研修旅行説明会はベトナム・フレンチの素敵なお店で

今日は、今年12月に予定しています「東洋のプチ・パリ 〜べトナムで愉しむフレンチ・コロニアル建築とアンティーク・マーケット〜」の海外研修説明会をユーラシア旅行社さん主催で行いました。場所は丸ビル内のレストラン「カサブランカシルク」内個室、東京駅ビューのスポットです。

11時半より30分ほどは、アペリティフをいただきながら「フレンチ・コロニアル建築」に関してのセミナー。フランス領インドシナの成り立ちと共に、ベトナムにおけるフランスの様式建築やモダニズム建築について、訪問予定地を写真で追いながらご紹介、またベトナムの陶磁器「バッチャン焼き」「ソンベ焼き」、そしてベトナムのグルメについてのお話もいたしました。

旅の満足度のバロメーターは天候と食べ物とはよく言われますが、宿泊も大切な要素。今回はすべて5星ラグジュアリーホテルで、パリのクリヨンやロンドンのクラリッジス級のホテルもベトナムだからこそ実現できるのです。なんと今や世界で「安い旅行先」として挙がっているのが、ウズベキスタン、ベトナム、そして日本だとか!

書籍『ベトナムに誕生したパリ 建築のハノイ』(文 大田省一 写真 増田彰久)などをご紹介しながら、洗練されたベトナム・フレンチのランチコースをいただきます。フランス料理のようにコース形式のサービスです。

日本でいただく、エレガンスなベトナム料理ですからどれも美味しいのですが、旅行会社さんの説明では本場ベトナムでも食事でお腹を壊したり体調不良になったりする人は極めて少ないとのこと。旅行中はつい欲張って普段以上の量を食べてしまうのに加えて、どうしても油を摂りすぎるのが旅先での注意点ですが、ベトナムのお料理は野菜が多いことで繊維質が十分含まれているのか、日本人の胃に合うのでしょうね。

今回のコースもどれも美味しく堪能しました。説明会にご参加いただいたみなさま、有難うございました。

ご興味を持たれている方、是非ご一緒いたしましょう。お問い合わせ、お申込みはこちらよりお願いいたします。

東洋のプチ・パリ 7日間 ~ベトナムで愉しむフレンチ・コロニアル建築とアンティーク・マーケット~


コーヒーVS紅茶で見る、英国のジョージアン時代

8月のアカデメイアは先月よりスタートしています「紅茶とアフタヌーン・ティーにまつわる英国の歴史とアンティーク」の第2回、青山櫻先生(当協会認定スペシャリスト&アンティークショップ「ヴィオレッタ」のオーナー)による「紅茶派?コーヒー派?2つの潮流〜英国の革命からジョージアン」についてのお話です。

イギリスと言えば紅茶でしょ、というのは今や誰もが口にしますが(そして実際にイギリスの硬水で淹れる紅茶は美味しい!)、実は元々イギリスはコーヒーの国だった、というのはお茶やコーヒーについて多少学んだことのある人なら知っている事実、こんな書籍も青山先生に紹介いただきました。

そういえば保険会社のロイズも元々はロイドのコーヒーハウスから生まれたのでしたね。

ウィリアム・ホランド「ロイズ・コーヒーハウス」

なぜお茶ではなくコーヒーだったか、それは単純にコーヒーの方がはるかに安かったから。コーヒー1杯が1ペニーに対して紅茶は4ポンド、貨幣単位が変わるほど紅茶が高価だったからなのです。コーヒーの1ペニーは庶民でも払える金額、それでコーヒーハウスに入って知識や情報を身に付けることができたので、ペニー大学と呼ばれたりしたのですよね。

やがて英欄戦争、ボストン茶会事件、イギリスの紅茶のインドでの栽培成功などでイギリスにおける紅茶の値段が下がっていき紅茶が主流になっていくのは次回のヴィクトリアンの時代になるのですが、ジョージアンの時代にはコーヒーと紅茶が拮抗していた時期、そのためかこの時代に作られたカップやポットにはコーヒー用、紅茶用とあって、その違いやカップのソーサーを兼用していた例なども実際の茶器を見せていただきながら解説いただきました。

日本の所作として、片手で何かを行うのは失礼、両手を添えて、というのがありますが、例えばイギリスでティーポットから紅茶を注ぐのは片手で行い、もう一方の手にはカップを持ちます。そうするとポットの蓋が落ちそうになる…と思うのですが、実は英国の銀製ポットはほとんどが蓋の部分は蝶番で本体に付いています。また陶磁器の場合、蓋の部分に小さな突起があり、セッティングする場合は必ずその部分の向きをハンドル側に付けることで、蓋は落ちないようになっています。これ、日本の急須や日本製のティーポットには付いていないことが多いのですが、英国のものは必ず付いているのだとか。

そしてマナーによる視点として、ミルクが先か紅茶が先かの果てしなき論争、ロイヤルファミリーのカップの美しい持ち方などもご披露いただきました。こればかりは慣れや育ちもあり、普段からマグカップや紙コップでしか飲まないとなかなか身に付きませんね!

今回見せていただいた茶器のあれこれですが、青山先生のショップ「アンティークス・ヴィオレッタ」にてご覧いただけます。また同ショップにて今月末8月30日~31日の2日間、特別イベント・夏のマルシェを開催、夏の特別ドリンクやお菓子と共に普段はショップにないアンティーク&雑貨が放出されますので、どうぞお越しください!


新アカデメイアは『紅茶とアフタヌーン・ティにまつわる英国の歴史』

7月よりスタートしました、新アカデメイア。今期はアンティーク・スペシャリストの青山櫻先生によるシリーズで、英国の歴史を紅茶やアフタヌーン・ティからアンティークの視点で学んでいきます。

青山櫻先生は、横浜・青葉台で実店舗を構えるアンティーク・ショップのオーナー。お母様の代から継いで現在は代表ですが、若い頃から買い付けなどで英国を何度も訪れており、ショップで扱うお品も圧倒的に英国アンティークをメインとされています。

今回のお話は、「お茶」が発酵の過程で緑茶から紅茶まで変わっていくこと、その「お茶」がヨーロッパに伝わった二つの潮流、お茶で重要なクイーン・アン女王、キャサリン・オブ・ブラガンザ王妃などの逸話、そしてお茶のためのモート・スプーン、ティー・キャディ・ボックス、シュガー・ニッパー、シュガー・シフターなどを、実際にお店にあるものも見せていただきながらご紹介いただきました。

かつてはハンドルのつかないティーボールとソーサー、実は同じ容量であり、ソーサーでお茶を飲んでいたという様子を描いた版画などを見ながら、実際にデモンストレーションで水を入れてみると…ソーサーにちゃんと入る量なのですね!

来月はコーヒーVS紅茶、青山先生の苦手なコーヒーも登場します!

本アカデメイア、オンデマンドにも対応していますので、ご興味ある方は是非お問い合わせください。


大人の銀座のアート遠足、ようやく完結!?

AEAOサロン倶楽部7月の会は、3年越しで行っている「大人の銀座のアート遠足」でした。昨年は9月に、一昨年は8月に、と何故か夏に行っており今年は7月。ただもうこの暑さ、夕方からにしましょうということで午後5時よりスタートしました。

現在の銀座はどこを歩いてもお店の中に入っても外国人ばかり、外国語が飛び交う街になってしまいましたが、これも将来から振り返ると「あの頃は外国人が昼間人口の8割を占めていた」なんていう歴史になるのでしょうか。

というのも江戸時代、一等地は日本橋で銀座は両替の町でした。明治時代に現在の銀座の原型ともいうべき舶来品ショップが誕生し、関東大震災後には「モボ・モガ」「カフェー」の流行が銀座で見られ、第二次大戦後は富裕層のショッピング街として発展します。そして高度成長期に画廊が増え始め、バブル期には300軒もの画廊が銀座に(現在は100軒ほど)。2000年以降は地上階に構えていた画廊が撤退し、海外ブランド店へと様変わり、企業の文化推進活動としてアート・スポットを構えるところが多くなりました。

今回訪れたのは3館。まずはGUCCI銀座ギャラリーの「横尾忠則 未完の自画像 – 私への旅」展を鑑賞しました。GUCCI銀座店内の7階がアートスペースになっており、そこで開催されています。予約優先ということで予め予約をして伺いました。

以前行ったエルメスやこの後行くシャネルではこういうアートホールは入口が一般のお買い物のお客様とは別になっているのですが、GUCCIでは店内のエレベーターから上がるので、ゴージャスな店内へドアマンから扉をうやうやしく開けられて、入ります(申し訳ない気分に!)。一流店ならではのそつのないエレガントな対応に、お客がサービス係より劣等な人種であることを感じる瞬間(そこまで卑下することもないですが)。

会場へ入ると、ものすごく広くはないものの天井高もあって広大な空間に入り込んだ気分に。横尾さんの鮮やかでインパクトのある油彩画(一部はシルクスクリーンやアクリル)が目に飛び込んできます。そして前回1970年の大阪万博時の作品『未完の足場』の再現も!

今日は屋上にも上がれますよ、ということで(日によってNGなこともあるそうです)屋上へ、ちょうど上がったときは私たちだけで独占できて、銀座をビルの上から鳥瞰するというなかなか出来ない光景も目に焼き付けることができました。もちろん暑いのですが、スペース内は冷蔵のように冷え冷えなので、水風呂とサウナの効果のようで、気分も爽快に!

次に向かったのはセイコーハウスホールで開催中の「佐藤 亮・荒川文彦二人展」へ。建物としては和光の中ですが、入口とエレベーターは別にあってそこから上がります。5月に国内研修旅行で金沢に行ったばかりの私たちですが、今回の作家さんはその工芸の町・石川県で制作活動をされています。展覧会は副題が―色絵と漆の間(あわい)に遊ぶ―とあって、色絵磁器と乾漆のモダンなうつわの展覧会でした。

作品は販売品でもあり触ることはできないのですが、会場内のスタッフさんが制作工程や、開けて見ないと内部の文様がわからないうつわなどを開けてくださって懇親丁寧に説明してくださいました。

こちらはプライスも記されているのですが(そのせいか写真撮影は禁止)、作品のクオリティや制作工程からするとむしろリーズナブルに思えてきます。漆の光沢など見ているだけでその高品質さが伝わってくるのですが、スタッフさんは「この仕上げは超絶技巧なんです!でもプラスチックに見えてしまう、その違いを外国の方に説明してもなかなかご理解いただけなくて」と苦笑されていました。和光美術部の企画展、さすがの一流品揃いで目の保養になりました。

次に向かったのはシャネル・ネクサス・ホール。ジャストタイムです。というのも今日は18時から展覧会担当者の作品解説が聴けるというので、うまくこの時間に行けるといいなあと企画していましたが時間通りに到着。しかも水曜日の17時~19時の間はドリンクサービスの日で、見学者にこんな素敵な飲み物を配ってくださいます。

今回の企画は、インド出身の現代アーティスト、Pushpamala N 氏の写真展です。こういういわゆる現代アートは、もちろん鑑賞者が自由な想像で見て感じるものではあるものの、時として脳内が「??」と思考停止してしまうことも多々あるので解説が入るととても有難いのです。担当者さんの熱が入ったのか、たっぷり30分ほど全ての作品について解説をしてくださいました。「フォト・パフォーマンス」という世界、「フォト・ロマンス」とフィルム・ノワールとの影響性、インドという国の映画や写真事情なども一緒に知ると、作品の見かたも変わってきますね。

時間が許せば訪れようと思っていたポーラ・ミュージアム・アネックス、すぐ近くなのですが最終入場時間を過ぎてしまったため今回は諦めて、懇親会のル サロン ド ニナスへ。午後7時からアフタヌーン・ティが、それも昼間と同じ値段でいただけるお店なのです。

昨今のアフタヌーン・ティのブームは凄まじく、もはや高級ホテルでは1万円越えは当たり前、そういえば今回の大阪・関西万博のイギリス館でのアフタヌーン・ティも話題に、というより炎上していましたが、それだけアフタヌーン・ティ文化が日本でポピュラー化してしまったというのも考えてみれば不思議ですね。

このニナスはマリー・アントワネットという紅茶で知られていますが、元々ニナスの前身であった会社はエッセンシャルオイルを抽出する企業でした(当時は工房でしょうか)。ヴェルサイユの宮廷にフレグランスを調達していて、バラやラベンダーをマリー・アントワネットが気に入ってくれたというところから、調合のノウハウを生かして紅茶のフレーバーも作っているようです。

こちらのアフタヌーン・ティはすべて甘系スイーツではなく、セイボリー(ブレゼ・ポークサンド、とうもろこしとフォアグラのキッシュ)がありましたので軽食がてらに、と思っていましたがやはり結構お腹いっぱいに。

みなさんで参院選の評価やら日本の将来やらを語り合いながら、楽しく懇談いたしました。

ご参加いただいた方々、有難うございました。これで銀座のアート・スポットもほぼ全て見尽くしたことになりますでしょうか。尤も展覧会は季節ごとに新しいものが開催されていますから、今後もこれらのアートスポットを頻繁に訪れていきたいと思います。

8月のAEAOサロン倶楽部はお休みですが、イベントを開催、そして9月は江戸東京たてもの園へ。ご参加をお待ちしております。


北関東への遠足 Vol.2

<館林編>

6月の最終週に、今度は館林在住のアンティーク・スペシャリストSさんのお招きで群馬県立館林美術館にて開催中の「鹿島茂コレクション フランスのモダングラフィック展」へ。

館林へは浅草や北千住から東武線の特急「りょうもう」に乗れば、こちらも1時間弱で着きます。本数もそれなりにあるので、もはや通勤圏内!?ところでこの電車にあるように、館林にはカルピスの工場があるのです。工場見学は大人気でなかなか予約が取れないのだそう。

駅に到着したらSさんが改札でお迎えくださり、駅の近くにあるオススメの花山うどんさんへ。定規のような太さのうどん、鬼ひも川うどんが有名なところです。ラザニアのうどんバージョンのようないでたちで、箸でつまむのにも若干の腕力・腕の力が必要です!

貝柱などの海鮮天ぷら付きの鬼ひも川うどんをいただいてすっかりお腹も一杯になったところで、群馬県立館林美術館へ。建築家・高橋靗一氏のこの建物、水面に浮かび上がる島がイメージされているとのことですが、本当に広大な自然に心が安らぎます。

展覧会はこちらも会期終了に近づいていましたが、幸い混み合っていることもなく、膨大なコレクション数にもかかわらずゆっくりと鑑賞できました。AEAOサロン倶楽部でもかつて日比谷図書文化館にて開催された「鹿島茂コレクション2『稀書探訪』の旅」見学を行ったことがありましたが、紙ものを見るのは集中力を必要としますので、鑑賞における空間スペースは大事です。この展覧会場は天井も高く壁もホワイトで、キャプション量は多くあり全てを理解しながら見進めるのは厳しいものの、アイテムもさまざまなので気分を変えながら鑑賞することができました。

Sさんはすでに4回通われているとのこと、会期中の展示替えもありますし、本当に全てを目に焼き付け、理解するには複数回の見学が必要な展覧会です。鬼ひも川うどんで胃が、そして本展で脳がキャパいっぱいになりました。

別館「彫刻家のアトリエ」は、フランソワ・ポンポンのアトリエが再現されています。この館林美術館ではポンポンの作品を67点も所蔵しているのですが、その理由が館のテーマ「自然の人間との関わり」を探求する上で有意義な作家として注目しているということでした。ポンポンは動物をモチーフとした作品で知られており、その生涯で人物像よりも動物彫刻を多く生み出し、従来、人物像よりも格下とされてきた動物彫刻に光を当てた作家です。

ブルゴーニュ(ポンポンの生誕地)の農家風なこのアトリエも、青空の元でその魅力を映し出してくれます…が、なにせ暑い!この辺りは日本一の高温記録となる場所ですから、涼みましょう、と「エミール、水辺のワッフルカフェ」へ。全面ガラス張りで視界には永遠に続くと思われる緑、カフェ内は快適温度、名物のワッフルの季節限定版をいただきました。

秋には「ロイヤル コペンハーゲンと北欧デザインの煌めき アール・ヌーヴォーからモダンへ」展が開催されますので、またこれに合わせてAEAOサロン倶楽部で訪れてもよいかな、と考えています。

そうそう、館林には正田醤油の本社があります。正田記念館(登録有形文化財)もあり、上皇后美智子様にゆかりのある土地なのですね。日清製粉グループの製粉ミュージアムも駅前にありました。

帰りもSさんに館林駅まで送っていただき、至れり尽くせりな館林の遠足、本当に有難うございました。