月別アーカイブ: 2026年6月

心惹かれるチャイナドレス展へ

6月、すでに2回目のAEAOサロン倶楽部では前回のイスラム美術に続き、1930年代の上海モダンガールの象徴、チャイナドレスの展覧会へ足を運びました。

東京の文京区後楽に日中友好会館という、戦前に旧満州国日本留学生寮だった建物があります。その中に1988年にオープンしたのが日中友好会館美術館、中国の伝統工芸から現代アートまで様々な展覧会を開催しているのですが、今回の特別企画展『心惹かれるチャイナドレス展』は、19世紀末から1940年代までのファッションを、特に国際モダン都市・上海を中心に西洋モードから影響を受けて移行していく過程がうかがえる展示です。

この会館内にも美味しそうな中華レストランがあるのですが、今回の懇親会ランチは飯田橋・神楽坂エリアで見つけた、フレンチのようなシックなチャイニーズ、結華楼さんの個室にて。ふかひれのスープ、北京ダック、抹茶小籠包、エビのオーロラソース、トマト冷麺などしっかりコース料理でいただきました。トマト冷麺など、ほぼイタリアンのプリモ・ピアットに出てくるカッペリーニ・ポモドーロのようなお味。

あいにくの雨でしたが、神楽坂通りから歩いて日中友好会館美術館へ。飯田橋から行くとあの不便な陸橋でしか行けない立地にあるのが玉に瑕ですが、そこまで知名度があるとは思えない美術館なのに、展覧会場は結構な人でにぎわっています。そろそろ会期終了間際であるのと、メディアの評判も上々なのか、雨の中の平日午後にして多くの鑑賞者であふれていました。

私たちが「チャイナドレス」と呼んでいるものは、1930年代の上海で誕生したもの。そのルーツとなるものが清王朝・満州民族の旗袍(チーパオ)と言う伝統ファッションであり、やがて上下セパレートのものからワンピース型のドレスへと変遷していく過程で女性の地位向上や美意識の変化が生まれ、そこに国際様式、アール・デコが入り込み立体裁断が生まれ、また新たな素材革命が起き…とたった40年くらいの間に大きく変わったチャイナファッションの歴史をじっくりと深掘りすることができました。

纏足の靴や手刺繍の小物類の展示もあり、そう広くない会場がぎっしり20世紀初頭のチャイナドレスコレクションで彩られていて、とても充実した展覧会でした。

飯田橋駅まで戻り、ちょっと疲れたのでお茶でも、ということでGODIVAカフェへ。上質なチョコレートが雨のうっとうしさを癒してくれますね。

夏のAEAOサロン倶楽部、絶賛プログラム思案中です。もう少々お待ちくださいね。

読書会「名画のインテリア」スタート!

新しい読書会「名画のインテリア」がスタートしました。昨年12月に創元社より発行された『名画のインテリア』の著書、小栁由紀子先生より本書を紐解いてわかりやすく解説いただくシリーズです。

本書は室内装飾の項目が五十音順の章立てになっています。つまり時代や場所はバラバラなのですが、それを時代順にみていきましょうということで、本日の第1回は、中世から18世紀の途中まで。

項目でいくと、中世の部屋、長持、タペストリー、オリエントの絨毯、17世紀ブルジョワの室内、金唐革、漆の家具、ゴブラン製作所、オテル…と読み進めていったところで時間になりました。

今回タペストリーの項目の中で取り上げられた、ヘラルト・ダヴィトの『カナの婚礼』に描かれている某人物は男性なのか女性なのか、新婦は一目瞭然で分かるが新郎ってどこにいるのだ?という疑問が出て、みなさんであれこれ意見を出し合ったのですがどうもよく分かりません。次回までの宿題にしましょう、ということでお開きになりました。

その後AIに聞いてみたところ、これまた最初は噓をつき、そして訂正後も眉唾ものの回答が…AIの種類を変えるとまた違う答えが出るということは、ルーヴル美術館所蔵の作品であっても解釈が定まっていないということなのですね。でもこうして解き明かされていない秘密を探る楽しみ、これもアンティークの世界の醍醐味なのです。

次回は18世紀の続きから行います。初回を逃した方もオンデマンドでご受講が可能です。お申込みは随時受け付けています。

東京ジャーミー、東洋一美しいモスクに身を置いて

AEAOサロン倶楽部「イスラム美術と東洋一美しいモスク」にて、代々木上原にある東京ジャーミーの見学ツアーに参加しました。ジャーミー(Camii)とは、人の集まる場所を意味するアラビア語が起源の「大規模なモスク」を意味するトルコ語だそうです。

イスラム美術は現在私たちが学んでいる西洋アンティークのルーツともなっている多くの要素を含んでいます。ヴェネチアのガラスもイスラムから入ってきましたし、カリグラフィー、幾何学模様、植物模様…多くの装飾の共通項目があります。今や渡航制限もあり、イマーム・モスクやピンクモスクを見になかなか行けないご時世ですが、東京には実は東洋一美しいとされるモスクがあるのです!

日曜日のお昼、まずは懇親会と称してイタリアンのランチをいただきます。ここ代々木上原はグルメなお店の激戦区、民家のようなところにも知る人ぞ知る名店が隠れていてお店選びも迷ったのですが、今日はランチ後そのまま通り沿いに歩いて東京ジャーミーに辿り着ける立地にあるお店、La Stella Polareを選んでみました。北極星という意味のイタリア語ですね。5階のフロアからすでにミナレット(尖塔)が見えています。

冷製スープ、前菜、パスタにフォカッチャ、ドルチェとフルコースながらも上品な量でどれも美味しくいただいた後、東京ジャーミーへと向かいます。

14時半からのガイドツアーをめがけて早めにやって来たのですが、時間になるとどんどん人が膨れ上がってきました。

この地にモスクが建てられたのははるか昔、ロシア革命時にまで遡ります。当時ロシアに住んでいたトルコ系イスラム教徒がシベリアを経て日本へ移住、この辺りに住み着いて礼拝堂を建設したのが1938年、その初代礼拝堂が老朽化のため1986年に解体されます。その同じ場所に再建されたのが現在のこのモスク、躯体は鹿島建設ですが、大理石やセラミックの資材はトルコから輸入、工芸職人、技術者もトルコから来日して2000年に完成したのが、この東洋一美しいとされるオスマン様式のモスクだということでした。

その装飾の特徴(チューリップやカーネーションの由来、コーランの一節であるカリグラフィー)や、扉の向いている方角(メッカ)、1日5回のお祈りは何を意味するのか、コーランの役目は何か…そんなイスラム教の初歩的な解説を1時間たっぷりかけてユーモアを交えて語っていただいた後、いよいよ礼拝堂へ上がります。外観をより近づいて見られる位置から、「鳥の宮殿」と呼ばれる人口の巣箱の彫刻なども鑑賞できました。お隣のトルコ文化センターの建築についてのレクチャーなども受けたところで、いよいよ聖堂内へ、靴を脱いでスカーフをかぶって入ります。もう入った瞬間に美しいステンドグラスとドームの幾何学模様が目に飛び込んできます。どこを見ても美しい、鮮やかな、それでいて静謐な装飾。

ちょうどお祈りの時間が始まりました。なぜ横に一列に並ぶのか、女性と男性で場所が違う理由、今はどんな内容なのか、なぜここで一部の人たちは帰るのか…ただモスク内に入っても絶対にわからないであろう細かなしぐさの意味などもガイドの方が解説してくださいます。そして、女性だけが上がれる女性専用の礼拝場所へも急こう配な螺旋階段を上って行ってみました。女性専用のこの場所のほうがより天井のドームやステンドグラスに近く、シャンデリアも至近距離で見ることができます。

充実した見学ツアーでしたが、ちょうど早稲田大学の調査研究グループの学生さんが一緒で、私たちの仲間の一人・中山久美子先生がインタビューされることに!彼女も早稲田大学大学院の卒業生なので、偶然とはいえ最適解な人物を選んでいるところもアラーの神の力!?

そして最後に館内にあるハラールマーケットへ!トルコのバザールでよく目にしたようなお土産から、バクラヴァなどのアラブ菓子、チーズケーキ、くるみケーキ、その他乾物でなかなか普通に売っていないような食品や香辛料などあって大盛況、もちろん私たちもあれこれ買いましたとも!

また近くに来たらぜひ訪れてみたい場所が1つ増えました。ご参加いただいたみなさまもお疲れ様でした。