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初めての口頭試問付きアンティーク検定試験

第16回目となるアンティーク検定試験、今年の1級の試験は初の口頭試問付講習形式を実施しました。従来の試験形式でも受験できますが、勉強の仕方がよく分からない、十二分に理解した上で取得したいという受験希望者の声を反映させ、論述は事前に提出、2日間の講習で2級までの知識を再確認し、最後に試験官より論述に関しての口頭試問を一人ずつ受けるという形で、従来の検定試験より1週間前のこの週末に行われました。

1日目は、西洋美術史、西洋装飾美術工芸史、外国語でのdescriptionをインプットではなくアウトプットできるように訓練を兼ねて再確認します。脳みそがフル回転した終日講習でしたね。

2日目の午前中は、現代時事アンティーク、この分野が唯一自分で考えて意見を述べるという、がり勉や丸暗記が全く役に立たない科目です。即席で意見を述べるには、普段からアート情勢を追って、自分の頭で考えていないといけない、考えなしでただ話し始めて誘導質問されるとどんどん意見が上書きされていき、ついには自分が最初に主張したことと正反対の結論になる、という自爆もよくありがちです。

テーマはどれも深い考察を必要とする問題ですが、自分自身のポジションをとっているか、「一般には」「現代人は」と主語をぼかして自分の意見を無にしていないか、これは日本の受け身的教育を受けてきた日本人にはなかなか厳しい方式です。今回のテーマの1つは、ガウディのサグラダ・ファミリアが3DプリンティングやAIを用いた構造解析、デジタル技術の導入により、かつて300年かかると言われていた完成がカウントダウンに入ったことに関し、主導権が人間の創造性からテクノロジーへ移っていくことをどう考えるか、という問題でした。決して簡単ではありませんよね。

口頭試問へ向けての直前対策講座を行い、そしていよいよ一人ずつ試験会場へ入室。

1つ1つの細かい事象は今や検索エンジンで調べればすぐわかるどころか、AIが教えてくれます。提出する論述をAIを使って仕上げたとしても(それ自体は今や誰も防ぐことができない)、自分で書いた文章の内容に関しての背景、歴史、美術史的な意義を自らの言葉で語れるかを口頭試問でチェックされるという、ごまかしの効かない試験が行われました。

それぞれの持ち時間が終了し、みなさん緊張と疲労でぐったりしていましたが、即日成績発表です。カフェに移動して、いよいよスコアが手元に!

結果、今回幸い不合格の方はゼロでした。「合格」または「条件付き合格」となり、全員1級の認定証を手にすることができました!!

今回の最高得点者は、なんと最高齢のマダム、彼女だけが唯一過去に2級までを試験でパスしています。現在では2級は講習のみでの取得となっていますが、試験実施時代に一生懸命覚えたあれやこれや、やはり脳の引き出しの中でちゃんと保存されていたようで、今回少しの整理を行ったら、見事に整理整頓できたというわけでしょうか。多くの高齢者が認知症におびえている中、誰よりも高得点でした。

認定証を授与した後は、スイーツとお茶でホッと一息。受験者のみなさま、お疲れ様でした。そしてあらためて合格おめでとうございます。試験官からも「これからは得た知識を自ら語れるようにしてくださいね、そしてぜひアートを買って、手元に置いてください」と、アンティーク・コレクター試験にふさわしいアドバイスでした。

アンティーク検定講習・2級が終了

GWの真っ只中の5月2日・3日は第17回アンティーク検定講習・2級の後半の部が開催されました。3週間前に前半を終えている受講者のみなさんの中には、遠方から再び新幹線でキャリーケースを持っての登場された方も。

後半の会場は東京芸術劇場にて、終日の座学講習です。複製芸術(版画、写真、ポスターなど)について、そしてジュエリー史を途中までやったところでお昼に。会場近くの、またもや美味しいインド料理のお店でランチをいただきます。『ワインとスパイスのお店』と謳っているのですがなぜかランチ時にはカレー、でもとても美味しいのです。

午後はジュエリー史の続きを終えて知識をインプットしたところで、講師・青山先生がご自身のショップから持って来てくださったアンティーク・ジュエリー十数点を年代ごとに並べるという課題をみなさんで行いました。ジュエリー史の講座として聞いているときは、ふむふむ、と理解できた気でいても、いざ自分でその知識から年代鑑定をする、となると「あれ、なんだっけ」と戸惑うもの。それでもかなり正解率が高かったので、みなさんちゃんと理解できていたようですよ。

最後に西洋美術史を、国際ゴシックから20世紀初頭のドイツ表現主義まで一気に俯瞰、美術史としてのアカデミックなウンチクは思いっきり飛ばして、各美術様式の代表的な絵画から描かれている装飾工芸をも一緒に読み解くというアクロバット的な美術史です。

この講習では西洋美術史の十分な時間が取れないので、現在Eテレで放映中の30分番組『3か月でマスターする西洋美術』の紹介をしたところ、なんとみなさん既に視聴していました!

2日目、午前中は建築と家具について、代表的な装飾モチーフをオンラインで学び、いよいよ最終見学は迎賓館・赤坂離宮です。総監修者・岡部昌幸先生に登場いただき、正門の装飾の解説も「どこが創建当時のオリジナルで、どこが第二次大戦後に修復した際に加えられた装飾か分かりますか?」から謎解きがスタート。主庭、建物内、前庭と岡部先生オリジナルの解説付きで回りました。今年に入って訪問されたマクロン大統領やトランプ大統領との会食時の食器なども展示されていました。

GWの真っ最中とあって、はとバスやJTBのツアーなど人混みが凄く、また夜間開館ということで前庭ではコンサートなどもあり、普段以上にキッチンカーも出ていました。鑑賞後は休憩所のカフェにて甘いもので疲労を回復しつつのディプロマ授与となりました。

受講者のみなさま、4日間の講習おつかれさまでした。あらたな鑑定士の卵の誕生です。

2026年アンティーク検定講習・2級の前半が終了

今週末はアンティーク検定講習・2級の前半2日間でした。2022年より、2級は講習のみで取得できることになっています。

初日の土曜日、なんと4月にして夏日!?東京は27℃と気温が異常上昇した中、文京シビックセンター内にて終日の講習会。テーブルウェアの歴史からスタートし、「鑑定」とは何か、英語で書かれたクリスティーズのオークション「鑑定description」を解明し、実際にテーブルウェアのちょっと変わったものを教材に、それぞれ鑑定の練習をします。

ランチは前回から文京シビックセンターのときはここ、と決めているインド・バロック(勝手に命名!)調のお店にて。キャビネットの中にある銀器コレクション、実は24金のスプーンやティーセットなどもあって、インドとゴールドって何故かに合いますよね。

そしていよいよ与えられたものを鑑定し、英語で表現してみるという練習、頭の中でなんとなく思ったことでもいざ言語化すると難しいもの、それでもなんとかみなさん終えました。講習で使用した鑑定品はお持ち帰りいただけるので、それぞれご自宅で使っていただければと思います。

最後に「モードの歴史」、ルネサンスから20世紀後半までのモードについて、男性優位のモードから女性優位へ、やがてデザイナーの登場、と500年のモード史を美術様式、装飾工芸様式とともに俯瞰しました。

2日目の午前はオンラインによる「アール・ヌーヴォーとアール・デコ」の座学講習、そして3時間後に東京都庭園美術館へ集合し、東京で見られるアイコニック的なアール・デコの建物、旧朝香宮邸を見学しました。前日からスタートした建物公開「アニマルズin朝香宮邸」展、とても賑わっていました。

この講習のために2日間、朝早くから遠方はるばるお越しいただいた方、宿泊された方もいて、みなさんの向学心の高さに頭が下がります。2日間の講習、お疲れ様でした。また3週間後に後半の講習会でお会いしましょう。

第17回アンティーク検定講習・3級を終えて

今年のアンティーク検定講習・3級は3月7~8日に開催されました。講習会場は、リニューアル後なかなか取れなかった東京芸術劇場が復活、こちらのミーティングルームにて。かつてのサロン風円形テーブルが教室型の机&椅子になってしまったのが若干残念ですが、ロの字型に配置して、みなさんで顔を合わせつつ行いました。

ご参加者さんは珍しく全員首都圏外の方で、宿泊を伴って参加していただいたり、片道2~3時間かけて来てくださったりと、アンティークの世界への意気込みを感じます。この検定講習は集中講座となり、2日間で一気に知識のシャワーを浴び続けるという修行僧のようなスケジュールではありますが、その時は頭に入りきらなくても一旦引き出しに仕舞っておいて、後からまた本を開いて引き出しを開いて整理していくことができる、そんなプログラムです。

独学で学べる人は「西洋骨董鑑定の教科書」を片手に学び、アンティーク検定試験を受験することで合格すれば級が取得できますが、等価である検定講習では知識ゼロで参加可能、その場で「理解し、納得して学ぶ」方式。どちらでも自分の好みやスタイルに合わせて取得されればと思います。

初日は終日の会場講習、お昼は一緒にかつてよく利用していたもちもちパスタのお店へ。受講者さんも主宰者も花粉症が絶賛発症中で、お聞き苦しい場面もあったかと思いますが何とか座学講習も無事終え、ルーペを使っての鑑定も基本をマスターできました。

実地見学地は旧岩崎邸です。明治時代の木造建築とは思えない、コンドルの傑作の一つ。ジャコビアン様式の重々しさと、ベランダからの開放的な庭の光景の対比、かつてはこの数倍はあったという書院造りの和館と洋館の対比、ヨーロッパの金唐革を和紙で制作した日本工芸の優美さ、当時上流階級の嗜みであったビリヤード場、邸宅内で使用されていたバカラのグラスには1936年以前のオールドバカラの商標を表す幻のシール…アンティーク好きにとって実に多くの興味深いものが詰まっている館です。

和館の中にある茶房は残念ながらリニューアル中、いつもはこちらでお抹茶&生菓子を頂くのですが、今回は別のところでお茶を、とカフェを探したところ、珈琲の名店「Cafe Bach」が焙煎した豆をドリップで挽いていただけるカフェを偶然発見、こちらでモンブラン&コーヒーで終了となりました。

ご参加いただいた方、ありがとうございました。そして無事3級取得、おめでとうございました。次は2級の検定講習でお会いしましょうね!

充実した第16回アンティーク検定講習・2級後半

アンティーク検定講習・2級の後半の部が3連休の11/1-2にかけて開催されました。後半初日は会場に集合し、ゲスト講師の青山櫻先生(アンティーク・スペシャリスト)をお呼びし、アンティーク・ジュエリー史を俯瞰した後、宝飾品・貴金属の見かたについての実地講習です。

横浜青葉台でアンティーク・ショップを構えていらっしゃる青山先生、今日の実地講習のために、惜しげもなくお店の貴重な商品を25点もお持ちくださいました。今回は全員女性の受講生でしたので、ジュエリーを見るだけでもテンションが上がるのですが、普通なら「可愛い、キレイ」という感想と共に値段を見ておしまい。ところがこの講習ではこれら25点のジュエリーをまず時代別に並べる、というタスクが課せられました!

コスチューム・ジュエリーとファイン・ジュエリーをまずは区別し、コスチューム・ジュエリーは20世紀のもの、と分けます。これは全員一致で正解です。次にファイン・ジュエリーを時代別に並べていくのですが、これがなかなか難しいですね。受講者のみなさんで「これは…こういう理由でジョージアン」「これは…黒いモーニングジュエリーのジャンルに入るのでヴィクトリアン」「このモチーフはアール・ヌーヴォー」「ローズカットのダイヤが使われていたのは…」「石の裏側が留められているクローズドセッティングだから…」「プラチナが使われた始めた初期だから…」「この原色の配色はアール・デコ時代」とジュエリー史のおさらいをしながら並べてみて、青山先生に答え合わせをしていただきました。

ルーペの使い方についても、宝石・貴金属の鑑定には欠かせないものですが、その使い方の基本を学びます。対象物を動かすのであって、ルーペを対象物に動かしてはいけない、という原則を始めて知ったという方も「見えない…おお、見える、見える、見えてきた!」と感激。

この日は複製芸術と西洋美術について、アール・ヌーヴォーとアール・デコについても学び、ランチは前回行って誰もが「またここに来たい」ということでリピートしたマハラジャの家の中にあるような内装のインド料理店にて。みなさんですっかり仲良くなりました。

2日目は午前に西洋建築と西洋家具について学び、午後は迎賓館・赤坂離宮を監修者・岡部昌幸先生の解説で見学です。岡部先生は渡辺省亭の研究の第一人者でもあるので、花鳥の間にある渡辺省亭と濤川惣助による七宝焼きについての解説には熱がこもります。

館内は先週トランプ大統領が来日していた関係で1週間以上見学不可の期間だったこともあって、今日は普段よりも来館者が多い上に3連休、ツアーで訪れている方たちも大勢いました。

かつては実験的にある部屋のみ写真撮影可、というようなことをやっていたようですが、今日は館内の撮影は不可、そうでないとどこもかしこも撮りたくなってしまいます。というのも、トランプ大統領と高市総裁の会見の写真も既に展示されていて、その時に使われた食器などもありました。内閣府、仕事早いです!

見学にもう少し時間を取りたかったのですが、この迎賓館も、そしてカフェも17時に閉まってしまうため16時過ぎにはカフェ(正式には迎賓館赤坂離宮前休憩所)へ移動、そしてお茶&ソフトクリームパフェで懇親会を行い、修了認定証が岡部先生より授与されました。

新しい鑑定士の誕生です。17時にカフェを追い出されてからも名残惜しく、カフェを出た若葉東公園内で楽しくお喋りに花が咲きましたね。受講者のみなさま、4日間の集中講習に実地講習、お疲れ様でした。