第6回アンティーク検定を終えて

 6月18日(日)、第6回アンティーク検定が実施されました。
 

 前日には、本検定の監修者による直前対策勉強会が開かれ、参加者の方々は翌日の問題のヒントが隠されているであろう監修者・岡部昌幸先生のお話を真剣に聞く姿が。何名かの方は、遠方から泊まりで上京されていて、その真剣ぶりが伺えます。
 

 今回は、多くの若い大学生も受験していました。
 骨董やアンティークというと、一昔前までは、中高年の趣味・楽しみであり、若い人は新製品のトレンドを追う、というのが定番だったのですが、このところ、少し様相が変わってきている気がします。
 

 アンティーク雑貨店を構える店主の方にお聞きすると、「若い人は、古着や古物をおしゃれだ、と思う人が最近増えてますよ。最近はどこにいってもチェーン店しかない、高級ブランド品は手が届かないし、バブル期のように、それらに対する憧れもない。そんな中で自分らしさを表現できるものの一つが、まさにアンティークなんです」と。そして「最初は感性だけで、わぁかわいい、素敵、と入ってくる。できればそのものの歴史は背景も身につけると、もっと楽しめると思うんですけどね。」
 

 自分が身につけているものの知識を深めていくのは、楽しいものです。たとえばアンティークのガラスボタン、チェコで作られたものがあります。なぜチェコでガラスが?ボヘミア・ガラスって、いつ、どうして作られたのか、ヴェネツィア・ガラスとはどう違うのか、今のヨーロッパのガラス産業は、どういう展開になっているのか・・・そんな背景を知りながら、チェコで作られた可愛いガラスボタンをアクセサリーに応用してみる、なかなか楽しい趣味だと思います。
 

 アンティーク検定は、そんな方々を応援する検定試験です。
 

NHK「ごごナマ」出演!?

 本日と明日開催されている、さいたま骨董アンティークフェアへ、NHKのTV番組「ごごナマ」生中継が入ります。
 

 

 さいたま骨董アンティークフェアは、年に2回の開催、今回は第30回を迎え、全国から200店が出店する大規模フェア。平日の開催とあって、主婦、リタイア組などに大人気のアンティークフェアです。前回は2日間で1万人の来場者を記録しています。さいたま新都心駅からすぐとあって、また室内開催なので、今日のような雨でもゆっくりと品定めができます。
 

 そのアンティークフェアの中継に、このたび当協会の代表が出演することになりました。
 

 アンティークをなぜ求めるのか、それらをどういう風に生活に応用するのか、そんなレポートをお届けできたら、と思っています。
 

 ご興味のある方、生中継ですので、ぜひお見逃しなく!放映は15時30分過ぎ辺りのようです。
 
 (追記 6/23)

 このような感じで出演させていただきました!!
 


 

 

 

ミュシャとムハで無茶しました!?

 AEAOサロン倶楽部、5月の会は今年度上半期最大のイベントでした。毎月、何かしらテーマを決めて行っているこのサロン、ちょうど国立新美術館で開催中のミュシャ展に合わせて、話題になっているスラヴ叙事詩とアール・ヌーヴォーの作品の対比を、レクチャーと音楽で紐解いていきましょう、という企画でした。

 
 会場は、この企画にうってつけの、一誠堂美術館&カフェ・エミール。自由が丘にあるこの美術館は、アール・ヌーヴォーのガラスの工芸館として、ゆとりと豊かさを感じさせてくれる極上のサロンです。また、カフェ&エミールは、ミュシャのポスターで壁面が装飾されている、シックなサロン・ド・テ。この会場を、AEAOサロン倶楽部のために貸切で提供してくださった、川邊会長の温かいおもてなしに感謝です。
 
 
 

 前半は、群馬県立近代美術館館長・岡部昌幸先生による、ミュシャのレクチャー。いっときは忘れられた作家であり、またチェコ時代は時代に取り残された、不遇な作家として生きた、その一生をパノラマ的に解説してくださいました。

 

 ティータイムをはさんでの後半は、東京フィルハーモニー交響楽団のヴィオラ奏者である手塚貴子さんの、無伴奏ヴィオラ・リサイタル。ミュシャがサラ・ベルナールのポスターの専属デザイナーとなったパリ時代の、『トスカ』や『ラ・トラヴィアータ』をヴィオラ用に編曲(編曲は奏者自身)したものを演奏、やがてチェコで生きるムハの姿を『モルダウ』で表現します。
 

 ハイライトはヒンデミットの無伴奏ヴィオラのためのソナタ作品25-1の熱演。ヒンデミットは、ミュシャと同時代の作曲家であり、またクラシック音楽ではじめて実用音楽を唱えた作曲家です。実用音楽とは、特定の目的のために存在する音楽、今で言えば当たり前の商業音楽、ということになるのでしょうか。芸術のための芸術ではなく、一般大衆のための音楽活動で、たとえばダンスや映画のための音楽を言います。ミュシャの芸術活動も、オペラや演劇のためのポスターを制作し、またスラヴ民族復興運動のために活動していたわけで、非常に共通点のあるテーマとも言えるでしょう。
 

 会場のスペースが、定員30名のところ、非常に多くのお客様が参加希望で、無理やり35名を詰め込んでしまい、お客様には窮屈な思いをさせてしまったのが、申し訳なく思います。ちょっとそれでもみなさんお愉しみいただけたとしたら、嬉しい限りです。
 
 

18世紀軟質磁器のセーヴル、その品格と希少性

 昨日5/2にTV東京で放映された「なんでも鑑定団」に、なんと18世紀のセーヴル磁器のカップ&ソーサー20点セットが出品されていました。
 

 この番組で西洋アンティークが出品される割合は、和骨董や中国骨董に比べると低いのですが、それでもときどき、「こんなものを蒐集していた日本人コレクターがいたんだ!」とびっくりする事があります。今回のコレクターもまさしくその1人。
 

 セーヴルは、現在でも国立窯として、エリゼ宮の食卓にも登場する高級磁器窯ですが、現在の、カオリンを用いる硬質磁器を製作する前は、軟質磁器を製作していました。フランスでカオリンが発見されたのは、マイセンより遅れること半世紀以上、それまではカオリンが発見されず、それでも磁器の製作に邁進するフランスでは、ルイ15世の愛妾・ポンパドール夫人によって、ヴァンセンヌ磁器工場をセーヴルへ移転し、王立磁器窯として、磁器の製作を推進していました。
 

 やがてリモージュ郊外でカオリンが発見され、ようやく硬質磁器の製法が解明されてからは、軟質磁器から硬質磁器へと移行、やがて軟質磁器製法はその役目を終えてしまいます。
 

 今回出品されていたのは、18世紀の、軟質磁器で作られたカップ&ソーサーで、18世紀セーヴルはといえば、これは本国フランスでもミュージアム・ピース。パリではルーヴル美術館のお隣にある、装飾美術館にて見ることができます。
 
 
 

 今回のカップ&ソーサー20点は、出品者が1000万円を費やしてのコレクションだということで、評価額1000万円をつけていましたが、さて結果は・・・700万円でした。というのも、中に4点、18世紀セーヴルではない、いわゆる「セーヴル・スタイル」が入っていたからなのです。
 

 スタイル、という言葉は、様式を意味します。つまりセーヴルの様式に沿って作られたもの。19世紀になって、18世紀のさまざまな様式がリバイバルしますから、19世紀につくられたセーヴル・スタイルは存在します。
 

 セーヴルは、ヴァンセンヌ時代から一貫して同じサインが入っており、アルファベットで年代が特定できます。もちろん18世紀セーヴルはその価値も高いので、偽物が存在しているのも事実ですが・・・。
 

 今回の出品作品、ルイ15世の最後の愛人であった、デュ・バリー夫人が愛用していたカップ&ソーサーや、ポンパドール夫人が病気で寝込んでいるときに使用するための、くぼみのあるソーサー付カップなど、鑑定士も「まさかこれが日本で見られるとは、思わなかった」と驚いていらっしゃいましたが、こういうコレクターが日本に存在している、というのは、西洋アンティークを愛する者としては、なんだか嬉しいですね。
 

 TV番組のコメントではないですが、「ぜひ、大切になさってください」!
 

「ファッションとアート 麗しき東西交流」展

 横浜美術館にて4/15よりスタートしたこの展覧会は、西洋アンティークを学ぶわたしたちにとって、見どころ満載の作品が多く展示されています。
 


 
 この展覧会では、服飾品、工芸品、絵画、写真を通して、19世紀後半から20世紀前半の、西洋と日本のファッションと美術の変遷を辿ることができるようになっています。
 

 今ではよく「里帰り品」と呼んで珍重されている、日本が明治期に輸出したティーセットなどの洋食器、そしてアクセサリーとしての薩摩焼のボタンやブローチ、絹製品であるハンカチやシャツ、そんな展示品を通して、装飾美術のルーツとなる当時の日本や西洋の社会風俗を学ぶことができます。
  
 「シャトレーヌ」というアイテムをご存知でしょうか。フランス語で城の女主人を表す言葉ですが、19世紀にリバイバルしたジュエリーです。チェーン製の腰飾りの形態をしており、時計や針道具、文具などが吊るされていて、まだ女性がバッグを持たない時代において、バッグの役割を果たすものでした。そんな「シャトレーヌ」も展示されています。
 
 シャトレーヌ(展示品とは異なります)
 


 
 ルネ・ラリックのポーチやハンドバッグは、本当にうっとりする見事な金細工で、見とれてしまいます。(箱根ラリック美術館所蔵品)
 
 ロイヤル・ウースター社は、伊万里のモチーフでのティーカップを作っていましたが、実に見事なティーセットが展示されています。(三菱一号館美術館所蔵品)
 

  
 アール・デコを代表するジャン・デュナンの漆のコンパクトはどれも繊細でデザイン製に富んでおり、これも素晴らしいアイテム。(京都服飾文化研究財団所蔵品)
 

 日本が開国して以来、国際港湾都市となった横浜にあるこの美術館でこういった展覧会を開催するのは、本当に意義深いものですね。展覧会は6/25までです。
 
 横浜美術館 『ファッションとアート 麗しき東西交流』展