フランス人間国宝展

 東京国立博物館にて、9/12-11/26の会期で「フランス人間国宝展」が開催されています。
 
 
 日本の人間国宝にならって、フランスでも当時の文化省により「人間国宝(メートル・ダール)」がつくられたのが1994年、主に工芸分野で熟練の技をもった作家たちを評価するもので、現在124名のアーティストが認定されているようです。
 

 その名誉あるメートル・ダール13名に、2名を加えた15名の工芸アーティストたちの作品が、今回表慶館にて展示されています。
 

 第1室の陶器から、第8室のガラスまで、金銀細工、革細工、真鍮細工、壁紙、傘、扇、織り布、羽根細工、エンボス加工・・・と伝統的なフランスの工芸技術を駆使した現代作品が全部で230点ほど紹介され、その技と美の世界へ誘います。
 

 作品はどれも現代に制作されたものですが、工芸品はファイン・アートに比べてコンテンポラリー度に度肝を抜かれる、ということがあまりなく、お茶碗はお茶碗、家具は家具、傘は傘、と、コンテンポラリー・デザインでありながら、使って愉しむものだ、という使命は十分に感じ取れるものばかり。飾って眺める美術品とは、やはりちょっと違います。
 
 

 作品はどれもこれもそれだけで唸るほど素晴らしいものですが、フランスの展覧会は、近年「何を見せるか」と同じくらい「どう見せるか」が大事、昨今のインスタ映えではないですが、「如何に見せるか」が命とも言われ、セノグラフィー(空間構成)、照明、音響といった展示周辺がとても重要視されています。この展覧会は、そういったフランスの展覧会のあり方をまざまざと見せつけてくれます。
 

 普段のトーハクとはかなり趣を異にした独自のセノグラフィーでのメートル・ダールの工芸品、ぜひこの機会にフランスの匠に触れてみましょう。この中の何人かの作品が、後世「アンティーク」として名が残ること間違いないのですから・・・。
 
 

ブティを知っていますか?

 「ブティ」という言葉、聞いたことのある人はどれだけいるでしょうか。フランス語ですが、実はフランス人でも、知らない人が結構います。知っている人でも、なんとなくイメージは頭に浮かぶのですが、じゃあピケとの違いは?なんて聞かれると、しどろもどろに。
 

 AEAOサロン倶楽部9月の会では、布の彫刻とも呼ばれるブティに焦点を当て、ブティついての歴史を学び、実際のブティの作品に手を触れ、そしてまた一方で、現行品のブティはどうやって作られていてどんなものが商品化されているのか、そんなことをみなさんで学びました。
 

 第1部は、ブティに関する歴史の講義。ゲスト講師は、アンティーク・スペシャリストでもあり、日本ヴォーグ社出版部長の小山ひろ子先生による、テンポの良い解説、ご自身が自ら取材に行かれたカルヴィソンのメドン・ド・ブティの写真などもプロジェクターで見せていただきました。小山先生は、日本ヴォーグ社より出版されているブティの本の編集担当をも務めた、この世界の大ベテランです。
 
 
 

 ブティ、ピキュール・ド・マルセイユ、ヴェルミキュレ、ピケ・ド・マルセイユ(マトラッセ)、と舌をかみそうなカタカナがたくさん出てきますが、みなさん興味がある方々ばかりだけあって、知識のある方もたくさん。いろんな質問も出て、活発な講義でした。
 

 場所を1ブロック移動しての第2部は、フランス雑貨&アンティーク・ブロカントショップ、M’amour (マムール)にて、ブティの現行品を実際に見て、アンティーク・テーブルウェアとのコーディネートのノウハウなどを、ショップ・オーナーの名津井麻真さんより、学びました。名津井さんは長年フランスのインテリア業界で輸入のお仕事に携わっていて、現地の業者さんとの親交も大変深いオーナーです。
 
 
 
 どうしてブティを日本に仕入れることになったのか、どんな業者さんとおつきあいがあるのか、そんな裏話をもいろいろと語ってくださる名津井さん。
 

 ブティを実際に作ったことのある人なら誰でもわかるのですが、1日でどれだけの量が出来上がるのか・・・それはそれは気の遠くなる針仕事、現代ではそんなハンドメードのものを商品化したら、とてつもない価格に跳ね上がってしまいます。さすがに現行品では、機械による製作なのですが、中には型が機械で作られていて、ガッシャン、と型押しするようなものも存在する中、マムールさんでお取引している商品は、ミシン縫いだけれども、1点1点人の手で作っている商品。それゆえ、同じ品番のものでも、1つ1つサイズや形が微妙に違うのだそうです。日本はとにかく検品がうるさい国ですが、そもそも人の手が加わっていれば、微妙に異なるのは当たり前のことですね。
 

 ベッドカバーのブティなどはあまり使う人も多くないのか、やはり売れ筋は小さなテーブルマットのようなサイズのもの。そのテーブルマットも、ヨーロッパではディナープレートにカトラリーにグラスが収まるサイズゆえに、日本のテーブルでそれを全員が使用すると、大きすぎる!ということにも。そんな場合は、そのマットをテーブルセンター代わりにしたり、クローゼットの上に敷いたり、フラワーベース敷きにしたり・・・はたまた、この分厚さがちょうどいいわ、と車の座席用クッションにしてしまう方など、使い方は様々なんだそうです。
 

 3連休初日、もう台風が上陸!という日でしたが、幸い午前中はまだ影響もなく、雨もほとんど降っておらず、なんとか無事終えることができました。
 

 小山先生が講義の最後に仰られたこと、「要は、どこの国でも女性は針仕事をして暮らしていたんですね」ではないですが、今回のAEAOサロン倶楽部の参加者は、全員が女性!華やかな、楽しい会でした。
 
 

大正ロマンとモダンガール

 西洋アンティークは好きなんだけど、和骨董はよくわからない、という人、あるいはその逆で、「洋物はカタカナよく覚えられないんだよね」という骨董大好きコレクター、いろいろな方がいらっしゃいます。でも、ヨーロッパと日本の文化は互いに影響しあい、時には融合されたオリジナルな文化が生まれました。シノワズリーやジャポニスムが西洋で起こったように、日本にも西洋文化が独特の形で入り込んできた時期がありました。
 

 それが、「大正ロマン」とか「大正モダン」と呼ばれていた時期で、必ずしも大正15年間に限ったわけではなく、広く明治末期から昭和初期にかけての、いわゆるハイカラな時代を総称しています。さしずめ日本版ベル・エポックでしょうか。
 

 この時代は、社会的に安定していたわけでも問題がなかったわけでもないのですが(第一次世界大戦、米騒動、関東大震災・・・)、それでも自由を謳歌する文化が花開き、西洋文化の影響を受け、モダンガール(モガ)と呼ばれる人たちが登場しました。
 

 8月のAEAOサロン倶楽部は、まさにそのモダンガールを平成の現在でも実践していらっしゃる、日本モダンガール協會代表の、淺井カヨ先生をゲスト講師にお招きし、『大正ロマンの西洋アンティーク』と題し、前月同様古民家カフェ・藤香想にて行われました。
 
 
 
 
 淺井先生は、お召し物からすでに大正ロマン、お化粧や髪型も当時のモガを彷彿させるのですが、それ以外にもたくさんのお品をお持ちいただきました。今から80年ほど前の、蚊取り線香やうちわ、多分日本にこれ1枚しかないのではないかと思われる水着、化粧袋、手動マッサージ機・・・サロン参加者のみなさんは、普段それなりにアンティークを愛でて、生活に取り入れているにもかかわらず、淺井先生のこれらの品にはどれもこれも「おぉぉ!」と狂喜乱舞!
 
 
 
 

 そして、昨年完成したという、小平に建てられた文化住宅についてのお話も、写真を用いてレクチャーしていただきました。電気冷蔵庫ではなく氷冷蔵庫を使用、携帯電話はお持ちでなく黒電話、テレビの代わりに蓄音機で音楽を聴く生活、冬は火鉢で暖を取ります。アルミサッシやプラスチックを使用しないで木枠で作られた窓や、タイルを使ったお風呂、竹で作られた物干し竿・・・これはもう興味津々です。
 
 
 
 

 ティータイムの懇親会では、もういろいろな質問が出るわ出るわ、わたしたちは100年前の日本のことを、こんなにも知らなかったのだ、とあらためて思いました。
 

 本日は、大正百五年八月二十六日、本当に楽しい会でした。
 
 

たくさんのバルボティーヌに囲まれて in 藤香想

 AEAOサロン倶楽部・7月の会は、「バルボティーヌ陶器を知る!」というテーマにて行いました。
 

 会場は、本サロンで初となる、古民家カフェ『藤香想』。池袋からメトロで1つ先の駅、要町の住宅街に、いきなり緑が生い茂るお庭に囲まれたレトロな空間があります。そこが知る人ぞ知る『藤香想』、昭和28年に建てられた民家を改造して、2014年にオープンした、ほんわり温かい雰囲気のカフェです。ここは単なるカフェではなく、ギャラリーでもあり、コンサートホールでもあり、ヨガやら哲学カフェやら、いろいろな文化イベントを通して、人々が集う空間として存在しています。
 

 集う家 カフェ『藤香想』(とうかそう)の物語
 

  
 チェーン店のカフェばかりのこの時代、非常に貴重なカフェですね。
 

 この要町界隈は、昭和初期には大勢の芸術家たちが暮らしていたらしく、「池袋モンパルナス」と呼ばれている(いた?)とか。池袋モンパルナスについては、Wikiにも記事が出ています。
 

 池袋モンパルナス(Wikiの記事)
 

 この藤香想には、2階に和室の個室スペースがあり、今回のAEAOサロン会場で使用させていただきました。西洋アンティークを畳の部屋で!?というミスマッチは承知の上、しかしなかなかまったりしてしまうのが和室の魅力でもあります。
 

 さて、本題のサロン、バルボティーヌですが、今回はゲスト講師として、古美術ランジュドメゾンの店主・森岡美香さんによるレクチャーで行われました。たくさんのバルボティーヌ陶器をお持ちいただき、実際に触ってひっくり返して、窯の刻印や釉薬のかかり方を見ながら、歴史、形成方法、なぜ19世紀後半から20世紀初頭にかけて流行ったのか、なぜ今は作られていないのか、アンティークのバルボティーヌと現代のものとの違い、どんな窯があるのか、人気のモチーフは・・・とありとあらゆるお話をいただきました。
 
 
 
 
 

 藤香想特製の「棒茶」とコーヒーゼリー&アイスクリームのティータイム中も、みなさんでアンティーク談義に花が咲き、楽しい日曜日の午後のひとときでした。
 

 次回8月のAEAOサロンも、引き続き藤香想にて行います。次は「大正ロマンの西洋アンティーク」、和と西洋アンティークのテーマにふさわしい会場です!
 
 

アンティーク講座のご紹介

 アンティーク講座・夏学期が各種スクールでスタートしています。それぞれ、どんな様子のスクールなのか、ご紹介していきましょう。
 

【アンスティチュ・フランセ東京】
 
 
 
 アンスティチュ・フランセ東京は、東京・飯田橋にあり、フランス政府公認の学校です。昔は東京日仏学院と言い、「日仏」「日仏」と言われて親しまれてきました。フランス大使館文化部と組織が統合し、現在の、ちょっと発音しにくい名前になっています!主にフランス語の習得に向けた語学学校ですが、文化講座も各種展開しており、フランス・アンティークの講座を2014年から開講しています。
 

春学期:テーブルアートのアンティーク
夏学期:家具・インテリアのアンティーク
秋学期:装飾のアンティーク
冬学期:アンティークのマーケットの動向

 
 大まかなテーマはこのようになっていますので、1年を通して受講されることで、一通りのフランス・アンティークの世界の知識が身につきます。
 

 受講生の方は、フランス語を学んでいる方、かつてフランスに住んでいた方などもいらっしゃいますが、授業は日本語で行い、フランス語のレベルは問いませんので、どなたでも受講可能です。
 

 今年の夏学期は、初日にすでに満席となりました。今学期は、なんと岡山や名古屋から、新幹線で日帰りでの受講生もいらして、テンション上がります!
 

 学校は、飯田橋駅から8分、市ヶ谷駅からも10分くらい歩きます。また、高台にあるため、坂の登りがちょっと・・・・辛いですね!?
 

【よみうりカルチャー恵比寿センター】
 

 「住みたい街」ナンバー1の街、恵比寿の駅ビルAtre内にある、よみうりカルチャーセンターです。かつては、町屋センター、浦和センターでも開講していましたが、現在アンティーク講座は恵比寿センターに集結して、月1回の講座を開講しています。
 

 毎回テーマは異なり、西洋装飾美術工芸(陶磁器、銀器、ガラス、ジュエリー、モード、家具、ポスター・・・)の中から、随時選んで行っています。
 

 こちらの受講生の中にも、関西方面から新幹線で通われている方もあり、駅前のお教室だけあって、雨にも濡れず、便利です!午後1時〜2時半までの授業ですので、終わったあとはゆっくり恵比寿でお買い物も楽しめますね。
 

【目黒学園カルチャースクール】
 

 目黒駅の、こちらも駅前にあるお教室です。目黒学園のアンティーク講座は夜(19時〜21時)に開講していますので、お昼間に働いている方が主に通われています。月1回の講座で、テーマはよみうりカルチャー恵比寿センター同様、随時西洋装飾美術工芸の中から選んで行っています。
 

 お仕事の都合で遅れてきてしまう方もいらっしゃいますが、みなさんとても意欲が高く、長年続けていらっしゃる方も多いです。終了が21時と遅いのにもかかわらず、毎学期、授業の後にカフェやレストランで懇親会も行っています!
 

【たまがわコミュニティ】
 

 二子玉川・高島屋にあるカルチャーセンターです。こちらでは、西洋アンティークを理解するのに役立つ、西洋美術史の講座を行っています。月2回のクラスですが、1回は二子玉川のお教室での講義、1回は美術展見学で、その時の旬の展覧会に合わせた内容で行っています。
 
 受講者の中には、もう10年、20年と通われている方々もあり、海外での美術館巡りなどの経験も豊富な方も多いですが、絵画鑑賞が初めてという方でも、気軽にご参加できます。
 
 
 各スクールについての詳細は、こちらから