華やかなりし、セーヴル磁器

 今日は今年最後のAEAOサロン倶楽部。師走の土曜日といえば、みなさんお忙しいでしょう、と思いきや、本サロンは早い段階で満席となり、キャンセル待ちが出てしまいました。それで急遽二部制とし、午前の回・午後の回と2回に分けて行うことに。
 

 セーヴルというのは、食器のオートクチュールのようなもの、さすがにそうそう出回っているものではありません。今回、ちょうどサントリー美術館にて開催されている「六本木開館10周年記念・フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」展を機会に、セーヴル磁器をちゃんと学んでみましょう、ということで、AEAOサロンでは初のテーマとしてセーヴルを取り上げてみました。
 
 

 主催者の色が思いっきり入り込んだ、身勝手な解釈を押し付けてしまったかもしれませんが、セーヴルの魅力はなんといっても18世紀の、軟質磁器時代にあると思っています。18世紀の装飾品・工芸品はエレガンスの頂点を極め、19世紀以降のコレクターの中にも、多くの18世紀贔屓な人たちがいて、お金持ちはこぞって18世紀の美術工芸品を買い集めていました。やはり社会の格差が大きく、富が集中していたからこそ華開いたエレガンスなのかもしれません。
 

 展覧会は、「マリー・アントワネットから草間彌生まで」と、18世紀から現代までを俯瞰する構成になっていますが、本展覧会の醍醐味はなんといっても18世紀の作品ではないか、ということで、ほぼ18世紀にフォーカスしたお話となりました。
 
 
 
 18世紀の貴族の生活、18世紀のテーブルアートの歴史などを知っていないとなかなか入り込めないアイテムもあります。そんなお話をしながら、また軟質磁器時代でしか作れない色、金彩の盛りについて、硬質磁器と軟質磁器が並行していた時代の絵付け顔料の違い、セーヴルが独自に開発した、ビスキュイと呼ばれる無釉白磁がセーヴルの花形商品であった経緯、リトロン、トランブルーズ、硬質磁器と軟質磁器はどうやって見分けられるのか、刻印はどう違う・・・と、18世紀だけでもどんどん話が尽きず、あっという間に時間は過ぎ去ってしまいます。
 

 会場は、銀座の、とあるカフェの個室、このお部屋はアンティーク調度品でセンスよく飾られた空間、本サロンにぴったりの雰囲気を醸し出しています。軽食の野菜のシフォンケーキやフレンチトーストもボリューム満点で、今回もとても楽しく充実したサロンでした。
 

 次回、来年早々のサロンは「ラリックの香水瓶」を取り上げます。
 (現在「満席」と表示しておりますが、会場のカフェは貸切にしましたので、お問い合わせください。)