投稿者「antique-kentei」のアーカイブ

読書会:マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編・第3回「旧約聖書の世界」

今月のアカデメイアにて、ようやく旧約聖書の世界に入りました。「ようやく」と書いたのは、既に第1回、第2回とウォーミングアップでキリスト教絵画に関する概説を終えているのですが、まだ聖書のお話には入っていなかったのです。いよいよ旧約聖書をテーマにした絵画を学びます。

聖書というと堅苦しく考えがちですが、まあ民話なんですね、基本的にはユダヤ民族の歴史の記録であり、口承されてきたものなので、作者はなし(不詳)。そういえば聖書って最も発行部数の多い=売れている本ですが、誰にも印税が払われないのですね!?

そのユダヤ民族の歴史の記録=旧約聖書ですが、唯一神であり、ありとあらゆる出来事は神との関係で語られる形をとっています。中山先生によると「現代の目からは荒唐無稽と見做される出来事も記されている」とのことですが、世の中の伝承ってすべてそうですよね。現代科学を知る身で読んでいくと、寿命が1000年くらいの人が出てきたり、女性が100歳くらいで子供を産んでいたりと、なかなかシュールです。また選民意識や男尊女卑も思いっきり表れているのでツッコミたくなるポイント満載だったりしますが、そこはまあ時代の価値観ということで傍に置いておきましょうか。

今日は旧約聖書のあらすじと系図を説明していただき、天地創造からヨセフまでを、登場人物と行い、職業とそのキャラ、よく出てくる「原罪」「ノアの方舟」「バベルの塔」などの聖書における元々の意味、などを絵画と共に見ていきました。

これまで当たり前のように見ていた有名絵画も、こうして聖書のストーリーを理解した上であらためて鑑賞すると、面白さが倍増します。

次回も引き続き旧約聖書の続きです。まだまだあの有名な「ダヴィデ」とか「ユディト」とかが残っていますからね!中山先生、来月もよろしくお願いいたします。

AEAOサロン倶楽部・9月の会にて、香りの器を愛でる

9月末というのに30度超えの残暑の中、AEAOサロン倶楽部・9月の会が開催されました。今日訪れたのは、高砂コレクション® ギャラリー。蒲田にある高砂香料工業株式会社さんのコレクションや資料が一般見学者にも開放されています。AEAOメンバーの方より、是非ここをサロンで一緒に訪れたいというご要望をいただき、今回の運びとなりました。

実はこの高砂コレクション、2021年にパナソニック汐留美術館にて展覧会が開催されており、その際にもAEAOサロン倶楽部でオンラインによるレクチャーを行いました。当時はまだコロナ禍でリアルに集まれず、各人で個別に美術館に見学に行くという形での開催でしたが、今回は会食と共に集まれる喜びが戻ってきました。

顔合わせランチ会&ミニレクチャーの会場は Ritaさんにて。高砂香料工業株式会社さんのビルに程近く、JR蒲田駅からも歩いて3分という立地にあるピザ専門のイタリアン・レストラン。あまりの美味しさに写真を撮り忘れた前菜のサラダに、ナポリ風の薄いパリパリ生地のピザ、デザート、お茶とフルコースでお腹いっぱいいただきました。特に美味しかったのがゴルゴンゾーラと蜂蜜のピザ、この組み合わせを考えた人は天才ですよね。

そしてコレクション会場へ。社内の会議室にて展示されていることもあり、なかなか気軽に訪問できない感じはありますが、受付の方々にいろいろご説明をいただき、充実したコレクションをゆっくりと堪能することができました。

香水瓶のコレクションが素晴らしいのは言うまでもないのですが、カメラマンの十文字美信氏の作品も一緒に展示されています。写真展としても見応えが十分にありました。

香水瓶はおなじみラリックの作品がやはり多かったのですが、今月22日よりスキャパレリの香水瓶があらたに展示品に加わっています。有名な「ショッキング」シリーズや「Zut!」を初め、何点か展示されていました。

なんと言っても今日訪れてラッキーだったのは、2日前の26日より特別展示されている、巨大な龍涎香。4.95kgあります。こんな大きなものはさすがに他でも見たことはなく、みなさんで「一体いくらくらいの価値なのか…」と下世話なことを考えてしまいましたが、受付の方曰く「この会場の中で最も価値の高いものですね、はい、軽く家が一軒立ちます」とのこと!ショーケースに収められていますので匂いを嗅ぐことはできませんが、これを見られただけでも大感激です。

今回は遠くからご参加いただいた方もいらして、とても楽しいサロンでした。次回10月は「旧安田楠雄邸庭園見学と谷根千さんぽ」を行います。

第12回アンティーク検定講習・3級

この週末はアンティーク検定講習・3級を実施いたしました。2018年よりアンティーク検定は試験と並行して講習形式でも行われ、年2回実施されていますので今回で6年目・第12回となりました。大人の習い事は楽しく学びたいもの、年1回の試験で一発勝負で臨む人ももちろんいらっしゃいますが、講習に参加して一からゆっくり学ぶ、というこの講習コースも人気です。なんといっても出席して受講すれば資格が取得できるのです!

2日間で3級のレベルをすべて網羅するのですが、興味があれば知識ゼロで受講していただいても全く大丈夫。アンティークとは?西洋とは?美術と装飾美術の違いは?といったきほんのき、から講習がスタートします。

初日は「アンティーク入門」「陶磁器入門」「ガラス入門」「銀器入門」。どの分野もまずは広く浅く、要となることを覚えていきます。

ー陶磁器の分類は?

ーボーン・チャイナってなあに?

ーヴェネツィアのガラスとボヘミアのガラスの違いは?

ークリスタルって普通のガラスとどう違うの?

ー純銀ってどうやって見分けるの?

こんなアンティークの基本を学んだ後に今年7月に行われたアンティーク検定試験・3級の問題を解いていくと、あら全部解けるじゃないですか、ということに。一人で「西洋骨董鑑定の教科書」を読んでいてもなかなか頭に入らなかったことが、一気にクリアになったようです。

陶磁器・ガラス・銀器の基本的な鑑定も実際のアンティーク品を触りながら行っていきます。この講習は鑑定品のお土産付き、今回はクリストフル社が某ホテル用に制作したアイスクリーム・スプーンが鑑定品でしたよ。

2日目の講習は「様式」「家具・建築」をオンラインで受けたのち、外出・見学を行います。今回は旧前田侯爵邸へ。東洋一の大邸宅と言われ、使用人だけで100人いたと言われる戦前の上流階級の館、チューダー様式とは、和洋館並列住宅とは、金唐革紙とは、と見どころ満載な見学地です。

2日間の集中講習は修了、カフェにて修了証授与&懇親で無事終了いたしました。

次回3級の講習は2024年1~2月を予定しています。どなたでもご受講いただけます。

銀座のアートスポットを巡る

8月のAEAOサロン倶楽部は、銀座のアートスポット巡りを行いました。今年は6月からすでに真夏が前倒しでやってきましたが、8月末ならさすがに暑さも引っ込み、お盆期間は観光客での賑わいも一段落着いている頃かな、とこの時期に設定したものの残暑が猛暑というトンデモナイ気候。そんな中でもたくましく多くのアートスポットを回ってみました。

まずは銀座SIXのザ・グラン・ラウンジにて「銀座の清夏のアフタヌーン・ティ」を兼ねたミニ・レクチャー。なぜ銀座にアートギャラリーが多いのか、いつから銀座がハイブランドのお店が連なる街になったのか、明治5年の銀座大火から現在の銀座の街の変遷と、銀座とアートとの関係について歴史をざっとおさらい。

通常アフタヌーン・ティは時間制限2時間というところが多い中、こちらはなんと3時間。その間ドリンクは飲み放題ですが季節柄アイスティの種類も多く、またスイーツも甘さ控えめ、上品なヴィシソワーズのアミューズ、アペタイザーにはラタトゥイユや素麺といった夏ならではの味覚に全員完食したところで「アフター・デザート」の苺のミルフィーユが出てきましたよ!!

お腹も満たされたところで、アート巡りスタートです。

まずは銀座SIXの目の前にある、銀座6丁目・交詢ビルのファサード。このビルは1880年竣工、1929年に再建され2004年のリニューアル時に「ファサード保存」されています。歴史的価値の高い建物の正面部分や一部のみを保存する手法で、1970年代より使われてきたのですが、その第1号は京都の中京郵便局。明治35年の建築のファサードを1978年の建替え時に保存しています。

この界隈にはggg(Ginza Graphic Gallery)やMMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)もありますが今日は展示は開催されていなかったので外観の位置を確認し、次なるアートスポット、銀座8丁目まで歩き資生堂ギャラリーの「初めての東京は銀座だった」展を見学。今日が展覧会初日でしたが、それなりに見学者がいらっしゃいました。

せっかく8丁目まで来たから、ということで次はクリエーション・ギャラリーG8へ。ここはリクルートの主催するアートギャラリーなのですが残念なことに今年9月2日をもって終了ということで、最後の展覧会を見学しました。38年に渡りデザイン、グラフィックの多くの展覧会を開催してきたスポットでした。

そして4丁目まで日陰の裏通りを歩き、予約をしていたセイコー・ミュージアム銀座へ。服部金太郎氏が1881年に服部時計店を創業してから今日に至るまでの日本の時計の歴史が詰まったミュージアムです。

お次は銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の「エマイユと身体」展へ。今日の参加者さんはみなさん7月の「エマーユ七宝美術館」も見学していますので、エマイユが現代アートでどのように表現されるのか、と先月とは違った視点でのエマイユを見つめていきました。

最後に、エルメス傘下のテーブルウェアであるベルナルド、サン・ルイ、ピュイフォルカの最新作を見にエルメス店へ。お買い物をせずに見学なんてちょっと図々しくて、さすがに長居はしませんでしたがこの時点で夕方5時でした。

実はまだまだ銀座にはアートスポットが点在していて、さらには歴史的建造物も多いのですが今日はこれにて終了といたしました。今度は銀座4丁目から京橋側のアートスポット巡りをしましょうね。

ご参加のみなさま、お疲れ様でした。今日はよく歩きましたので、三段のアフタヌーン・ティもすべて消化できたと思います!

読書会:マンガでわかる「西洋絵画」の見かた 聖書編・第2回「画家とキリスト教」

猛暑がもう1ヶ月以上も続き台風までボコボコ発生する日本列島ですが、今日は8月の最初の協会の活動(!)、オンライン読書会でした。

前回に引き続き、まだ聖書の中には入らず「画家とキリスト教」という章を一緒に読み解いていきます。受講者のみなさんはもともと美術史をある程度学ばれている方なので、「知っている絵」「見慣れた絵」をあらためて取り上げ、どのような場面がどういうテクニックで描かれているのか、をあらためて中山久美子先生に解説していただきます。

本書の第2章にあるマザッチョからホルマン・ハントまでの8人に、フラ・アンジェリコとモーリス・ドニを追加した10名の画家たち、それぞれの聖書との向き合い方が絵画にどのように描かれているのかを見ていくのですが、如何にもキリスト教絵画でございます、という聖母やイエスがわかりやすく描かれているものから、え、これのどこがキリスト教絵画?という作品まで、数百年のキリスト教絵画を俯瞰しました。それぞれの画家にとってキリスト教との温度はというと、修道院に滞在してどっぷりキリスト教に浸かった画家から殺人を犯した犯罪者まで、実にさまざまです。

マザッチョ「貢の銭」

この1枚の絵画に聖ペトロがなんと3人も描かれています。どこで何をしているか、わかりますでしょうか?異なる時間帯を1枚の絵に描くテクニックは「異時同図法」と呼ばれます。

初期ルネサンスの頃から如何に平面であるキャンバス(または板、壁)に三次元の世界を描くかのテクニックを追求していった西洋絵画ですが、19世紀の後半にきて、ゴーギャンやドニのように平面的へと回帰していく作品が現れます。写真が登場した19世紀、画家たちは如何に本物そっくりに描くかという使命から、何を表現するのか、という内面的な絵画の本質へと自問していく時代になったのでしょう。

ポール・ゴーギャン「神の子の誕生(テ・タマリ・ノ・アトゥア)」

次回より、いよいよ旧約聖書の世界へ入ります。聖書は用意しなくても大丈夫、旧約聖書に登場するシーンはどのように絵画に描かれているのか、一緒に見ていきましょう。

本読書会は途中回からの受講も可能です。また過去の回もオンデマンドでの視聴が可能ですので、この機会にキリスト教絵画の見かたを学んでみませんか?