日別アーカイブ: 2014年9月4日

アンティークや美術品におけるホンモノとニセモノとは?(追記)

 前回のブログで、ルーベンス工房で制作された、弟子だけで描いた作品はホンモノか?というような例を出しましたが、今週の『開運!なんでも鑑定団』で、まさに同じようなエピソードが出ていました。
 

 お宝は、フランス・スナイデルス(1579-1657)の油彩画。ブリューゲル(子)の弟子だった画家です。ヴァン=ダイクともお友達だったようで、ヴァン=ダイクが描いた『スナイデルス夫妻』という肖像画によると、結構ヤサ男。
 

ヴァン=ダイク作『スナイデルス夫妻』

ヴァン=ダイク作『スナイデルス夫妻』

 

 さて、このスナイデルスの油彩画を持っていた依頼人、本人評価額の1000万円に対して、鑑定士の評価は1500万円、但し、この作品はスナイデルスの作品ではなく、スナイデルスが主宰している工房で制作された作品、ということでした。
 

 この時期は絵画制作は工房で複数の弟子たちの元で行われており、ルーベンス工房、レンブラント工房、ヴァン=ダイク工房、など、アトリエ作というのが普通でした。そもそも1人の画家が構想、デッサン、作画とすべて手がけていたのではない時代において、こういう作品はニセモノとは言いませんが、でもスナイデルスのホンモノの作品かというと・・・。
 

スナイデルス『野猪狩り』

スナイデルス『野猪狩り』


 

 こういう工房作品の画家の場合、大きく3つに分けられます。
 
1 画家自らが絵筆を握って描いた作品
2 画家本人がその一部(主に人物の顔と手の部分)を自ら描いた作品
3 画家がスーパーバイザーとして、作品を弟子達に描かせた作品
 
 もちろんこの順番でお値段も下がります。
 
 今回の依頼者のお宝は、3ということで、1500万円。これが1だったら、いくらの値がつくのでしょうね。