ブティを知っていますか?

 「ブティ」という言葉、聞いたことのある人はどれだけいるでしょうか。フランス語ですが、実はフランス人でも、知らない人が結構います。知っている人でも、なんとなくイメージは頭に浮かぶのですが、じゃあピケとの違いは?なんて聞かれると、しどろもどろに。
 

 AEAOサロン倶楽部9月の会では、布の彫刻とも呼ばれるブティに焦点を当て、ブティついての歴史を学び、実際のブティの作品に手を触れ、そしてまた一方で、現行品のブティはどうやって作られていてどんなものが商品化されているのか、そんなことをみなさんで学びました。
 

 第1部は、ブティに関する歴史の講義。ゲスト講師は、アンティーク・スペシャリストでもあり、日本ヴォーグ社出版部長の小山ひろ子先生による、テンポの良い解説、ご自身が自ら取材に行かれたカルヴィソンのメドン・ド・ブティの写真などもプロジェクターで見せていただきました。小山先生は、日本ヴォーグ社より出版されているブティの本の編集担当をも務めた、この世界の大ベテランです。
 
 
 

 ブティ、ピキュール・ド・マルセイユ、ヴェルミキュレ、ピケ・ド・マルセイユ(マトラッセ)、と舌をかみそうなカタカナがたくさん出てきますが、みなさん興味がある方々ばかりだけあって、知識のある方もたくさん。いろんな質問も出て、活発な講義でした。
 

 場所を1ブロック移動しての第2部は、フランス雑貨&アンティーク・ブロカントショップ、M’amour (マムール)にて、ブティの現行品を実際に見て、アンティーク・テーブルウェアとのコーディネートのノウハウなどを、ショップ・オーナーの名津井麻真さんより、学びました。名津井さんは長年フランスのインテリア業界で輸入のお仕事に携わっていて、現地の業者さんとの親交も大変深いオーナーです。
 
 
 
 どうしてブティを日本に仕入れることになったのか、どんな業者さんとおつきあいがあるのか、そんな裏話をもいろいろと語ってくださる名津井さん。
 

 ブティを実際に作ったことのある人なら誰でもわかるのですが、1日でどれだけの量が出来上がるのか・・・それはそれは気の遠くなる針仕事、現代ではそんなハンドメードのものを商品化したら、とてつもない価格に跳ね上がってしまいます。さすがに現行品では、機械による製作なのですが、中には型が機械で作られていて、ガッシャン、と型押しするようなものも存在する中、マムールさんでお取引している商品は、ミシン縫いだけれども、1点1点人の手で作っている商品。それゆえ、同じ品番のものでも、1つ1つサイズや形が微妙に違うのだそうです。日本はとにかく検品がうるさい国ですが、そもそも人の手が加わっていれば、微妙に異なるのは当たり前のことですね。
 

 ベッドカバーのブティなどはあまり使う人も多くないのか、やはり売れ筋は小さなテーブルマットのようなサイズのもの。そのテーブルマットも、ヨーロッパではディナープレートにカトラリーにグラスが収まるサイズゆえに、日本のテーブルでそれを全員が使用すると、大きすぎる!ということにも。そんな場合は、そのマットをテーブルセンター代わりにしたり、クローゼットの上に敷いたり、フラワーベース敷きにしたり・・・はたまた、この分厚さがちょうどいいわ、と車の座席用クッションにしてしまう方など、使い方は様々なんだそうです。
 

 3連休初日、もう台風が上陸!という日でしたが、幸い午前中はまだ影響もなく、雨もほとんど降っておらず、なんとか無事終えることができました。
 

 小山先生が講義の最後に仰られたこと、「要は、どこの国でも女性は針仕事をして暮らしていたんですね」ではないですが、今回のAEAOサロン倶楽部の参加者は、全員が女性!華やかな、楽しい会でした。