2017年秋 パリ&ヴェルサイユ海外研修 第1日目

 「海外研修はいつ行うか決まっているんですか?」という質問をよく受けます。毎年この時期に行う、と決まっているわけではありません。過去に9月、6月、3月と行ってきて、今回は10月に。いろいろな季節で、その時々に行われるアンティーク・フェアやオークションに参加しながら、アンティークの世界を学べるプログラムを組んでいます。(次回は2018年3月を予定しています。これは、PADというフェアに合わせての研修です。)
 

 あくまでも旅行ではなく研修(=現地での専門家が指導を担当)ですので、オークションハウスも休みに入り、専門家もアンティークショップも蚤の市もお休みだらけの夏休み(8月)にはできないのが残念、8月にパリに行くと観光客しかいなかった、と言われる通り、ヨーロッパ最大の蚤の市サントゥワン(日本通称名:クリニャンクールの蚤の市)でも、半数以上の業者さんが3週間のお休みを取るお国柄ですから・・・。
 

 さて、今回のパリ&ヴェルサイユ海外研修の様子をレポートしていきたいと思います。
 今回のテーマは「art de la table(テーブル・アート)」に絞ってみました。
 

 第1日目は、ギャラリーSebastien Meunierを会場にウェルカム・コーヒーの後、フランスの陶磁器に関する講義。講師はテーブル・アートの専門家でおなじみの、Anne Kolivanoffの奥深い講義に、プロの日本語通訳が付きます。
 

 

 

 通訳が入ると、1時間の講義は実質30分くらいになってしまうところ、早口Anneのトークに、事前にしっかり準備をしてくださったプロ通訳のおかげで、1時間半の講義もたっぷり1時間半分の内容となりました。ファイアンスから入り、軟質磁器、硬質磁器に至るまでの歴史と特徴、マーケットでのプライスまでもをしっかり頭に入れます。
 

 午後はパリっ子たちも気軽に訪れるオークション・ハウス「ドルーオー」の見学。この日はオークションは行われておらず下見会のみでしたが、オークション・ハウスの成り立ち、利用方法、そして下見会場を通してテーブル・アートの出品作品について、みなさんであれこれウンチクを語りながらのひととき。
 

 ーえ、触っていいんですか?え、開けてもいいんですか?(自分が落札するかもしれない商品なのですから、思う存分状態を確かめて、実見をしなくては!)
 

 ーあのテーブル・ウェア一式の予想落札価格、いくらだろう、え、こんなに安いんですか?70ピースもある!ああ、でも全部持って帰らなくちゃいけないんですよね・・・、うーん、どうしよう・・・(落札したが最後、はいどーぞ、と箱ごと渡されるオークションシステム、日本へ持ち帰りの場合は本当によーく考えないと。)
 

 ーこの黒い石、なんですか?あまり見ないですよね。(カタログを調べて)なんと隕石!?そんなものまで出品されてるんですか!
 

 

 
 

 ドルーオーを出た後は、すぐ近くにギャラリーを構えているTourbillon氏が私たちを迎えてくれ、ガレやドームのガラス作品を紹介しながら、ガラスの技法に関してのレクチャーをしてくださいました。ウン千万円級の作品は、ウィンドーや店内ではなく、金庫の中に入っていて、普段はお得意様にしか見せないものですが、惜しげもなく見せてくれて、「触ってみなさい、触らないとわからないでしょう」と。Tourbillon氏のお店は、ドルーオー通りと、蚤の市サントゥワンのマルシェ・ビロン(サントゥワンの中でも最も高級店が連なるマルシェ)にあります。
 

 そして、ドルーオー界隈と、パッサージュを散策。築地市場の周りに美味しい食堂があるように、オークションハウスの周りにはたくさんのギャラリー、アンティークショップ、鑑定事務所、オークション会社が軒を連ねています。この界隈をQAD(Quartier Art Drouot)と言うのですが、QADは言ってみれば「場外」?
 

 初日はこんなところで、終了となりました。
 

 パリはまだ夏時間なので、日の入りも遅く、19時過ぎまで明るい上に、例外的なインディアン・サマー、半袖の人もいて、テラスでみなさんガッツリとビールを飲んでいます!日本の天気をスマホでみては、「あら、雨続きのようね、しかも寒そうね、うっしっし」と参加者一同ほくそ笑むのでした。
 

 第2日目に続きます。