AEAOサロン倶楽部」カテゴリーアーカイブ

AEAOサロン倶楽部「ドームとガレ、アール・ヌーヴォーの美しきガラスたち」

 本日のAEAOサロン倶楽部は、一昨年の第3回アンティーク検定の1週間前に行った直前対策勉強会の会場、東京・旗の台のカフェ・ルヴァンにて行いました。

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 サロンのタイトルは、「ドームとガレ、アール・ヌーヴォーの美しきガラスたち」。一見どうということのない、聞いたことのありそうなタイトルですが、実はかなり珍しいのです。お気づきの方はいらっしゃいますか?
 

 そう、「ドームとガレ」なんです、「ガレとドーム」ではなくて・・・。この二大巨匠の作品を語るとき、大抵の表記は、ガレの方が先。でも、今回は「ドームとガレ」、というのも、コレクターであり、今回のナビゲーター講師の堀内氏が、最も魅せられて、毎日眺めていたい、と思う作家ナンバーワンはドームであり、ドーム・コレクションをとても充実させているからなのです。
 

 ガレももちろん収集されているのですが、なぜガレよりもドームなのか?堀内氏曰く、「ガレは自分にとっては難解で、秘められた哲学が重苦しいと感じるときがある、たとえば、花瓶の表側に写実的な開花のモチーフがあっても、裏側にはしおれた花のモチーフが描かれている、お茶の間に飾って毎日眺めるには、ちょっとテーマが重い、その点ドームには、心を安静にさせてくれる安らぎの美がある、純粋に美しいと思う」と。
 

 今回はお持ちのコレクションのうちの半分程度を、カフェ・ルヴァンにお持ちいただき、まずはガレとドームに関する講義。19世紀後半の社会的背景から、実際に買い付ける際のノウハウ、ガラスの製法まで、多岐にわたるたっぷりした内容です。そして実際にコレクションを参加者のみなさんと一緒に眺め、手に取り、どっちがガレでどっちがドーム?なんて鑑定ごっこをスタートすると、ほとんどの方が当てられました!やはり理論よりも、モノを目の前にして見ていくうちに、みなさん鑑定眼が養われるのですね。
 
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 シフォンケーキでのティータイムと、3月に行われるパリ&ナンシー海外研修の説明会が後に続き、11月の晩秋の季節の中、早くも初春のナンシーを夢見る心地になってきました。ナンシー派美術館でのガレ、そしてナンシー市立美術館でのドームのコレクションが待ち遠しいですね。
 
 

AEAOサロン倶楽部、8月「椅子の歴史」終了

 月1回のAEAOサロン倶楽部、8月は「椅子の歴史」をテーマに行いました。
 
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 この日は、このところ連続して発生している台風の影響なのでしょうか、小雨がパラつくお天気でしたが、北は北海道から南は四国まで、遠路はるばるいらした参加者の方も交えて、温かい集いの場・CO-MINKA国彩館にて楽しいひと時を過ごしました。
 

 参加者の中には、椅子がマイブームで、今まさに椅子探しをしている、という方もいて、アンティークの椅子の見分け方、様式の違い、材質の歴史などを一緒に学びました。
 

 日本は椅子の歴史が浅いせいか、椅子もテーブルやチェストと同じように、ただの家具のひとつ、と考えられがちですが、実はとても大切なアイテム。1日のうち、1/3の時間を占めるベッドと同じくらい、1/3の時間は椅子に座る、という人も多いのではないかと思いますが、座り心地の良さ、デザインや室内インテリアとの調和、とても大切な要素が含まれています。
 

 このような本が、ありました。
 
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 椅子だけでなく、家具全般の歴史は、イギリス、そしてフランスが19世紀までは牽引していましたが、20世紀に入ると、バウハウスの影響を引き継いだ北欧勢に軍配が上がります。
 

 冬が長く、夜の時間が長い国々の人達が発案した椅子は、一見奇抜に見えるものでも、しっかりと人体工学に基づいた設計がされています。それもそのはず、これらの国での椅子デザイナーは、ただの家具職人ではなく、建築家でもあるからです。
 

 ハンス・ウェグナー
 アルネ・ヤコブセン
 ボーエ・モーエンセン
 フィン・ユール
 コーア・クリント
 etc…
 

 デザイナーの名前はともかく、彼らの椅子に一度や二度は座った経験があるでしょう。その時代のオリジナルのものはお値段もしますが、それらのヴィンテージ、そしてリプロダクションになると、洋服1枚よりはるかに安い価格で手に入るものも、あります。
 

 このところ座ると体調が悪くて、とか、腰痛が、といった現象に悩まされている方、一度普段座っている椅子を見直してみるのも、一案ですね。
 
 

モードとアンティーク

 7月のAEAOサロン倶楽部では、「モードとアンティーク」をテーマに行いました。モード(=ファッション)、最近やたらとモードの展覧会が行われています。
 

 2016年に入ってからでも、
 

・PARISオートクチュール 世界に一つだけの服(三菱一号館美術館)
・MIYAKE ISSEY展(国立新美術館)
・MODERN BEAUTY フランスの絵画と化粧道具、ファッションにみる美の近代(ポーラ美術館)
・ポール・スミス展(上野の森美術館)
・こどもとファッション展(東京都庭園美術館)
 

と、数多くの展覧会が開かれていますが、そもそもモードをテーマにした展覧会は、かつてこんなにあったのでしょうか。
 

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 モードは装飾美術を語る上で、家具や工芸品を語る以上に、重要なファクターです。家具や工芸品と同様に、もともとは貴族の趣味を反映していたものが、時代とともに社会を反映するものに変わり、スタイルもその時代のニーズに合わせて変化していく・・・その歴史を紐解いていくことは、同時に社会風俗史をあらためて知ることでもありますね。
 

 そしてモードといえば、今は女性が主体ですが、かつては逆で、男性のモードこそが注目されていました。女性は男性に比べてうんと地味だったのです。男性が今のように、黒っぽい色の衣装で、装飾が控えめで地味なスタイルになったのは、ダンディズムが起こった、たかだか19世紀以降のこと。それまでは、男性はリボンとレースで飾り立て、ハイヒールを履いていたのです!
 

 ズボンについても同じ、現在では半ズボンは子供のものか、カジュアル着であって、まともな大人の男性は、きちんとした場所で半ズボンなんて履きません。一流レストランなど、ジーンズ&半ズボンお断り、なんて言われるところもあります。でも、かつては半ズボン=キュロットこそがまともな紳士のズボンであり、男性はみな脚線美を競っていたと言います。フランス革命時に、キュロットを履く貴族に対抗して、サン・キュロット(長ズボン)を履いて、貴族社会に真っ向から戦いを挑んだ市民たち・・・当時、サン・キュロット(長ズボン)はおそらく洗練の真逆、今でいう超ダサい格好だったのです。
 

 歴史は繰り返す、流行も繰り返す、と言われているように、現在の「洗練」の基準は、またどこでどう変わるのか、追っていくのは楽しみでもあります。たかだか四半世紀前のバブル時のファッションですら、今では恥ずかしいスタイルになっていますから、今の流行が四半世紀後、どのように懐古されているのか、これを見届けるのも楽しみの一つですね。
 
 

AEAOサロン倶楽部がはじまります

 「アンティーク検定」のための対策講座は、現在、各文化機関・カルチャーセンター等で行っておりますが、2016年より、AEAO主催のサロンを開催することになりました。
 

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 アンティークや西洋装飾の世界には興味があるが、なかなか定期的に講座を受けるお時間がない方、地方に住んでいて、首都圏の講座を受講できない方、興味のあるテーマだけ学んでみたい方・・・いろいろなニーズにお答えし、原則土日祝日に、ワンショット形式で行います。
 

 みなさんでコレクションを持ち寄っての鑑定会を行い、鑑定のツボを学んだり、どのくらいの値打ちのあるものなのか、いつごろいくらで買ったけれど、今はいくらくらいの市場価値なのか、そんな気になる「おねだん」の話も交えて、愉しみましょう。
 

 また、海外研修の前には、研修で訪れる見学地をスポットに入れ、関連したテーマでのサロンになりますので、研修を検討されている方にとっては、プレ講座としての内容にもなっています。
 

 サロンと名を打っておりますので、お茶・お菓子付の、懇親会的な集まりを考えています。「講師」ではなく、「ナビゲーター」として、専門家をお呼びしての、参加型のお勉強会です。是非お気軽にご参加いただければと思います。