日別アーカイブ: 2016年9月7日

アンティーク検定・2級の準備

 アンティーク検定3級をすでに合格された方、または、どうせならがんばって2級からトライしてみよう、と思っている方、12月の検定試験まで、3ヶ月もあります!ゆっくりマイペースで準備をしていきましょう。
 

 2級の目標は、「ヨーロッパの人々が一般に知っている装飾工芸美術の流れやスタイルを理解し、主な工芸品について、知る」。さて、ヨーロッパの人々が一般に知っている装飾工芸美術の流れって何でしょう。
 

 われわれは日本人ですから、「これは利休の時代の器ですね」とか、「これは明治初期の工芸品ですよ」なんて言われれば、だいたいどんな時代でどんな様子なのか、詳しくはわからなくても、想像がつきます。でも、ヨーロッパの歴史は常に意識しているわけではありませんから、フランスの新古典様式、と突然言われて、それがいつの時代の、どういう特徴で・・・と、すらすら頭に思い浮かべるのには、ちょっとこの世界に入り込む必要があります。
 

 2級は、いきなり4科目も出てきます。
 

 まずは、西洋美術史。西洋の装飾工芸品を理解するのに、西洋美術史の知識がなくてはお話にならないので、これはがんばって流れを理解しましょう。でも、美術史に関しては、巷にたくさんの書物があります。もちろんピカソだけで1冊書かれた本もありますが、通史のようなものを1冊選んで、それをさらっと通読すれば、80%は正答できる問題を出題しています。しかも時代でいくと、ほとんどが17〜19世紀の問題なので、範囲はそれほど広くありません。
 

 本を読んでも頭に入らないなあ、という方は、たとえば美術検定の2級で、西洋美術史のところを解いてみるのもよい方法です。Q&Aだと、自然と頭に入るという説もありますね。(美術検定で、同級をすでに所持している場合は、免除合格になります。)
 

 西洋装飾美術工芸史。ここは、アンティーク検定の中でも要の部分と言えます。西洋美術史のように、1冊ですべてまとまっている本というのは、日本語書籍では残念ながらあまり見当たらないのが現実です。それで、2級の受験を申し込まれた方には、「要点集」をPDF版でお送りしています。要点や語句が箇条書きになっているものですが、知らない言葉があれば、ネットで検索したり、関連する記事を読んだりしているうちに、頭に入ってきます。
 

 陶磁器、銀器、ガラス、宝飾品、家具などがメインですので、興味のある分野の専門書など、手元においてみると、より理解しやすいでしょう。
 

book1 

book2
  

 外国語(英語またはフランス語)。これで「もう自分は無理!」と諦めてしまう方も多いのですが、語学の試験では全くありませんので、安心しましょう。アンティークは外国語なんてできなくても、もちろんコレクションできますし、理解もできます。でも、海外に行って、たとえば何か工芸品の展覧会を見て、そこに書かれてる技法などの用語が何を意味するのかわからないと、せっかくの鑑賞も半減してしまいます。出題される問題は、実は日本語でもそのままカタカナだったりして、でもそれってどういう意味?というものも。
 

 過去に出題された問題の一例です。
 

「日本でもリバティプリントなどで知られる、室内装飾を手がけたデザイナー、William Morrisは、どの時代の人でしたか?」
 
A ( )Tudor
B ( )Victorian
C ( )Georgian
D ( )Edwardian
 
 William Morris = ウィリアム・モリス、Tudor = チューダー朝、Victorian = ヴィクトリア朝、Georgian = ジョージア朝、Edwardian = エドワード朝、ですから、語学の試験というよりは、やはり西洋装飾美術工芸史を、ちょっと英単語を使って問いているわけです。
 

 要点集には、辞書のように語句が羅列してありますが、ビビらなくても大丈夫。この全部の意味が正確にわかれば、もう立派なアンティーク鑑定士ですから。
 

 最後に、現代時事アンティーク。
 アンティークが好きなんだから、現代時事なんてどうでもいい?いえいえ、たとえばアンティークの市場というのは、その時代によって変化しています。今はミュージアムピースとされるアール・ヌーヴォーのお高い作品も、ある時期には「粗大ゴミ」扱いされていたって、ご存知でしたか?今の日本で、どんな骨董市が開催されているか、知っていますか?今年、装飾美術工芸の分野で、どんな展覧会がどこで開催されたのか、何か見ていますか?世界的なアートフェアやアンティークフェア、知っていますか?
 

 やはり同時代としてのアンテナを張っているのは大切です。いくら18世紀が大好きでも、いまは21世紀。現代のアート展は興味ないなあ、と言っても、いま私たちが古典とかアンティークと呼んでいるものは、その時代には最先端の現代アートだったわけで・・・。
 

 もっともアートに興味があれば、駅のポスターなどを見て、「へえ、いまXX展がやっているんだ」程度の好奇心は入ってきますよね。そんな程度で大丈夫です。
 

 2級というのは、たとえば英検でいえば、まあ英語でちょっとした会話ができるレベル、簿記なら企業会計を担うレベス、漢字検定では常用漢字がすべて読み書き活用できるレベルです。アンティーク検定2級は、ヨーロッパの装飾工芸品についての有識者、ということになります。アンティークの専門家・鑑定家第一歩となるこの検定、ぜひ挑戦してみてください。