AEAOサロン倶楽部」カテゴリーアーカイブ

みんな大好き、宝石の世界と鑑別の方法

AEAOサロン倶楽部、2023年はきらびやかな宝石の世界でスタートしました。当協会のアンティーク・スペシャリストにしてG.I.A.G.G.の資格をお持ちの目黒佐枝先生より、鑑別の方法を実際に道具と共に学ぶという贅沢アトリエです。

目黒佐枝先生

まずは会場内にあるイタリアン・レストラン「アル・テアトロ」でのランチ。劇場内のレストランだけに天井高は5メートルもあり、ゆったりしたスペースにて楽しく懇親しながらフルコースをいただきました。

そしていよいよ鑑別アトリエです。まずは「鑑別」という言葉について、一体何をするのか、「鑑定」とはどう違うのか、そんなお話をいただいた後、基礎鑑別のための道具をご紹介いただきました。プロの行う鑑別にはさまざまな道具を使いますが、拡大鏡、偏光器、そして屈折計という3つの道具が基本、まずは拡大鏡を使って宝石の特徴を観察してみます。拡大鏡を使ってみると、インクルージョンはどのように見えるのか、例えば合成と天然のオパールはどのように違って見えるのか等、誕生石を一通り理論で学んだ後は、いよいよ道具を使って、覗き込みます。

ダイヤモンドの原石なんてまず普段手にすることはないと思いますが、この原石で必ず見られるトライゴンと呼ばれる三角形、とてもはっきりくっきり見えるので、テンションが上がります。

目黒先生がこの日のためにわざわざ業者さんから借りてきてくださった数々の宝石に加えて、目黒先生自身のコレクションも併せて本当に色々な種類の宝石を見せていただきました。

よくこれは宝石かガラスか、というのが真贋の話題になる宝石の世界ですが、ガラスの内包物に必ずある気泡というものがどう見えるのかを知っておけば少なくともガラスは見分けられる、ということでガラスの気泡も体験します。

偏光器や屈折計になってくると、慣れていない素人ではなかなか言われたようには目に入りません。プリズムなど違うものが見えたりしてしまいます。「これは何百時間も鑑別の勉強をして初めて分かってくるものなので、今日はこういう道具を使うんですよ、ということを知っていただければ」という優しい手ほどきでしたが、みなさん何で見えないんだろう、と悶々・・・

宝石の中でもやはり王者のダイヤモンドについてはみなさんも興味津々、ダイヤモンドのかつての歴史や研磨のはなし、現在の世界情勢、いろいろな話題で盛り上がりました。

肖像画に描かれている黒いダイヤモンド、あれは本当にダイヤモンドなのか、それとも絵画の表現方法としてあのような顔料を使ったに過ぎないのか・・・そんな謎解きを含め、いよいよ2月より、アカデメイアにて「宝飾品 肖像の中に見るジュエリー」5回コースがスタートします。


「いけないのファッション展」見学と、モード&アクセサリーでお洒落を愉しむ会

12月のAEAOサロン倶楽部は、アクセサリー・ミュージアムで開催中の「いけないのファッション展」に合わせ、みなさんでちょっと「いけないオシャレ」を楽しみつつ、美味しいものをいただき、19世紀ヴィクトリアンから現代に至るまでのアクセサリーを鑑賞する会を実施しました。

リアルファー(動物の毛皮)は、人類が手にした最も古い防寒着であり裏地や襟に使用される機能衣料として必需品でした。しかし現在は技術の発展から豪華な装飾としての役割が大きくなり、動物愛護やエシカルな観点から世界中のブランドに使用廃止宣言を出す動きが広まっています。

一方、代用として使用されるフェイクファーも賛否両論です。近年エコファーとも呼ばれるようになりましたが、材料がアクリルやポリエステルなどの生分解されにくい化学繊維である事から環境への影響が懸念されています。

<以上、アクセサリー・ミュージアムのHPより>

価値観というのは本当に場所や時代で変わるもの。同時に美の価値もその時代や場所で大きく変わっていきます。つい半世紀前までは美しい毛皮をまとった女優さんは普通に存在していましたし、極寒地区では毛皮の帽子で耳まですっぽり覆わないと人は外を歩けないほどの気温です。

さて、私たちかつて妙齢の(!)女性陣は、ファーがもたらす暖かさや華やかさを多少なりとも経験した世代です。今ではさすがにそんなものを堂々と身につけて闊歩するのは気が引けるものの、すでにもう衣類にされて取り返しのつかなくなってしまったものに対して廃棄すべきか最後まで使用すべきか、考えるところです。

この展覧会ではこのような「いけないアイテム」を何かしら身につけてくると割引になるということで、みなさん(フェイク)ファーのマフラーやバッグ、動物柄のアクセサリーといった小物をさりげなく身につけて集合しました。

ランチは中目黒で評判のお店、ビストロ・ボレロにて。ランチは土日しか営業していないので前から予約していましたが、当日はもう満席でした。どのお料理も美味しく、かなりボリューミー。そしてシャンパンと同じ値段のノンアルコール・スパークリングワインをいただいたのですが、まるでワインをいただいているかのごとく、ちょっと脳がほどよく酔ってくるという不思議なドリンク。美術館までは若干距離がありますので、腹ごなし&酔い覚まし(?)にちょうどよい運動です。

閑静な住宅地にあるアクセサリー・ミュージアム。趣味の良いコスチューム・ジュエリーがヴィクトリアン、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、オートクチュール、プレタポルテ、アヴァンギャルドと時代別に展示されている常設展と、今回の「いけないのファッション」企画展、両方とも鑑賞できます。

失礼ながらそれほど知名度があるわけでもなく、また決して便利とは言えないアクセスにも関わらずとても多くの鑑賞者がいらしていました。中でも比較的若いカップルがいたのは微笑ましい限り。「昔の人ってオシャレだったんだね~」という声を嬉しく聴かせていただきましたよ!

2022年のAEAOサロン倶楽部、なんとか無事終了いたしました。2023年1月は29日(日)に、エメラルドの原石を見る!というゴージャスな会でスタートする予定です。どうぞお楽しみに。


AEAOサロン倶楽部・10月の会は戸栗美術館へ

10月のAEAOサロン倶楽部は、現在戸栗美術館で開催されている「古伊万里西方見聞録展」の鑑賞会を行いました。開館35周年記念特別展です。

このサロンは受付開始日にすでに満席となりましたが、レストラン側が席を増やせるということで、当初募集の倍近くにまで人数が集まりました。

まずは松濤で、フルコースのランチ。食べるのに夢中で写真を撮り忘れておりますが、前菜+スープ+パスタ+メイン+デザートにドリンク付のお腹いっぱいコースを松濤Marさんで。

そして豪奢な建物の立ち並ぶ松濤地区を散歩しながら、戸栗美術館へ。

風情あるお庭も美しく整えられていて、ロビーから鑑賞できます。

Eテレ日曜美術館「アートシーン」にご出演の学芸員・小西さんから、今回の展覧会の概要や見どころをご紹介していただきました。

西方とはもちろんヨーロッパ、彼らはこれまで景徳鎮から磁器を輸入していましたが、明末清初の中国混乱期には上陸できませんでした。それで近くに日本があり、有田で磁器を生産しているではないかということで伊万里焼の海外輸出がスタートするのは17世紀半ばのこと、オランダの東インド会社によりアムステルダムへ、そしてそこからヨーロッパ各地へと有田の磁器が広まり、あっという間に人気となります。

実用品や装飾品などがやがて受注生産体制となり、ヨーロッパの人の生活様式に合わせた磁器が作られるように。そのせいかとても江戸時代にこんな器形を作っていたとは思えない、西洋風のものが多く海外にあるのです。またヨーロッパ各国の王侯貴族に愛された柿右衛門様式は、やがてヨーロッパで磁器の製法が可能になるとこのモチーフが真似られることになっていくのですね。

Eテレのアートシーンでも紹介されていましたが、全くそっくりの絵柄の八角皿、伊万里のものとマイセンのものが並んで展示されていました。人物の顔つきが伊万里のものは和風、マイセンのものは西洋風なのも本当に興味深い発見でした。

この美術館は、信念をもって「作品を貸さない・借りない」美術館運営をされており、従ってすべての所蔵品は門外不出、ここに足を運ばないと見られないものばかりです。

前回2020年3月に訪れたときはなんと雪景色でしたが、今日は最後の夏日ともいうべく、晴天に恵まれた1日でした。ご参加のみなさま、お疲れ様でした。楽しかったですね!


「フィン・ユールとデンマークの椅子」展と、創作料理

秋の三連休第一弾は台風で、日本全国で被害も出てしまい行楽日和とはなりませんでしたが、その三連休の最終日にAEAOサロン倶楽部・9月の会が開催されました。東京都美術館で開催中の展覧会フィン・ユールとデンマークの椅子」展の見学と体験です。

今回のサロンに先立ち、北欧料理、できればデンマーク料理が堪能できれば、と思っていましたが東京都美術館のある上野界隈にはそのようなお店が見つかりません。このサロンではお食事を楽しみ懇親することも会の趣旨ですので、それではどこかふさわしいレストランはないかな、と探して辿り着いたのが、今回利用しました Bistro NOHGAです。なんとなく北欧っぽいネーミング?(いえ、違いますね!)

NOHGA HOTEL内にあるこのビストロは、非常にこだわりのコンセプトを主張したお店で、たとえば地域の食材を使ったものがたくさん出てきます。コーヒーはコーヒー愛好家の間でも有名な「蕪木」珈琲で自家焙煎しているもの、パンは浅草にあるマニファクチュールというお店のもの、グラスは湯島にある木村硝子さんのもの、と地域の優れものを上手にアピールしています。

「これは・・・かなり当たりのお店では!?」とみなさんお料理も含め大満足。ホテルの方もビストロの方も非常に気持ちのよい接客で、今度は泊まってみたい、なんて声も。

台風の影響で晴れたかと思うと嵐、雨、という目まぐるしい天気の中、晴れ間がやってきたので今のうち、とレストランから東京都美術館へ移動。ちょっとした近道コースがあり、それほど濡れることもなく美術館へ。

こんな日にわざわざ来る人もそういないよね、という勝手な想像はアート好きの老若男女によって覆されましたが、並ぶこともなく展示会場へ入れました。

写真撮影OKの部屋とNGの部屋に分かれますが、かなりの作品で撮影がOKになっています。

フィン・ユールだけでなくアルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナー、イブ・コフォード、ラーセンをはじめとするデンマークの名だたる建築家・家具デザイナーの作品が勢揃いです。

最後の部屋は、これらの椅子に実際に座って体験できるコーナー。そう、家具工芸品は鑑賞するものではなく人が使うものですから、いくらフォルムが美しくても座り心地が悪い椅子ならごめんですよね、それで座ってみると・・・量販家具店で試し座りしていたものとは比べ物にならないコンフォートと優雅感が湧き出てきます!

台風で鬱々とした連休も、このサロンでちょっと気分良く過ごせた、という感想を頂きまして、主催者も大満足です。ご参加のみなさま、有難うございました。

「フィンユールとデンマークの椅子」展は10月9日まで東京都美術館にて開催しています。


大満足の旧細川護立邸・和敬塾見学と椿山荘でのお食事、オプションにルルドの泉と肥後細川庭園

AEAOサロン倶楽部、夏休みに入る前の7月第2部の会は、申し込み開始から5分で満席となってしまった「旧細川護立邸と、椿山荘で愉しむランチ」でした。キャンセル待ちのリクエストも何人かあり人数増を試みたのですが、すでに和敬塾の見学人数も定員オーバーということで、また秋以降にリベンジ会を行おうと思っています。

まずはその庭園が美しいラグジュアリーホテル・椿山荘でのランチ。ゆったりとしたこのホテルはロビーから回廊から至る所に品格を感じさせる美術品・工芸品が展示されています。ロブマイヤーのグラスなど、見たこともないようなシリーズもあって、目の保養になります。

11時半から食事のできる唯一のレストラン「ザ・ビストロ」で、美味しいコース料理をいただきます。今回は、後で歩き回りますのでノンアルコールで!

椿山荘を出て和敬塾へ行く間にある東京カテドラル・聖マリア大聖堂(丹下健三設計)、ルルドの泉をチラッと見学して、いよいよお殿様のお屋敷へ。

現在は「和敬塾」となっていますが、ここは旧細川護立邸。肥後熊本藩主を務めた細川家の第16代当主であられた方のお屋敷です。元々は和洋館並列型住宅を建てていたのですが、関東大震災で被害を受け、昭和11年(1936年)にチューダー様式を基調とした洋館単独型の新本館を立て直しています。

その邸宅と敷地は戦後接収されオランダ人が住まわれていたそうですが、接収解除後に前川喜作が細川家より購入し、学生寮を設立、現在の「和敬塾」に至っています。ちなみにどこか特定の学校の寮ではなく、学生の大学はさまざまだそうで、近場の早稲田大学がその半分を占めているようです。コロナ前までは留学生も20%ほど寄宿されていたとか。

本館内部はガイド付きで細部までご案内いただき、明治の洋館ではない昭和の洋館、不穏な時代に邸宅のセキュリティを如何に工夫したか、空調は、冷暖房は、日差しの向きは、といった現代にも通ずる家屋の設計をも丁寧にご説明いただきました。

写真は撮り放題でしたが、blogやSNSへのupはご法度ということで、今回は見学終了後にいただいたポストカードでその雰囲気を残したいと思います。

細川侯爵は「美術の殿様」とも言われており、美術品のコレクションにも熱心でした。大抵お金持ちで地位のある方は古今東西美術品を収集しますが、この方は実は借金をしてまでも美術品を購入していたとか。そのコレクションは、この近くに美術館として永青文庫に収められています。今日は残念ながら展示替えで閉館中。

その後、現在は都立公園となっている池泉回遊式庭園の肥後細川庭園、リニューアルされた松馨閣も見学し、たっぷり歩いた1日でした。気温30度を越す蒸し蒸しした日ではありましたが、楽しかったですね。ご参加のみなさま、お疲れ様でした。

AEAOサロン倶楽部、8月はお休みです。また秋以降のサロンは決まり次第公表したいと思います。