投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

第17回アンティーク検定講習・3級を終えて

今年のアンティーク検定講習・3級は3月7~8日に開催されました。講習会場は、リニューアル後なかなか取れなかった東京芸術劇場が復活、こちらのミーティングルームにて。かつてのサロン風円形テーブルが教室型の机&椅子になってしまったのが若干残念ですが、ロの字型に配置して、みなさんで顔を合わせつつ行いました。

ご参加者さんは珍しく全員首都圏外の方で、宿泊を伴って参加していただいたり、片道2~3時間かけて来てくださったりと、アンティークの世界への意気込みを感じます。この検定講習は集中講座となり、2日間で一気に知識のシャワーを浴び続けるという修行僧のようなスケジュールではありますが、その時は頭に入りきらなくても一旦引き出しに仕舞っておいて、後からまた本を開いて引き出しを開いて整理していくことができる、そんなプログラムです。

独学で学べる人は「西洋骨董鑑定の教科書」を片手に学び、アンティーク検定試験を受験することで合格すれば級が取得できますが、等価である検定講習では知識ゼロで参加可能、その場で「理解し、納得して学ぶ」方式。どちらでも自分の好みやスタイルに合わせて取得されればと思います。

初日は終日の会場講習、お昼は一緒にかつてよく利用していたもちもちパスタのお店へ。受講者さんも主宰者も花粉症が絶賛発症中で、お聞き苦しい場面もあったかと思いますが何とか座学講習も無事終え、ルーペを使っての鑑定も基本をマスターできました。

実地見学地は旧岩崎邸です。明治時代の木造建築とは思えない、コンドルの傑作の一つ。ジャコビアン様式の重々しさと、ベランダからの開放的な庭の光景の対比、かつてはこの数倍はあったという書院造りの和館と洋館の対比、ヨーロッパの金唐革を和紙で制作した日本工芸の優美さ、当時上流階級の嗜みであったビリヤード場、邸宅内で使用されていたバカラのグラスには1936年以前のオールドバカラの商標を表す幻のシール…アンティーク好きにとって実に多くの興味深いものが詰まっている館です。

和館の中にある茶房は残念ながらリニューアル中、いつもはこちらでお抹茶&生菓子を頂くのですが、今回は別のところでお茶を、とカフェを探したところ、珈琲の名店「Cafe Bach」が焙煎した豆をドリップで挽いていただけるカフェを偶然発見、こちらでモンブラン&コーヒーで終了となりました。

ご参加いただいた方、ありがとうございました。そして無事3級取得、おめでとうございました。次は2級の検定講習でお会いしましょうね!

「お姫様の装い」を大学博物館で

ひな祭りの3月3日、「一日中冷たい雨で、場合によっては雪になるかも」予報が出ておりみなさん着込んで集まったAEAOサロン倶楽部、今回の見学地は大妻女子大学博物館(千代田区三番町)です。

この会は近くのレストランでプレレクチャー付ランチをいただくのが恒例なのですが、この辺りにはあまりゆったりとくつろげそうなレストランがない中、東京グリーンパレスというホテル内のレストラン「食彩厨房ジャルダン」があり、こちらで松花堂弁当を予約いたしました。

個室を用意していただき、広々とした空間内でお弁当(量がたっぷり!)をいただき、そしてプレレクチャー。大学博物館、実はかなり穴場というか、いいところが沢山あるのです。その起源はオクスフォード大学のヴンダーカンマー(驚異の部屋)とされていますが、東京だけでも多くの大学博物館が存在し、他ではお目にかかれない珍品を所蔵している大学も。当協会のサロンでも霞会館記念学習院ミュージアムは何度か訪れています。

今回は大妻女子大学博物館で開催中の企画展「お姫様の装い」を訪れます。この博物館には佐賀鍋島家に伝来する西洋ドレスを復元したもの(卒業制作品)が収蔵されていて、今回お披露目されていました。鹿鳴館時代の中心人物でもあった鍋島夫妻の衣装、ああ意外と小柄だったんだなぁと明治時代の華族たちの生活がよみがえってきます。

18世紀のローブ・ア・ラ・フランセーズからアール・ヌーヴォー期までの装いが一通り展示されていました。また「竹内コレクション」として、19世紀から20世紀にかけての女性用のバッグ、扇の展示もありました。

規模的にはこぢんまりとした展覧会ですが、このお天気にもかかわらず見学者が次から次へと訪れていました。

その後、近くに居ることだし、ということで靖國神社内の遊就館にある茶屋でお茶をすることに。ここもなかなか穴場カフェ&レストラン、メニューには「海軍カレー」とか「海軍コーヒー」とか。私たちはひな祭りということで、甘味をいただきました。

帰りもしつこく雨が降っていましたが、丸一日楽しく過ごせました。ご参加のみなさま、ありがとうございました。

「ジョージアンのマナーハウス」のヴァーチャルツアー!

アカデメイア「イギリスのマナーハウスと過ごし方」(青山櫻先生)第2回目は、ジョージアンのマナーハウスについて学びました。「マナー」とはお作法のマナーではなく、manor = 荘園という意味で、元々は領主の屋敷だったところです。

マナーハウス、アビー、プライオリ、キャッスル、ホール、パレス等々さまざまな名前が付いている建物の違いやカントリーハウスとタウンハウスのなどのイギリス独特の表現や、建物だけでなく庭や噴水なども含めた構成を、有名な建築デザイナーの紹介とともに解説いただきました。規模を知るにはやはり東京ドームを基準にして「何個分」という比喩を使うのですが、「ここは東京ドーム〇〇個分です」と、維持管理が如何に大変かが想像できる屋敷がイギリスには散らばっています。

イギリスは領土的には小さな島国で日本の3分の2くらいの国土面積しかないのですがこのようなかつてのマナーハウスが多く残っており、青山先生によると「貴族であろうと相続税は普通に課税されるため、映画撮影に貸し出したり博物館にしたりと、その費用を捻出するのも大変」なんだそうです。

そんな説明を一通りいただいた後、映画「ダウントンアビー」に登場するハイクレア城の内部について、詳しいご紹介をいただきました。実際に訪れ城内でディナーをされたという体験を、建築や家具、テーブルウェアに至るまでつぶさに観察いただき、マナー(作法)の視点やアンティークの視点を解説してくださいました。

イーストナー城の内部もビデオと共に見せていただき、「イギリスのお城」と一口に言っても本当に様式から成り立ち、現在の活用方法もさまざまだということを知った講座でした。

次回はタウンハウスについて学びます。カントリーが本宅、タウンが別荘扱いというイギリスならではの愉しい視点ですね。

旧山田家住宅を知っていますか?

今日のAEAOサロン倶楽部は、世田谷区指定有形文化財の旧山田家住宅の見学に行きました。成城学園駅から歩いて10分ほどのところにある、昭和初期の建造物です。

まずは懇親会ランチ。今回はフレンチのコース料理を駅からすぐの建物も素敵なアシエットさんにて。ほぼ個室のような空間を贅沢に使わせていただきました。お料理もどれも素晴らしいのですが、カトラリーはクリストフルのアリア、デザート時にはマルリーでした。アンティーク仲間ですので、こういうのは目ざとくチェック!

たっぷり2時間のコース料理を楽しんだ後、旧山田家住宅へ。途中に見られる建物もどれも広大な敷地に邸宅風で立派、さすが高級住宅街。「成城憲章」なるもので、景観も守られているのですね。

旧山田家住宅は、文字通り山田さん(山田盛隆氏)のかつてのお住まいだったのですが、元の建築主は楢崎定吉というアメリカ帰りの実業家、御子さんを成城学園に通わせるためにこの地で住宅を建設したと言われているようです。

外観は洋風ですが内部は和洋折衷。玄関ポーチには昭和初期に流行した、あの帝国ホテルでも使われていたスクラッチタイルがありました。居室はほぼ洋室ですが、2階の客間には書院造の品格のある和室に雪見障子が設えられています。(女中部屋も和室!)

照明器具からドアノブ、上げ下げ窓、ラジエーター、ランドリーシュートなどを見ると昭和初期のブルジョアの様子が垣間見えます。この時代にセントラルヒーティングのあった屋敷ですから、その生活水準の高さが伺えますね。

現在はポーチ(ベランダ)の空間がカフェになっていて、こちらでお茶&パウンドケーキをいただきながら(さっきフルコースを食べたばかりなのに!?)、外の梅の花を眺めつつお喋りに花を咲かせる私たち。

お庭の景色も十分に楽しませていただき、今度は駅と反対側にある世田谷美術館分館の清川泰次記念ギャラリーを訪れました。元々画家であった清川がミサワホームや西武百貨店のデザインを手掛けるようになった1980年代をリアルに生きていた私たち、「こんなデザインのインテリアグッズ(スリッパ、カーテン)、デパートによくあったよね」としみじみしながら清川の旧自宅兼アトリエでの小さな展示を楽しみました。

午前中はまだ冷たかった風も陽の光を浴びて少し暖かくなってきたようです。春までもう少しの我慢ですね。ご参加いただいたみなさま、有難うございました。

新アカデメイア「イギリスのマナーハウスと過ごし方」がスタート

2026年1月より、新アカデメイアが始まりました。イギリスの建築を3回で学び、そして4回目に旧前田侯爵邸を見学するというシリーズ、講師は前アカデメイアに引き続き認定スペシャリストの青山櫻先生です。

第1回目はロンドンの建築物を見ながら、イギリスの建築様式について学びました。一般的な様式名「バロック様式」「新古典様式」ではなく、建築特有の様式の名称があります。その中でもイギリスに特化した呼び方、たとえば「チューダー様式」「ジャコビアン様式」「パラディアン様式」といった様式名、実際にどのような建造物がこれらに当たるのか、同時代のものとリヴァイヴァルのもの、それぞれの様式が生まれた歴史的背景や特徴などを教わりました。

よくヨーロッパの古い建物で窓が潰されている建物を見たことがありますよね。これは住宅の窓の数に応じて課される固定資産税の一種で、イギリスで最初にできたようです。そして窓を潰してしまったことにより部屋が暗くなると、今度は部屋を明るくするためにミラーを家具に取り付けるようになります。アンティークの家具で、下部にミラーがついているのはそういう事情があったのですね。

ノルマン様式から戦後のモダン様式まで1000年の建築を俯瞰した後は、最初に見たロンドンのアイコン的な建物の様式おさらい。みなさん消化できたようで、正解続出でしたね。

次回はマナーハウスについて、その構造やマナーハウスのマナーについても教えていただきます。本アカデメイア、オンデマンドでもご受講いただけます。