptionを仕上げていきます。サインが摩耗していて読めない、これは手彩?プリント?この刻印はいったい何?と、アンティーク品ですから状態も様々。様式は?装飾文様は?とさまざまな角度で紐解いていきます。ちなみにこの鑑定品はそのままお持ち帰りいただけるのですよ。

どっと疲れたところでお昼は近くのお店でランチ。講習会場近辺のレストランは色々利用しましたがコロナ以降なくなってしまったり経営が変わってしまったりで、そんな中このところ利用していて評判のよいのが「スパイス料理とワインZero」という名の、カレー屋さん。全くカレーの雰囲気がない店名と店内なのですが、お昼のカレーが美味しくて、みなさん満足してくださいます。

焼き立てのナンが絶品!

午後の3限目は銀器の鑑定を、刻印を入念に読み込みながら実践です。休憩時にルイボス・ティと生クリーム大福で目の疲れを取ったところで、4限目は複製芸術について。写真、版画の世界を紐解いていきます。よく蚤の市などで見つかる古い写真やファッションプレートの見かたを、ルーペを使いながらの鑑定ごっこで初日の講習が終わりました。

いつも講習で利用している東京芸術劇場が来年7月中旬まで一時休館とのことで、次回の講習はこの便利な会場が利用できずに残念。

1日目は終日会場にこもっての講習でしたが、翌2日目は午前にオンライン講習が2コマ。1コマ目はアール・ヌーヴォー&アール・デコ。ちょうど午後の見学地にも沿ったテーマですね。そして2コマ目は西洋美術史I。なぜアンティークを勉強するのに西洋美術史をやらなくてはいけないのか、というご意見(ご批判)はよくあるのですが、アンティーク=装飾美術は西洋美術史と深くかかわっているのです。西洋美術史の流れを知らずして装飾工芸品を語ることはできないのです。

オンライン講座が正午で終わり、午後は東京都庭園美術館にて集合、当協会の検定監修者である岡部昌幸先生による解説で館内を見て回ります。とはいえ「館内」に入れたのは実に集合から1時間後、まず庭園にてこの館が建てられた歴史、国の重要文化財に指定されるまでの経緯、野外彫刻の存在から茶室見学、建物の外観での建築としての見かたなど教わり、そしてようやく「建物公開2024 あかり、ともるとき」展を鑑賞。

外は時折小雨が降ったり止んだりのどんよりなお天気な上、展覧会も会期の初めにも関わらずかなりの入館者でにぎわっていました。そのためか館内カフェも混み合っており、予約時で7組待ちでしたが、ちょうど一通り旧館を鑑賞できたタイミングで席に案内され、お茶とケーキでの懇親会を兼ねたひと時も。

最後に新館の方の展示品も鑑賞し、足も脳みそもフル回転でしたがこれにて前半の講習が終了いたしました。後半はまた3週間後ですね。ご参加いただいたみなさま、お疲れ様でした!